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毎日の食事選びに役立つ「三大栄養素の黄金バランス」 [医学・医療・雑感小文]

体内でエネルギーを産生する栄養素は、たんぱく質、脂質、炭水化物で、これらを三大栄養素と呼びます。

それぞれ持っている働きが違いますので、健康維持のためにはバランスよく摂取することが大切です。

このバランスを「エネルギー産生栄養素バランス」といい、目標値が設定されています。

今回は三大栄養素の理想的な摂取バランスや、その実践方法をご説明いたします。

三大栄養素の黄金バランス

バランスの良い食事は、「量」と「質」の観点から評価することが重要です。

三大栄養素の摂取バランスを見る「エネルギー産生栄養素比率」は「質」を評価する指標のひとつであり、摂取するエネルギーのうち三大栄養素がそれぞれ占めるエネルギーの割合を示しています。

各栄養素のエネルギー産生栄養素比率の計算方法

◆たんぱく質(%)=たんぱく質(g)×4(kcal/g)/ 全体のエネルギー(kcal)×100

◆脂質(%)=脂質(g)×9(kcal/g)/ 全体のエネルギー(kcal)×100

◆炭水化物(%)=炭水化物(g)×4(kcal/g)/ 全体のエネルギー(kcal)×100

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、エネルギー産生栄養素比率は次のような目標量が設定されています。

◆たんぱく質 13~20%
◆脂質    20~30%
◆炭水化物  50~65%

おおよそたんぱく質2:脂質2:炭水化物6が理想なのです。

ただし、これは重量ではなくエネルギー量です。

重量に換算してみると、1日2000キロカロリーをとる場合の適量は、たんぱく質100g、脂質44.4g、炭水化物300gとなります。

黄金比率を満たす食事の選び方

実際に食事をするときには、栄養素が何グラム入っているかはわからないですよね。

そこで、三大栄養素の黄金比率をクリアする食事選びのコツをご紹介しましょう。

(1)主食・主菜・副菜をそろえる

食事をするときは、栄養素のバランスを整えるために次の3つの要素をそろえましょう。

 ◎主食(ご飯やパンや麺類など)
 ◎主菜(肉や魚、卵や豆腐など)
 ◎副菜(野菜、海藻、きのこなど)

定食スタイルはもちろんのこと、「牛丼(主食・主菜)とサラダ(副菜)」「シーザーサラダ(副菜)、焼き鳥(主菜)、お茶漬け(主食)」など、ファストフード店や居酒屋でも3つの要素はそろえられます。

