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慢性疾患とがんリスク [医学・医療・雑感小文]

慢性疾患の集積、がんリスク上昇

米テキサス大のチームは、台湾の健診受診者約40万人(男性48.0%、平均年齢男性40.5歳、女性40.3歳)対象の前向きコホート研究を行った。

標準的な健診を受けた18歳以上のがん既往がない40万5,878例(男性48.0%、平均年齢男性40.5歳、女性40.3歳)を登録。

慢性疾患のマーカー8種(心血管疾患3種、糖尿病、腎臓疾患2種、肺疾患、痛風関節炎)、

① 血圧②総コレステロール(TC)③心拍数④空腹時血糖⑤蛋白尿⑥糸球体濾過量⑦1秒量および努力肺活量⑧尿酸―を測定。

② 平均8.7年(1.0~12.9年)の追跡期間中に296万6,587人・年が集積され、新規がんが9,273例、がん関連死が3,779例登録された。

慢性疾患(心血管病、糖尿病、腎臓病、肺疾患、痛風関節炎)が,個別または集積した場合のがんリスクへの影響を検討。

がん発症リスクの20%以上、がん死亡リスクの30%以上に寄与することが示された。

そのリスクの大きさは、主要生活習慣因子(喫煙歴、運動不足、肥満、飲酒歴、野菜果物摂取量不足)の集積に匹敵する可能性がある。

多変量解析の結果、血圧と肺疾患を除く8種の慢性疾患とそのマーカーは、それぞれ単独でがん発症リスクを7~44%有意に上昇させた。

8種の慢性疾患とそのマーカーはすべて独立してがん死リスク上昇と関連し、12~70%有意に上昇させた。

がん発症部位は、肝、膀胱、腎、口腔、胃の順で多かった。

同スコアが高いほど余命損失も大きく、最高位群(15点以上)は男性で13.3年、女性で15.9年の損失に関連していた。

運動で慢性疾患関連がんリスク低減

慢性疾患リスクスコアとがん発症率、がん死亡率との正の関連は、身体活動活発群では、不活発群に比べて弱かった。

身体活動は慢性疾患によるがん発症リスクを38~54%(平均48%)、がん死亡リスクを14~39%(平均27%)低減したと算定された。

TC低値とがんとの関係は未確立

慢性疾患の集積は、5つの生活習慣因子集積と同様にがんリスクに重大な影響を及ぼす。

疾患マーカーは単独よりも集積した場合にがんリスクが上昇する。

身体活動は、慢性疾患関連がんリスクを低減するアプローチとして有望である。

これらの知見は、新たながん予防戦略の開発および慢性疾患管理の改善に重要な示唆を与える。

疾患マーカーの中でTC(総コレステロール)低値と蛋白尿は、がん高リスクであることが示唆された。

蛋白尿については、先行研究とおおむね矛盾がない。

TC低値とがんリスクとの関係は十分に確立されていない。

今回の研究では、追跡期間10年未満のがんを除外し、肝酵素、B型肝炎ウイルス感染の状態、腫瘍マーカー(αフェトプロテイン)を調整後も、TC低値とがんリスクの逆相関関係は維持された。

用量反応関係が示され、未診断のがんや肝疾患による逆の因果関係の可能性を最小限にし、TC低値とがんリスクの逆相関関係を支持するデータが示された。
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