SSブログ

朝型の人と夜型の人、どちらが長生きする? [医学・医療・雑感小文]

 早寝早起きが苦にならない朝型の人と比べ、宵っ張りで朝寝坊の夜型の人は短命に終わる可能性が高いことを示唆する研究結果が、「Chronobiology International」4月11日オンライン版に発表された。

 クロノタイプ(日中の活動や睡眠のリズムの傾向)が夜型の人では、朝型の人と比べて早期死亡リスクが10%高いことが分かったという。

 この研究は、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏らが実施したもの。

 英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した38~73歳の男女43万3268人を対象に平均6.5年追跡し、クロノタイプと全死亡リスクとの関連について検討した。

 クロノタイプは質問票を用いた調査データに基づき「完全な朝型」(対象者に占める割合は27%)、「どちらかといえば朝型」(同35%)、「どちらかといえば夜型」(同28%)、「完全な夜型」(同9%)の4つのタイプに分類した。

 年齢や性別、民族、喫煙の有無、体格指数(BMI)、睡眠時間、社会経済的状況、併存疾患で調整して解析した結果、完全な朝型と比べて、完全な夜型では全死亡リスクが10%高いことが分かった。

 また、完全な夜型では健康上の問題を抱えるリスクも高く、完全な朝型と比べて精神障害リスクは1.94倍、糖尿病リスクは1.30倍、神経障害リスクは1.25倍、胃腸/腹部疾患リスクは1.23倍、呼吸器疾患リスクは1.22倍であることも明らかになった。

 今回の研究は関連が認められたに過ぎず、朝型の人に比べて夜型の人の健康状態が悪い理由も明らかにされていない。

 Knutson氏は「夜遅くまで起きていると、飲酒や喫煙、間食、ドラッグの使用といった不健康な行動に及ぶ機会が多くなる可能性が考えられる」と指摘。

 また、「夜型の人は体内時計が朝型の社会生活に適合しないため、長期的にさまざまな問題につながってしまうのかもしれない」との見方を示している。

 なお、米マウントサイナイ・ヘルスシステムのAndrew Varga氏は「体内時計と社会生活を送るための行動とのずれによって健康が悪化するという考え方は、日中に睡眠を取り、夜間に働くことが多いシフト勤務者で死亡リスクや心血管疾患リスクなどのさまざまな健康リスクが高いことを示したこれまでの研究でも支持されるものだ」と指摘。

 「食事や睡眠のタイミングはインスリンの分泌量に影響し、糖尿病リスクを高めることが報告されているなど、生体リズムはさまざまな機序で健康状態を左右する」と説明している。

 では、夜型の人はどのような対策を取ればよいのだろうか。

 Knutson氏は、徐々に就床時間を早め、朝型の生活リズムに合わせるようにすることを勧めている。

 この際、毎晩少しずつ早めることが重要で、「いきなり通常よりも2~3時間早く寝ようとしても成功しない」としている。

 また、シフト勤務などで夜型の生活を送らざるを得ない場合には、健康的な食事や運動、十分な睡眠時間の確保などを心掛けることで、健康上の問題をある程度は回避できる可能性があると助言している。

 毎日新聞 <医療プレミア> 2018年4月26日
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。