最近では、主食を抜いたり、副菜だけにしたりといった食生活も珍しくありませんが、そうするとエネルギー産生栄養素比率は偏ってしまいます。

(2)和食を選ぶ

実際のメニューを例にエネルギー比率の傾向を見てみましょう(おおよその数値です)。

 ◎てりやきハンバーガー、ポテト:たんぱく質9%、脂質53%、炭水化物38%

 ◎ミートソーススパゲッティ、サラダ:たんぱく質12%、脂質37%、炭水化物51%

 ◎親子丼、サラダ:たんぱく質20%、脂質22%、炭水化物58%

 ◎アジフライ定食(アジフライ、キャベツの千切り、ホウレン草のお浸し、ご飯、味噌汁):たんぱく質17%、24%、59% 
 
洋食は脂質が多く炭水化物が少ない、和食は黄金比率に近い…という傾向がわかります。

ただし、この比率にはビタミンやミネラル、食物繊維が含まれていません。

総合的なバランスを考えると「和定食」がいいでしょう。

(3)適量の目安を知る

しかしながら、現代では毎食和食を食べるのは難しいものです。

また、外食、自炊など食べる場所もさまざまです。

そこで、黄金比率に近づけるための1食あたりの目安量を知っておきましょう。

 ◎主食:ご飯はこぶし1個分が目安。食パンは6枚切り2枚、麺類は1人前で茶碗軽く1杯分

 ◎主菜:肉、魚、卵、大豆製品は、手のひら1枚分が目安。肉は薄切り3枚、魚は切身1切れ程度

 ◎副菜:生のものは両手いっぱい、加熱したものは片手いっぱいが目安

野菜ならいくらでも食べていいわけではありません。

野菜は味付けをしますから、脂質が加わることが多いですし、三大栄養素ではありませんが塩分も多くなりがちです。

上記の目安はどこでもチェックできます。

ぜひ、料理を選ぶときの参考にしてみてください。

(4)良く食べるメニューのバランスは把握しておく

最近の外食メニューや加工食品の多くに栄養成分が表示されています。

定番メニューや自分の好きな料理は、先に示した計算方法でバランスを確かめ把握しておくとよいでしょう。

エネルギー産生栄養素バランスは、あくまでもエネルギー源となる三大栄養素のバランスです。

健康や美容のためには、ビタミンやミネラル、食物繊維など、そのほかの栄養素をきちんと補うことも大切です。

毎日の食事バランスを見るひとつの指標として活用しましょう。

執筆 山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
監修 株式会社 とらうべ
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朝型の人と夜型の人、どちらが長生きする? [医学・医療・雑感小文]

 早寝早起きが苦にならない朝型の人と比べ、宵っ張りで朝寝坊の夜型の人は短命に終わる可能性が高いことを示唆する研究結果が、「Chronobiology International」4月11日オンライン版に発表された。

 クロノタイプ(日中の活動や睡眠のリズムの傾向)が夜型の人では、朝型の人と比べて早期死亡リスクが10%高いことが分かったという。

 この研究は、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏らが実施したもの。

 英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した38~73歳の男女43万3268人を対象に平均6.5年追跡し、クロノタイプと全死亡リスクとの関連について検討した。

 クロノタイプは質問票を用いた調査データに基づき「完全な朝型」(対象者に占める割合は27%)、「どちらかといえば朝型」(同35%)、「どちらかといえば夜型」(同28%)、「完全な夜型」(同9%)の4つのタイプに分類した。

 年齢や性別、民族、喫煙の有無、体格指数(BMI)、睡眠時間、社会経済的状況、併存疾患で調整して解析した結果、完全な朝型と比べて、完全な夜型では全死亡リスクが10%高いことが分かった。

 また、完全な夜型では健康上の問題を抱えるリスクも高く、完全な朝型と比べて精神障害リスクは1.94倍、糖尿病リスクは1.30倍、神経障害リスクは1.25倍、胃腸/腹部疾患リスクは1.23倍、呼吸器疾患リスクは1.22倍であることも明らかになった。

 今回の研究は関連が認められたに過ぎず、朝型の人に比べて夜型の人の健康状態が悪い理由も明らかにされていない。

 Knutson氏は「夜遅くまで起きていると、飲酒や喫煙、間食、ドラッグの使用といった不健康な行動に及ぶ機会が多くなる可能性が考えられる」と指摘。

 また、「夜型の人は体内時計が朝型の社会生活に適合しないため、長期的にさまざまな問題につながってしまうのかもしれない」との見方を示している。

 なお、米マウントサイナイ・ヘルスシステムのAndrew Varga氏は「体内時計と社会生活を送るための行動とのずれによって健康が悪化するという考え方は、日中に睡眠を取り、夜間に働くことが多いシフト勤務者で死亡リスクや心血管疾患リスクなどのさまざまな健康リスクが高いことを示したこれまでの研究でも支持されるものだ」と指摘。

 「食事や睡眠のタイミングはインスリンの分泌量に影響し、糖尿病リスクを高めることが報告されているなど、生体リズムはさまざまな機序で健康状態を左右する」と説明している。

 では、夜型の人はどのような対策を取ればよいのだろうか。

 Knutson氏は、徐々に就床時間を早め、朝型の生活リズムに合わせるようにすることを勧めている。

 この際、毎晩少しずつ早めることが重要で、「いきなり通常よりも2~3時間早く寝ようとしても成功しない」としている。

 また、シフト勤務などで夜型の生活を送らざるを得ない場合には、健康的な食事や運動、十分な睡眠時間の確保などを心掛けることで、健康上の問題をある程度は回避できる可能性があると助言している。

 毎日新聞 <医療プレミア> 2018年4月26日
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疲れをためない“脳疲労”のリセット術 [医療小文]

 最新の研究で、疲労の正体が明らかになってきています。

 その鍵は、脳の自律神経にありました。

 さらに、実際の疲労と、自覚する疲労感にズレが生じる「自覚なき疲労」の存在に警鐘が鳴らされています。

 疲労の正体を知り、疲れをためない生活にシフトチェンジしましょう。

あなたは疲れをためやすい人? 疲労が「たまる」原因をチェック!

