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睡眠と夜の酒 [医療小文]

眠りの質を下げない「夜のお酒」の飲み方

よく眠れるようにと、就寝前にお酒を飲むことを「寝酒」と呼びます。

睡眠の専門家は、
「アルコールの摂取は睡眠の質を下げる」と言い続けていますが、なかなか理解されていないようです。

寝酒が睡眠の質を下げる理由と、それを防ぐ夜のお酒の飲み方について、睡眠研究の第一人者である内村直尚・久留米大学教授に聞きました。

日本を含む世界10カ国の3万5327人を対象に睡眠に関連する行動を調査した研究では、寝酒をする日本人の割合は30.3%でした。

10カ国の平均が19.4%ですから、大きく上回ることが分かっています。

日本人の「寝酒信仰」は強いようです。

◇なぜ、お酒を飲むと眠くなるのか

寝酒を習慣にする人にその理由を聞くと、多くの方が「ぐっすり眠れるから」と答えます。

確かにお酒を飲むと眠くなるので、そう思ってしまうのも仕方ありません。

神経細胞の間で情報を伝える物質を神経伝達物質といいます。

脳には「γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)」という神経伝達物質が存在します。

英語名の頭文字を取った略称「GABA=ギャバ」で呼ばれることが多く、健康食品などでこの名前を聞いたことがある人も多いと思います。

脳内の神経細胞にはこのGABAを受け取る部分(GABA受容体)があります。

GABAがGABA受容体に結合すると、神経細胞の興奮が抑制され、鎮静が起こります。

これが眠気をもたらす作用の一つになっています。

お酒を飲むと、胃や腸で吸収されたアルコールが血流に乗って脳内に届きます。

アルコールはGABA受容体に結合するので、GABAがGABA受容体に結合した時と同じように眠気を感じるのです。

◇アセトアルデヒドが覚醒を起こす

しかし、お酒を飲んで倒れこむように眠った後、突然夜中にパッと目が覚めてしまったり、いつもより朝早く目覚めてしまったりした経験を持つ人は多いはずです。

これは、アルコールが分解される過程でできるアセトアルデヒドの作用によるものです。

アセトアルデヒドには交感神経を刺激する作用があります。交感神経は別名「昼の神経」とも呼ばれ、体を活発にする時に働きます。

お酒を飲んで寝ると、睡眠中にアセトアルデヒドが交感神経を刺激してしまい、目が覚めてしまうのです。

早く眠りにつけたとしても、すぐに目覚めてしまうのでは睡眠としてあまり意味をなしません。

成人は健康を維持するために、毎日6~8時間の連続した睡眠を取ることが望ましいからです。

一度目が覚めると、再び眠りにつくことがなかなかできず、睡眠の質が下がってしまいます。つまり、寝酒をすると熟睡ができないのです。

また、寝る前にお酒を飲んで、さらに睡眠改善薬を服用する方がいます。

寝入りはかなりスムーズかもしれませんが、アセトアルデヒドの覚醒効果で薬の効果が相殺されてしまいます。

時には健忘を伴う異常行動が出現することもあります。

 ◇睡眠を妨げないお酒の飲み方

寝酒をしている人の多くは、寝付きをよくするために無理やりお酒を飲んでいるのではなく、お酒が好きで、ついでに寝付きもよくしようという人が多いようです。

そこで睡眠に悪影響を及ぼさないお酒の飲み方をお話しします。

鍵を握るのはアルコールの分解速度です。

体重50~70kgの一般的な成人が、ビール大瓶1本あるいは日本酒1合を飲んだ場合、アルコールが完全に分解されるまでには3~5時間かかるといわれています。

ですから、夜は11時に眠りにつき、翌朝6時に起きるという生活習慣の人ならば、午後6~8時ぐらいにビール大瓶1本あるいは日本酒1合程度を飲むのであれば、睡眠の質にはあまり悪影響を及ぼさないといえます。

つまり、夕食時間中の晩酌程度なら大きな問題はありません。

アルコールの分解速度には個人差があります。

小柄な人や女性は分解速度が遅いといわれていますので、これは一つの目安です。

飲むお酒の量が増えると分解にかかる時間は当然長くなります。

前述の2倍の量を飲むならば、分解には2倍の時間がかかると考えてください。

良好な睡眠のためには、午後8時くらいまでの夕食時にほどほどの晩酌を楽しむのが最適なのです。

(聞き手=ジャーナリスト・村上和巳)
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「寝だめ」の可否 [医学・医療・雑感小文]

ホントに「寝だめ」ってできる?

