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各駅停車症候群 [雑感小文]

 さいたま市の浦和に住む友人は、浦和から東京までの各駅のトイレの場所を全部、把握している。

 そして、各駅停車の電車にしか乗らない。

 過敏性腸症候群だからだ。

 過敏性腸症候群(IBS)は、下腹部の痛みあるいは不快感、便通異常(下痢・便秘)が慢性的に続いているが、大腸や小腸には器質的異常(がん・潰瘍など)は認められない、機能性の腸疾患だ。

 以前は「過敏性大腸炎」と呼ばれていたが、炎症はない病態なので「過敏性大腸症候群」になり、現在は「過敏性腸症候群」で通っている。

 その名のとおり、いきなり生じる便意に対応するには、トイレのない快速には乗れない。

「各駅停車症候群だ」と苦く笑った。

 もう一つ、やはり器質的異常はなにも認められないのに、胸焼けがしたり、腹が張ったり、食後に腹痛が出たりする病気がある。

 機能性胃腸症とか機能性ディスペプシア(上腹部消化管異常=FD)と呼ばれる。

 つまりあらゆる検査を行っても「異常なし」なのだが、胃の具合がわるいのが機能性胃腸症で、腸の調子がおかしいのが過敏性腸症候群。

 上はFD、下はIBSというわけだ。

 どちらもいま、非常に増えていて、腹部の異常を訴えて来院する人の20%以上がFDかIBSだが、インテリジェンスの高い集団を調査すると、罹患(りかん)率はさらに上がるという。

 そう聞くと「実はおれも...」と手を挙げたくなる。
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