 以下の項目で当てはまると思うものがいくつありますか?

□健康には自信がある
□残業しても、やりがいのある仕事がしたい
□仕事が生きがいだ
□ストレス解消法は、激しい運動やアウトドアだ
□仕事は休息せずに一気に集中して片づけたい
□忙しい時期は睡眠時間を削る
□疲労回復に栄養ドリンクやサプリメントなどをよく利用している

 チェックが多い人ほど、疲労がたまりやすく、疲れがとれにくくなっている可能性が高いと考えられます。

運動後の疲れも、仕事の疲れもメカニズムは同じ

 かつて、運動による疲労は「乳酸」のせいとされていましたが、近年、疲労の原因は別にあることがわかってきました。

 運動中は、心拍や血圧などを保つために、脳の視床下部にある自律神経が働きます。

 自律神経の神経細胞が働くと活性酸素が生じ、それが神経細胞を酸化させてさびつかせます。

 すると、運動のパフォーマンスが低下するなど、疲労が目に見えて、現れてきます。

 一方のデスクワークは、主にパソコンを使った作業なので、脳のある一定の回路だけを連続して使うことになります。

 すると、その部分の神経細胞に活性酸素が多く生じ、その結果、頭が働かないなどの疲労感を感じるようになります。

 このように、身体的、精神的に作業効率が低下する現象が「疲労」だと言われています。

 つまり、運動後の疲れも、仕事の疲れも、「疲れた」と感じるしくみは「脳」にあるのです。

疲れの原因は脳細胞の機能低下
疲労因子(FF)の発見で「疲労」の測定が可能に

 仕事や運動など「疲れること」をすると、脳の神経細胞や、内臓や感覚器など脳以外の臓器に活性酸素が発生します。

 細胞がさびついて機能が低下すると、疲労因子となるたんぱく質「ファティーグ・ファクター(FF)」が誘発されます。

 この疲労因子(FF)を健康なマウスに与えると、動きが悪くなるという研究結果があります。

 つまり、疲労因子(FF)が血液中に増加するほど「疲労がたまった」状態になり、それだけでパフォーマンスが落ちるということです。

 このことから、血液中の疲労因子(FF)を調べることで、近年「疲労」を計測できるようになりました。

疲労を回復させる物質も発見

 脳は、疲労因子(FF)を抑制する疲労回復因子「ファティーグ・リカバー・ファクター(FR)」もつくり出します。

 疲労因子(FF)が発生すると、疲労回復因子(FR)も活性化、化学反応を起こして疲労因子(FF)の性質を中和し、抑制するように働きます。

 心身に負荷をかけずリラックスして過ごす時間、とりわけ睡眠中には、疲労回復因子(FR)が優位に働きます。

 しかし、睡眠時間を削って仕事や遊びに行ったりして休養が十分に取れていないと、疲労回復因子(FR)の働きが追いつかなくなります。

 それは、疲労回復因子(FR)は、疲労因子(FF)が出てからでないと発生せず、あらかじめ発生させておくことができないからです。

 そのため、疲労するごとに、こまめに回復する必要があるということです。

達成感でマスキングされる疲労とは

 仕事や家事で忙しいときほど、達成感から「疲れも吹き飛ぶ」などと言うことがあります。

 しかし、これは実際に疲労が回復しているわけではありません。

 やりがいのある仕事や、スポーツで好成績を残すなど、実際の疲労と自覚される疲労感にズレが生じるのは、疲労を感情が覆い隠して(マスキング)しまうことが原因です。

 休日に友人と過ごす、趣味に熱中する、スポーツで汗をかくことなどは気持ちを前向きにしますが、疲労因子も増加します。

 楽しい時間=休養と考えると、疲労回復因子の働きが追いつかず、疲れがたまってしまうので注意しましょう。

栄養ドリンクでは疲労はとれない

 また、疲労を回復するために栄養ドリンクやサプリメントを利用している人もいますが、これらの多くには、気分を高揚させたり、眠気を覚醒させるような成分が含まれています。

 そのため、脳が疲労感というアラームを発してもいても、一時的にはマスキングされてしまい、仕事を続けることになるのです。ドリンクで回復していると思い込んでいるところ、さらに無自覚のうちに疲労をため込んでいるので、危険な行為といえます。