睡眠は、体と脳を休ませるために不可欠なものです。

きちんと眠ることにより大脳は休息し、翌日、朝から正常に活動出来るのです。

睡眠が不足すると疲労が回復できず、頭痛や全身のだるさ、集中力の欠如などの症状がでてきます。

睡眠中は、体温や血液の温度が下がります。

温度の下がった血液が脳に流れることで、頭が冷やされ、脳の疲労回復に役立ちます。

しかし、睡眠中でも脳の活動は、休止されているわけではありません。

昼間吸収した様々な情報を整理して、必要なものは記憶として脳に記録されます。

成長ホルモンの分泌

また寝ている間に成長ホルモンを分泌します。

成長ホルモンは、子どもだけでなく大人にも必要なものです。

成長ホルモンが不足すると老廃物が溜まってしまい、血管が詰まったり、肌や頭皮のターンオーバーがうまくいかなくなったりする弊害がでます。

免疫力が高まる

風邪を引いたときなど、寝ているのが一番の薬!といいますが、人間は睡眠中に免疫力が高まり、病気を治そうという自然治癒力も働きます。

逆に睡眠不足では、免疫力が低下して、抵抗力も弱まり、風邪を引きやすくなるのです。

平均的な会社員を想定すると、平日は残業や付き合いで睡眠不足が続き、土日に睡眠時間を長くとってその不足分を補おうとしています。

日曜日にお昼近くまで寝てしまったり、日中をダラダラと寝たり起きたりして過ごすと、逆に日曜の夜に寝付けず、結局寝不足状態で月曜日の朝を迎えることになります。

1週間のスタートがそんな状態だと寝不足感の抜けない1週間を送ることになってしまいます。

二度寝より、起きて1日をスタートさせるほうが熟睡できる

ぐっすり熟睡できるのは、眠りに入ってから3時間位です。

その後は、だんだん眠りは浅くなっていきます。

眠くて朝起きるのが辛くても、そこからさらに熟睡することはできません。

中途半端な睡眠と浅いレベルの覚醒を繰り返すばかりで、眠りの充実感は得られないのです。

時間的には長く眠ったつもりでも、体がぐったりした上に精神的にも満足感の少ない状態になります。

この場合は、思い切って起きて、1日をスタートさせ、活動的な1日を過ごせれば、夜になって充実した熟睡を得ることができるでしょう。

「寝だめ」には2種類ある

先取り睡眠

来週は忙しいから、土日に「寝だめ」をしようと考えるのが「先取り睡眠」です。

しかし、休日にたくさん寝てしまうと、体内時計が狂って、逆に仕事が始まってしまってから、睡眠サイクルが乱れてしまいます。

睡眠の貯金をしようとすると逆に浅い眠りになり、結果としては、脳を休めることになりません。

週末もいつもと同じような時間帯に起きていたほうが仕事はじめになってから、疲れが残らないでしょう。

補充睡眠

もう1つは、「補充睡眠」です。

寝不足が続いたからその分長い睡眠時間を取って寝不足を解消する、というタイプの寝だめです。

睡眠不足の状態は、脳が長時間疲労してしまっています。

そこで補充睡眠を取ることは、神経の緊張を和らげ、ある程度の効果が期待できます。

しかし、長い時間眠れば眠るほど疲れが取れる、というものではありません。

普段の起床時間の2時間後ぐらいに起きるようにすれば、睡眠リズムの乱れを防ぐことができます。

起きる時間が大幅にずれてしまうと、体内時計は狂ってしまいますので、就寝時間を早めにして、起床時間はある程度一定にすることが大事です。

執筆 南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長)
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「社会的ジェットラグ」にご用心 [医療小文]

休日の寝だめで体内時計が…!

