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水の話を一席 [雑感小文]

 明治34年春、盛岡の中学校を卒業して仙台の高等学校に入学することになった金田一京助を送る短歌会が、同窓の文学青年10名ほどで開かれた。

 後年『銭形平次捕物控』の作家となる1年下級生の野村長一(胡堂)や、2年下の石川一(啄木)もそのなかにいた。

 席題は「藤10首、水10首」だったが、互選のさい、みんなの笑いを誘った歌があった。

 だれもが回ってきたその歌を読むなり、「くすりと笑い、はては、畳の上へ引っくり返って腹のそこからあはあは」と笑った。

 あめつちの酸素の神の恋成りて 水素は終(つい)に水となりにけり

「その歌の主は実に石川君だった」と、金田一京助が著書『石川啄木』に書いている。

 水は、「泉からわき川を流れ海にたたえられたり、雨となって降って来たりする、冷たい液体。

化学的には水素と酸素の化合物としてとらえられる。

 きれいなものは無色透明で飲料に適し、生物の生存に不可欠」と、金田一京助の名が編者の筆頭に挙げられた『新明解国語辞典』には、ある。

「水は副作用のないすばらしい万能薬だ」とは、シモン・バルークという米国の生理学者の言葉。

 鎮静剤、解熱剤、利尿剤、強壮剤、催眠剤として、おだやかで確かな効果が水にはあると言っている。

 朝、起きぬけに水を飲めば、

①目覚めがよくなる。
②食欲が出る。
③便通を促す。
④水の味で体調がわかる(健康状態がよければ水がうまく、体になにか異常があるときは水がうまくない)など、いろいろ効果がある。

 1日3回、コップ1杯の水を飲みほす「水飲み健康法」を勧めるのは、川畑愛義・京都大学名誉教授。

 水には精神の鎮静作用があるから、イライラしたときなど水をゆっくりと飲めば気持ちのたかぶりが静まる。

 昭和の名人、古今亭志ん生がひどい貧乏暮らしをしていたころ、家族のだれかが風邪かなにかで寝込んでしまった。

 医者を呼ぶどころか売薬を買う金もない。閉口した志ん生は言ったそうだ。

「水でも飲んでみな。病気もちったぁ薄まるだろ」
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