正しい回復方法で疲労を予防する
疲労はため込まずにこまめにリセットを

 疲労はたまればたまるほど回復に時間がかかります。

 ベストなパフォーマンスを保ち、重度な病気を引き起こさないためにも、疲労をため込まないことが大切です。

 疲労をリセットする(FFを抑制したり、FRを働かせたりするための)方法を、いくつか紹介しますので、できることから取り入れてみましょう。

 <今日からできる疲労のリセット術>

○1日に数回、一人きりになる時間をつくる
 仕事中も、合間に休憩をとってトイレの個室に入るなどして一人になる時間をつくり、人間関係の気疲れから回復する時間をもちましょう。

○運動は軽いストレッチやウォーキング
 マラソンなど激しい運動は、酸素を多く使うぶん、活性酸素も多く発生させます。
 軽い運動なら疲労をためず、血行がよくなるので、おすすめです。

○仕事は作業を細かく変えて、そのつど休憩をとる
 「飽きた」と感じたら、疲労がたまり始めたサイン。別の作業をして、ひとつの神経回路を連続して使いすぎないようにしましょう。

○鶏むね肉やサバ、イワシなどを食べる
 いくつかの研究によると、鶏むね肉に含まれるイミダゾールジペプチドに抗疲労効果があると言われています。
 また、サバやイワシなどに多く含まれるn-3系脂肪酸は、摂取量が少ないと疲労につながると考えられています。

○紫外線をブロックする
 紫外線は皮膚の細胞で活性酸素を生み、疲労因子(FF)の増加につながります。
 夏はもちろん、冬でも直射日光を避け、日焼け止めを使いましょう。

○睡眠時間を削らない
 十分な睡眠は疲労回復に直接的な効果があります。
 ただし、睡眠の質が悪いと回復につながらないので、いびきや睡眠時無呼吸などの異常があったり、いくら寝ても回復しなかったりする場合は、専門のクリニックを受診しましょう。

長く続く強い疲労感は病気の可能性も

 長時間眠ったり、たっぷり休養をとっても疲労感が抜けない場合、慢性疲労症候群や突発性慢性疲労、肝臓やすい臓などの病気が原因の可能性があります。

 病的な疲労は、専門医の治療が必要になります。

 内科や心療内科などで慢性疲労症候群の治療を行っている医療機関を調べて受診してみましょう。

監修:柳澤裕之(東京慈恵会医科大学 疲労医科学研究センター長)
「みんなの健康ライブラリー」2018年2月掲載より (C)保健同人社
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がんと食物 [医療小文]

1位食物(35%)、2位喫煙(30%)、3位職業(4%)、4位飲酒(3%)、風土・物理的因子(3%)――というのが、アメリカ人の発がん因子のワースト5。

以下、汚染、性生活、医薬品・医療、食品添加物(いずれも1%内外)と続く。

この推計は日本人にもだいたい当てはまる。

つまり、食物とたばこに気をつけさえすれば、がんの原因の半分は避けられるわけだ。

とはいえ、食物と発がんの関係はなかなか複雑で一筋縄ではいかない。

例を挙げると、

高濃度の食塩=胃がん、食道がん。

冷蔵庫が普及し、保存食の塩干物の摂取が減ったことが胃がんを減らしたといわれる。

減塩は、高血圧だけでなく、胃がんも減らす。

脂肪の多量摂取=大腸がん、乳がん。

日本人の大腸がんの発症率は、脂肪の摂取量の増加と比例し、食物繊維の摂取量の減少と逆比例している。

つまり肉などをたくさん食べ、野菜をあまり食べない食生活を続けていると、大腸がんにかかりやすい。

野菜の漬物などからできる硝酸塩+魚肉などの低級アミン=発がん物質のニトロソアミンが合成される。

これを防ぐにはビタミンCを多くとるとよい。刺し身のつまはダテじゃない。

焼けこげや熱すぎる食物=胃がん、咽頭がん、食道がんなど。

ピーナッツなどのかび=発がん物質のアフラトキシンをつくる。

もっとも、たとえある食品に発がん性があったとしても、一度や二度食べたくらいではがんはできない。

長期間、習慣的にそういうものを食べ続けるのがよくないのだ。

だから年中ワンパターンの食事にしないこと。

同じ材料でも調理方法を変え、穀類、肉・魚介類、卵・乳製品、野菜類など、バランスのとれた、体にいい〃食い合わせ〃を考える。

よく知られているように緑黄色野菜、果物、海藻類、豆、キノコなどに多く含まれるカロチン、ビタミンC、食物繊維などは、発がんを抑制する。

結局、がん防止の決め手も、ほかの生活習慣病と同じようにやはり食物なのだ。
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胃がん手術の名医は夢追い人だった [雑感小文]