 社会的ジェットラグとは?

「社会的ジェットラグ」とは、不規則な生活などによって、時計に管理される社会的な時間と、生体リズムによる生物時間との不一致から生じる不調です。

たとえば、平日は仕事や学校、家事などの制約により規則正しい生活を送ります。

しかし、週末になると夜更かしをする、あるいは寝だめをするなど、平日と休日の睡眠時間にズレが生じます。

それがきっかけとなって体内時計が乱れ、時差ボケのような症状を引き起こすというわけです。

この概念は、ローネンバーグ教授率いるミュンヘン大学の研究チームが2006年に提唱しました。

社会的ジェットラグと健康リスク

三島和夫氏(国立精神・神経医療研究センター、睡眠学の専門家)によると、睡眠不足が借金のように重なって慢性的な寝不足になっている「睡眠負債」と、体内にあるたくさんの体内時計間の同調性に乱れが生じる「内的脱同調」とが生じることで、次のような健康リスクが考えられるといいます。

短期的:眠気やパフォーマンスの低下

中期的:記憶、学習、代謝、免疫などの精神・身体機能障害

長期的:気分障害や生活習慣病のリスク増大

海外でも同じような研究結果が2015年に発表されています。

ピッツバーグ大学のウォン氏の研究チームによると、社会的ジェットラグのある人は体格指数(BMI)やウエスト周りが大きく、コレステロール値も高いという傾向が見られたそうです。

いわゆるメタボリックシンドロームになりやすい状況ということです。

インスリン抵抗性が高く糖尿病予備軍と判定された人も多かったといいます。

こうした生活習慣病のリスクがあるということは、やがては心筋梗塞や脳血管障害といった心血管系疾患を招きかねないと指摘しています。

子どもの健康も損ねる!

社会的ジェットラグは大人だけでなく、子どもへの影響も懸念されています。

小学校5年生から高校3年生まで2万人を対象にした調査では、生活パターンが「夜型」の子どもは、体調不良や風邪をひきやすい、朝が不機嫌などの不調が多かったという結果がでています。

「早寝早起き」の子どもが一番健康的というのは、当たり前かもしれませんけれど、改めて普遍的な真実ということを実感します。

社会的ジェットラグの予防

次のような社会的ジェットラグへの予防策が、ピッツバーグ大学医学部から提起されています。

どれも睡眠障害予防として基本的な項目です。

規則正しい生活によって快眠を!

適度な運動で快眠を!

夜遅くに食事をしない!

入浴で深部体温を上げよう!(快眠のため)

朝、太陽の光を浴びて体内時計を整えよう!

夜型の生活や睡眠時間が短いというのは、いわば自己管理の範疇で匙加減によります。

体質的・習慣的に社会的ジェットラグに陥らないためには、自身でコントロールすることです。

一方、環境的な要因についても専門家が警鐘を鳴らしています。

たとえば、シフト勤務や長時間通勤、夏季の朝型出勤など勤務形態による問題です。

国内の働く世代の30%以上が6時間以下の短時間睡眠者であり、原因は長時間労働や通勤事情などによることを考慮するよう指摘されています。

働き方改革推進にあたっては、社会的ジェットラグという視点から考える必要もあるでしょう。

執筆 山本 恵一(メンタルヘルスライター)
監修 株式会社 とらうべ

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睡眠障害12の指針 [医療小文]

 睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会の「睡眠障害対処 12の指針」をご紹介する。

 1 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。

 ●睡眠の長い人、短い人、季節でも変化。8時間にこだわらない。

 ●年をとると必要な睡眠時間は短くなる。

 2 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法。

 ●就寝4時間前のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける。

 ●軽めの読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。

 3 眠たくなってから床に就く。就寝時間にこだわり過ぎない。

 ●眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ、寝つきを悪くする。

 4 同じ時刻に毎日起床。

 ●早寝早起きではなく、早起きが早寝に通じる。

 ●日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝が辛くなる。

 5 光の利用でよい睡眠。

 ●目がさめたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。

 ●夜は明るすぎない照明を。

 6 規則正しい3度の食事。規則的な運動習慣。

 ●朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く。

 ●運動習慣は熟眠を促進。

 7 昼寝をするなら15時前の20~30分。

 ●長い昼寝はかえってぼんやりのもと。

 ●夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。

 8 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに。

 ●寝床で長く過ごしすぎると熟眠感が減る。

 9 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のビクつき・むずむず感は要注意。

 ●背後に睡眠の病気(睡眠時無呼吸症候群。むずむず脚症候群)、専門的な治療が必要。

 10 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に。

 ●長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談。

 ●車の運転に注意。

 11 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。

 ●睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。

 12 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全。

 ●一定時刻に服用し就寝。

 ●アルコールとの併用をしない。
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朝起きられない子ども、病気かも? [医療小文]

