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水虫VSにせ水虫 [医療小文]

 水虫の季節だ。

 けれども、このさい、はっきり知っておいてほしいのは、足(ときには手)に小さな水ぶくれができて薄皮がむけるからといって、その全部が水虫とは限らないということだ。

 ことに足裏にできたものは、だれでもすぐ水虫と考えがちだが、そんなことはない。

 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、汗疱(かんぽう)、接触性皮膚炎その他の皮膚病のこともある。

 こうした「にせ水虫」を水虫と思い込み、自己診断で水虫の薬を使うと、病気が治らないばかりか、かえって症状が悪化することも多い。

 水虫らしいと思っても、水ぶくれをつぶしたり、乾いた皮膚をむしりとったりせず、自然な状態のままでなるべく早く皮膚科医に診てもらおう。

 皮膚科医は、その水ぶくれや皮膚(角質)を取り、顕微鏡で原因菌を調べるのだが、このとき、水虫の薬をつけていると、仮に水虫であっても原因菌の発育が阻止されて正確な診断ができないこともある。

 水虫の正体は、カビの一種の白癬(はくせん)菌だ。

 水虫の足からはがれ落ちた乾いた皮膚の中には、白癬菌が巣くっている。

 屋内のあちこちに散らばったその水虫カビが別の人の足にくっつき、水虫をつくる。

 もっとも、カビがくっついたからといって、だれでも、いつでも、水虫になるわけではない。

 カビが繁殖するには高温多湿の環境が必要だ。

 むれて、じめじめした状態が長く続いたとき、はじめて白癬菌はそこに根づき、水虫が発症する。

 何日も風呂に入らなかったり、同じ靴下をはき続けると水虫の発症率はぐんと高くなる。

 頑固な水虫もちの夫と何年も一緒に暮らしていても平気だったのに、パート勤めを始めたら水虫ができたという女性の例がある。

 それまではいくら白癬菌がくっついても根づくことはなかったのだが、長時間、靴をはき続ける生活を始めたために白癬菌感染の条件が整ったというわけだ。

 水虫の人は、正しい治療を受けるのとともに、水虫菌をまき散らさないよう気をつけなければいけない。

 皮膚面から浮いた皮膚ははさみで切り取るか、入浴中に軽石などでこすり取るとよい。

 昔は水虫に効く薬がなかったので、「水虫の特効薬を発明したらノーベル賞だ」といわれた。

 今はノーベル賞クラスのよく効く水虫薬がいくつもある。

 薬を塗って、症状がおさまっても、完全に治りきるまで薬を塗り続けること。

 中途半端だと、来年の夏、再発する。
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