「ハゲに胃がんなし」の真偽を確かめる研究を、若い医局員に勧めた、脇坂順一・久留米大教授(当時)は胃がん手術の名医だった。

 長年、胃がん患者を診てきた印象が、示唆のヒントになったらしい。

 高齢登山家としても知られた脇坂先生は、1961年、48歳のときスイス・メンヒ山で海外峰初登頂。

 以来、世界各国の山に挑み続けて、1993年、80歳にしてアルプスの最高峰・モンブランをきわめ、海外150登頂を果たした。

 その折の新聞には「80歳はまだ現役」とあり、毎朝6時半起床、足踏み300回、鉄アレイ60回、冷水摩擦、ひざの屈伸400回、腕立て伏せ170回をこなす独自の鍛錬と、大豆を主食とする高たんぱく・低カロリーの食生活に徹し、

「精進の積み重ねで、たいていの夢はかなう」と話している。

 98年、85歳で海外200登山を達成。

 90歳での250回を目標とし、2000年8月で243回になったが、03年3月、夢追い人89年の生涯を閉じた。

 肺炎だった。

 漫画「サザエさん」のファンだったという。
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ハゲと胃がんの医学的関係 [雑感小文]

 「ハゲに胃がんなし」という俗言がある。

 これがあながち迷信ではないことを、30年以上も昔、統計学的に証明した医師がいる。

 久留米大学医学部外科の若い医局員だった柿添健二医師だ。

 胃がん手術の名医だった脇坂順一教授に、

「ハゲと胃がんの関連を調べてごらん」と言われ、

 実に10年がかりで胃がん患者1001人(男性663人、女性338人)と、一般人(軽い病気の通院者=男性約7000人、女性約5000人)のハゲ率を調べあげた。

 結果、胃がん患者には明らかにハゲが少ないことがわかった。

 例えば40代の男性では一般人のハゲ率は8.6%だが、がん患者では0%。50代男性のそれは前者が14.3%、後者が2.3%だった。

 50男が100人集まれば、14人はハゲだが、同年代の胃がん患者だと2人しかいない計算になる。

 「ハゲに胃がん、ごく少なし」というわけだ。

 とはいえ、ヨロこんでばかりもいられない。

 「ハゲに脳卒中あり」「ハゲに前立腺がんあり」という俗説にも、かなり信ぴょう性があるらしい。
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日本人に胃がん、なぜ多い?  [医療小文]

日本人には胃がんが多い。

最新がん統計(2015年4月)によると、

男性では死亡数は肺がんに次ぐ2位。罹患数は1位。

女性では死亡数は大腸がん、肺がんに次ぐ3位。罹患数は乳がん、大腸がんに次ぐ3位。

だが、これは比較的近年のこと。

男性の胃がん死亡数が肺がんに抜かれたのが1993年で、女性のそれが大腸がんに抜かれたのは2002年。

それまでは男女ともに死亡数も罹患数もずっと胃がんが1位だった。

なぜ、日本人にはそんなに胃がんが多い(多かった)のか?

まず戦後間もなくのころは「熱い食べ物」が危ないといわれた。

当時、日本でいちばん胃がんの死亡率が高かった奈良県に着目した高名な医学者が、原因は奈良県民が愛好する熱い茶がゆではないかと指摘し、茶がゆの廃止が呼びかけられた。

だが、この茶がゆ犯人説はその後の研究でほぼ完全に否定された。

茶がゆを愛好する地方は、奈良県以外にも和歌山県、三重県、山口県、佐渡などあちこちにあり、奈良県ほど胃がん死亡率が高くないなど、矛盾する事実がいろいろ出てきたからだ。

そのあと、「胃潰瘍前がん説」と「塩分過剰摂取説」が提唱され、近年まで最も有力な説として認められてきた。

たしかに胃潰瘍から始まる胃がんが多いことや、塩分の取りすぎが胃がんの悪化に関係していることは事実だが、それが胃がんの原因ではないことがいまは明らかになっている。

1983年、オーストラリアの研究者らが発見した、ヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)の研究が進み、胃がんの原因が特定されたからである。