新年度が始まりました。

朝なかなか起きられなかったり、朝ご飯を食べられなかったりして、学校に行けない子どもがいます。

でも、午後には元気になって、夜遅くまで起きている。

そんな様子を「怠けている」「夜更かししているからだ」と決めつけるのはちょっと待ってください。

もしかしたら自律神経の乱れによる病気かもしれません。

「怠け」や「夜更かし」と決めつけず、小児科医に相談を━。

思春期の子どもにこの時期によくみられるこうした症状に詳しい西部総合病院(さいたま市)の数間紀夫・小児科部長に、原因や治療法について聞きました。

小学校高学年から高校生にみられる起立性調節障害

「朝起きられない、体がだるいといった症状で受診する子どもは一年の中でも、新学期が始まった4月から6月ごろに多いです。

そうした症状の中には起立性調節障害(OD)という病気が原因のことがあります」と数間さんは言います。

この病気は、自律神経のバランスが崩れることが原因です。

人は立つと、重力で血液が下半身にたまり、血圧が下がります。

健康な人なら、自律神経が働き血管が収縮することで血圧を保っています。

しかし、自律神経が乱れていると、血圧の調節がうまくできずに血圧が低下、脳や全身への血流が弱くなります。

そのため立ちくらみや胸がどきどきするといった症状が出ます。

数間さんは「子どもから大人へ体や心が変化し、心身のバランスが乱れやすい思春期の子ども特有の病気です」と言います。

小学校高学年から高校生ぐらいの年齢に多いそうです。

感受性の強い思春期の子どもはストレスに敏感になりがちです。

学校でのいじめ、家庭の問題、受験、進学のほか、最近は部活動の顧問とのあつれき、友人関係なども影響することがあるそうです。

午前中に症状が悪化、春に多い病気

ODの子どもには、立ちくらみやめまいのほか、立っていると気分が悪くなり、ひどいときには倒れてしまうこともあります。

顔色がさえず、食欲もなく、頭痛や体のだるさといった症状もあります。

脳への血流が下がるので、思考力や判断力も低下し、いらいらすることも。

1年の中でも季節の変わり目、特に春に多いのは、暖かくなり血管が開いて血圧調節がうまくできなくなるからだと考えられています。

他にも進学や進級で環境が変わったことによる精神的なストレスも関係します。

数間さんによると、小学生の5%、中学生の10%程度に病気があるといいます。

該当するような症状がある場合は、小児科医にまず相談してみてください。

血圧を上げることが主な治療になります。

朝の日光を浴びるようにしたり、軽い散歩や家の中で家事をするなど体を動かしたりして、規則正しい生活を送ることを目指します。

水や塩分をいつもより多めにとるのもいいそうです。

血圧を上げる薬を使う薬物治療もあります。

「怠け」「夜更かし」のせいでないかも

朝起きられず、横になってごろごろしているのに、午後になると元気になって体調が回復し、夜遅くまでテレビやゲームで楽しそうにしていることもあります。

そんな様子を見た家族は「学校にも行かず、怠けているんじゃないの」とか「夜更かししているから起きられないんだ」なんて、叱りたくなるかもしれません。

一般的には、思春期を過ぎれば、症状は改善すると言われています。

数間さんは「自律神経の乱れによる病気だと周囲の人が理解して、焦らず、本人のペースに合わせながら見守ってください」と言います。

治療を受け、血圧がコントロールできるようになっても、腹痛や頭痛などの症状が続くこともあります。

こうした場合には、潰瘍(かいよう)性大腸炎などの過敏性腸疾患や脳腫瘍(しゅよう)など別の病気が隠れていることもあります。

繰り返します。小児科医に相談してください。
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横向き睡眠の効果 [医療小文]

 東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんが、なかなか取れない疲れの回復法や疲れにくい体を作るための生活習慣について、テレビで解説した。

 梶本さんによると、疲れは、脳の自律神経で活性酸素が発生し、神経がダメージを受けることで起こる。

 その回復のために高カロリーの食事をしても意味がなく、横向きの姿勢で眠ったり、こまめに休憩を取ったりすることが効果的という。

 特に4、5月は環境が変わることが多く、脳が疲れやすくなるため要注意だと強調した。

 GABAストレス研究センターは、日常的なストレスを軽減し、脳を落ち着いた状態にする効果があるGABA(γ-アミノ酪酸)の人体に対する効果の検証の一貫として、日中に摂取したGABAが同日夜の睡眠にどう影響を与えるか新たな実験を行った。

 結果、就寝前に限らず、昼間に一度ストレスをリセットすることで通常より早く、深い眠りが得られることが判明。

 昼間にGABAを摂取するとで、夜の睡眠においても下記の結果が得られた。

●いつもより7.5分早く眠りにつけた。

●いつもより深く、ぐっすり眠れた。

●いつもより熟睡度が高まった。

●いつもよりすっきり目覚められた。
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生体リズムと睡眠 [医療小文]

  年をとると、寝つきがわるい(入眠困難)、夜中にしばしば目覚めてトイレに立つ(中途覚醒)、朝早く目覚める(早朝覚醒)などの睡眠障害が増える。

 そのため日中にぼんやりしていたり、眠気のためしばしば昼寝をすることになる。

 そうした睡眠障害の原因はさまざまで、夜間の頻尿、睡眠時の呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)、足の不随意な動き(むずむず脚症候群)、関節痛などの身体的要因、神経症やうつ病などの精神的な要因が挙げられている。

 そうした身体的、精神的要因がない場合も睡眠障害が起こることがある。

 睡眠・覚醒リズムの障害だ。

 ヒトや動物では睡眠・覚醒、体温などさまざまな生体機能が約一日を周期としていて、そのリズム(サーカディアンリズムという)は、脳にある〃生体時計〃によって調節されている。
 
 健康な人は、昼夜の明暗を区別する、昼間に仕事をする、他人と接触する、食事をとる、時刻を知る...というような手がかり(同調因子)をもとに毎日、24時間の生体リズムをつくっている。

 高齢になると、生体時計がうまく作動しなくなるため、生体リズムが崩れて、睡眠障害が起こりやすいと考えられている。

 高齢者、とくに認知症の老年者にみられる睡眠・覚醒リズムの障害は、極端な場合には昼夜がまったく逆転して、夜に起きだし昼間は眠っている。

 あるいは一日中眠ったり、覚めたりを繰り返したり、反対に一日中ほとんど眠っていないといった状態がみられる。

 このような睡眠障害にはしばしば徘徊(はいかい)をしたり、大声でどなったり、他人をなぐったりするなどの乱暴な行為、あるいはせん妄(一時的に精神が興奮・錯乱する状態)がみられる。

 そうした睡眠・覚醒障害が起きるのは、生体時計の機能が十分働かないためだ。

 社会生活の第一線から退いた高齢者、とくに認知症の人は、他人と接したり、体を動かす機会が減り、またあまり外に出ずに家にいると十分な明るさが得られず、さらに視力などが低下すると、よけい明暗が区別しづらくなる。