以下、ピロリ菌に関する現代医学の定説を要約してみる。

ピロリ菌に感染すると、ほぼ100%の人に「ヘリコバクター・ピロリ胃炎」という慢性胃炎の一種が生じ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のもとになる。

慢性胃炎が長く続いて萎縮性胃炎に変わると、その一部から胃がんが発生してくる。

ピロリ菌に感染している人が必ずしもみな胃がんになるわけではないが、遺伝性のスキルス胃がんなどを除き、ほとんどすべての胃がんの人はピロリ菌に感染しているという。

国立国際医療センターの研究チームは、ピロリ菌に感染した1246人と、感染していない280人を、8年間追跡調査した。

結果、感染者では約3%に胃がんが発生したが、非感染者ではゼロだった。

WHO(世界保健機関)は、「ピロリ菌は煙草なみの発がん物質」といい、

ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムを解明した畠山昌則・東京大教授(病因・病理学)は、「胃がんの99%はピロリ菌感染が原因です」と明言している。

日本ヘリコバクター学会は、胃がん予防のため、胃の粘膜にピロリ菌がいる人は全員、薬で除菌することを勧めている。

学会の提言を受けて、まず2000年に胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者のピロリ菌の除菌治療が公的医療保険の適用となり、2010年には、

①ピロリ菌が原因の胃MALTリンパ腫、

②特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、

③内視鏡治療でがんを取り去った早期胃がんの再発防止、

─と対象が広がり、2013年からは慢性胃炎の人のピロリ菌除菌も保険でできるようになった。

ヘリコバクター・ピロリ胃炎であるかどうかを医療機関でチェックし、陽性とわかったら除菌を行うことをお勧めしたい。

無症状の若い人たちでは、胃がん、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などを完全に抑えることができる。

中高年ではすでに前がん状態に進んでいる場合もあり、除菌後も定期的にフォローする必要がある。

「除菌後も必ず胃がん検診を受け続けます」と一筆とってから、治療を始める専門医もいる。

なお、食塩は胃粘膜のバリアーを侵し、ピロリ菌の毒素がしみ込みやすくなる。胃がん予防には、塩分の取りすぎにも注意したい。
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ホウレンソウと貧血 [医療小文]

 ビジネスマン心得の「ほうれんそう」は、報告、連絡、相談。

 緑色野菜の代表のホウレンソウは、鉄分が豊富だから貧血に効くとされる。

 子どものころから顔色がよくない、貧血気味だといわれ、頬紅メークでなんとかごまかしているという知り合いの女性。

 長年、レバーやホウレンソウをせっせと食べてきた。

 健康雑誌にのっていたとおり生で食べて、ご亭主に〃ウサギ女〃なんて言われていたそう。

 ところが、ホウレンソウはかえって貧血によくないという研究報告があることを知り、青白い顔がよけい青くなってしまった。

 本当なのかと、聞かれた。

 結論を先にいうと、本当だが、そう心配するほどのことはないようだ。

 ホウレンソウには鉄分が大量に含まれているので(生100グラム中2・0ミリグラム。ハクサイやキャベツなどの7倍)、鉄欠乏性貧血の改善に効果的といわれてきた。

 
 それがそうではないどころか、あべこべに貧血を助長するという動物実験の結果を報告をしたのは、広島女子大の研究グループだ。

 実験は、血液を4分の1抜いて、人工的に貧血状態にしたラット(実験用シロネズミ)を三つの群に分け、それぞれ、同じ量の鉄分が摂取できるように調整してある①ホウレンソウを混ぜた餌。②小松菜を混ぜた餌。③シュウ酸を加えた小松菜を混ぜた餌を6週間与え、血液を調べた。

 結果、ホウレンソウを与えた群は、血液中のヘモグロビン(血色素)が、小松菜群と比べてはっきりと少なくなり、貧血症状が一層進んだ。

 また、小松菜にシュウ酸を加えた群もホウレン草群と同じようにヘモグロビンが減少した。

 つまり問題はホウレン草に多く含まれるシュウ酸で、これが鉄分の吸収を妨げることがわかったというわけだ。

 もっとも、実験は(ネズミと人間の体重比からして)人が通常食べる量に換算すると、数倍の量のホウレンソウで行われている。

 健康な人が普通に食べる分にはほとんど何の問題もないし、ホウレンソウにはカロチンやビタミンCも豊富に含まれている。

 ただ、貧血の改善に役立たないことははっきりしたわけだからその目的でホウレンソウを毎日たくさん食べ続けるのは逆効果になりかねない。
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脳腸相関病 [医療小文]