 治療法としては、周囲の人が、そうした人たちと接触する時間を多くし、話しかけたり、一緒に作業するなどの手段を用いて働きかける方法や、非常に明るい光を浴びる高照度光療法などがある。

 家庭で実行できることも多く、効果を上げているという。
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「24時間病」は国民病 [医療小文]

 日本人の約4~5人の1人が何らかの睡眠問題(不眠症状、強い眠気)を抱えている。

 20人に1人(65歳以上では8人に1人)が睡眠薬を必要としている。

 背景には、高齢化、心理社会的ストレスがある。

 放置すると、うつ、糖尿病、高血圧など深刻な心身の問題が生じる。

「もはや睡眠障害は国民病です」と、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所の三島和夫・精神生理研究部部長は話した。

 不眠症状は下のような四つの種類に分類される。

 ●入眠障害(睡眠開始の障害=寝つきが悪い) 就床後、入眠(寝入る)までの時間が延長して(一般的に30分~1時間以上)、寝つきが悪くなる状態。

 ●中途覚醒(睡眠維持の障害=途中で目覚める) いったん入眠した後、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚める状態。加齢に伴い増加する。

 ●早朝覚醒(睡眠維持の障害=早く目覚める) 本人が望む時刻、あるいは通常の起床時刻の2時間以上前に目が覚めてしまい、その後再入眠できない状態。

 ●熟眠障害(非回復性睡眠=回復感欠如。寝た気がしない・疲れがとれない) 睡眠時間は十分であるにもかかわらず、ぐっすり眠れた、または深く眠れたという感覚が得られない状態。

 このような不眠症(睡眠困難)のために日中も疲労、倦怠、集中困難、抑うつ、不安、眠気、頭痛、消化器症状など心身の機能障害が起こる。

「不眠症は、夜だけの問題ではない。24時間病なのです」
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春眠考  [医療小文]

春はなぜ眠いのか?

「春は眠くなる。猫は鼠(ねずみ)を捕る事を忘れ、人は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さへ忘れて正体なくなる」(夏目漱石「草枕」)

春眠不覚暁=しゅんみんあかつきをおぼえず

処処聞啼鳥=しょしょていちょうをきく

夜来風雨声=やらいふううのこえ

花落知多少=はなおつることしんぬたしょうぞ  (孟浩然「春暁」

春暁や人こそ知らね木々の雨   日野草城

今は春の曙(あけぼの)、外では木々に雨が降っている。
草木の芽を育てるこの雨を、あの人はきっと知らない(まだ眠っているだろうから)。

朝寝せり孟浩然を始祖として   水原秋櫻子

春に眠くなるわけは、気候変化(寒暖の差)の影響で―、

①自律神経のバランスが崩れる。

②ホルモン分泌が乱れる。

③新陳代謝が盛んになり、ビタミンB1が不足する。

─など諸説ある。

それらがこもごも相まって疲労感を増し、眠い、だるい、に結びつくのだろう。

中国のことわざに「春困秋乏」というのがある。

「春は眠くてけだるく、秋は疲れやすい」の意味だという。

「春眠暁を覚えず」と詠んだ孟浩然(もうこうねん)は、ざっと1300年前、盛唐の詩人だ。

人間の体のしくみが1000年やそこらではすこしも変わるものではないことを教えてくれる。

そこへもってきて、24時間型社会の現代人の睡眠時間は短くなるばかりで、春のみならず年中眠い。

日本人の平均睡眠時間は7~8時間、サラリーマンの週日のそれは6~7時間。寝不足が常態化している。

寝不足の朝は頭も体もしゃきっとしない。

それが何日も続けば体をこわす。

睡眠不足は栄養失調や運動不足と同じように─いや、あるいはそれ以上に大きな問題だ。

「睡眠時間と生活習慣病のリスク」を調べたいくつかの文献によると、

睡眠不眠の中年の男性は、そうでない同年の男性に比べて、4年後の高血圧のリスクが約2倍、

8年後の糖尿病のリスクが約2~3倍、

12年後には約4.8倍、

睡眠不足が続けば続くほどリスクが高くなっている。

肥満の発症と睡眠時間の変化との関係性を調べた研究データをみると、睡眠時間の短い人ほど肥満の発症率が高い。

なぜ、そんなことになるのか?