 機能性胃腸症(FD)や過敏性腸症候群(IBS)には心因が絡んでいる症例が多い。

 特にIBSは心理的・社会的ストレスで起こりやすい。

「この病気を考えるうえで、極めて重要なキーワードは、ブレイン・ガット・インタラクションズ(脳腸相関)だ」と専門医は解説している。

 大腸は脳に最も近い臓器で、「第二の脳」とか「心の鏡」といわれるくらい、情動作用においては腸が脳に直接働きかけている。

 腸はいつも脳に神経パルスを送り、脳は常に腸へ信号を出している。

 だからストレスがもろに腸管の運動機能と感覚機能の異常となって現れるのだ。

 運動機能の異常で、腸の動きが速くなると下痢をし、遅くなると便秘が起こる。

 腸がけいれん収縮すると腹痛が生じる。感覚機能が異常になると、腸にちょっとガスがたまっただけでも神経質に感知し、奇妙な苦痛を覚える。

 IBSはいわば「脳腸相関病」なので、これを治すには、単に腸を局所的に診るだけではいけない。

 心のケア──患者と医師との信頼関係が必要という。

 過敏性腸症候群(IBS)の治療薬としては、かつては主に①ポリカルボフィル、②トリメプチン、③抗コリン薬が使われてきた。

 ①は便の水分量を調節する薬で、下痢にも便秘にも効くが、効果が出るのに時間がかかる。

 ②は消化管の平滑筋や粘膜に作用して吐き気や痛みなどを和らげる。

 ③は神経伝達物質のアセチルコリンの作用を妨げ腸管のけいれんを抑える。

 東北大学総合診療部・本郷道夫教授(現公立黒川病院院長)らの調査では、一般臨床医がIBSの患者に処方するのは①が50%。②が16%。③が9%だった。

 2008年、下痢型IBS治療にイリボーという新薬が加わった。

 消化管の運動にかかわる神経伝達物質セロトニンの受容体を阻害することで、下痢、腹痛を抑える。
本郷教授によれば、

「これは日本発の画期的新薬」で、

「腹痛でトイレに駆け込むことがなくなった」

「通勤途中で途中下車しなくてよくなった」

「腹痛・排便の不安がなくなり、業務に集中できるようになった」

といった「嬉しい患者さんたちの声」がぞくぞく届いているそうだ。
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各駅停車症候群 [雑感小文]

 さいたま市の浦和に住む友人は、浦和から東京までの各駅のトイレの場所を全部、把握している。

 そして、各駅停車の電車にしか乗らない。

 過敏性腸症候群だからだ。

 過敏性腸症候群(IBS)は、下腹部の痛みあるいは不快感、便通異常(下痢・便秘)が慢性的に続いているが、大腸や小腸には器質的異常(がん・潰瘍など)は認められない、機能性の腸疾患だ。

 以前は「過敏性大腸炎」と呼ばれていたが、炎症はない病態なので「過敏性大腸症候群」になり、現在は「過敏性腸症候群」で通っている。

 その名のとおり、いきなり生じる便意に対応するには、トイレのない快速には乗れない。

「各駅停車症候群だ」と苦く笑った。

 もう一つ、やはり器質的異常はなにも認められないのに、胸焼けがしたり、腹が張ったり、食後に腹痛が出たりする病気がある。

 機能性胃腸症とか機能性ディスペプシア(上腹部消化管異常=FD)と呼ばれる。

 つまりあらゆる検査を行っても「異常なし」なのだが、胃の具合がわるいのが機能性胃腸症で、腸の調子がおかしいのが過敏性腸症候群。

 上はFD、下はIBSというわけだ。

 どちらもいま、非常に増えていて、腹部の異常を訴えて来院する人の20%以上がFDかIBSだが、インテリジェンスの高い集団を調査すると、罹患(りかん)率はさらに上がるという。

 そう聞くと「実はおれも...」と手を挙げたくなる。
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