睡眠不足だと、インスリン抵抗性が低下し、食欲にかかわるレプチンとかグレリンといったホルモンの分泌がアンバランスになるためだという。

インスリン抵抗性とは、糖質を処理するインスリンの作用─インスリンの「効き具合」のこと。

レプチンは、物を食べておなかがいっぱいになってくると、脂肪から分泌されるホルモンで、脳の視床下部にある摂食中枢に「満腹」のサインを送る。

グレリンは、胃や十二指腸から分泌されるホルモンで、「空腹」のサインを送って、食欲を亢進させる。

睡眠時間を短くすると、レプチンの分泌はへり、グレリンの分泌がふえることがわかっている。

つまり睡眠不足だと、糖質を処理するインスリンの効力が落ちるうえ、満腹のサインは出にくくなり、空腹のサインが出やすくなる。

寝不足の日は食欲がないように思われがちだが、実際は反対で、食欲(特に甘い物への欲求)が亢進し、肥満に直結しやすいことが実験的に確かめられている。

また、睡眠時間が短い人は欠食が多い、喫煙率が高い、寝酒をすると睡眠がかえって障害される。

─など、睡眠は、さまざまな生活習慣と密接に関係している。

これまで生活習慣病の予防は、食事、運動、酒、たばこ―の四つの生活習慣を主として対策が進められてきたが、睡眠が五つ目の生活習慣として非常に重要であることを示すエビデンス(医学的証拠)が集積されつつある。

人間は一生の3分の1近くは眠って過ごすわけだから、これが生活習慣病に無関係であるはずがない。

睡眠習慣は、酒やたばこと違って、特定の人だけではなく、すべての人にかかわる生活習慣だ。

元気に長生きするためには睡眠を含めた包括的な健康づくりが大切なのである。

あってはならぬ「過労死」にしても、煎じつめると「睡眠不足死」といえるのではないか。

よく眠り、よく働こう。
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心筋トロポニン上昇のリスク [医学・医療・雑感小文]

非心筋梗塞の心筋トロポニン上昇、若年患者は死亡リスクが高い

 心筋梗塞以外の原因で血清心筋トロポニン(cTn)値が上昇した、50歳以下の若年患者の多くは、その後の死亡リスクが心筋梗塞患者より高いとする研究結果が、米国のグループにより医学誌「Am J Med」に発表された。

 注 トロポニン= 心筋(心臓の筋肉)の細いフィラメント(細い線)を形成する収縮蛋白。心筋の構成成分であるため、これが血液中に出現する場合には、急性心筋梗塞や不安定狭心症などによって、心筋が傷害されていることを意味する。

 血清cTn値の上昇は心筋梗塞によって生じることが多いが、他のさまざまな疾患でも上昇が見られる。

 同グループは、2000年1月~16年4月に大規模三次医療センター2施設でcTn値上昇が確認された50歳以下の患者のデータを後ろ向きに解析し、cTn値上昇とその後の死亡との関係を検討。

 冠動脈疾患の既往がある患者は除外した。

 登録基準を満たした患者は6,081例。うち心筋梗塞によるcTn値上昇は3,574例(58.8%)で、2,507例(41.2%)は心筋梗塞以外の原因によるものであった。追跡期間の中央値は8.7年だった。

 解析の結果、血清cTn値上昇の原因が心筋梗塞以外であった群は心筋梗塞群より追跡期間中の死亡リスクが有意に高かった。

 非心筋梗塞群では、特に中枢神経系疾患、非虚血性心筋症、末期腎不全による死亡リスクが高かった。

 一方、心筋炎患者では心筋梗塞群より非心筋梗塞群で死亡リスクが低かった。
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