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透析直前の「隠れ腎臓病」 [医療小文]

 隠れ腎臓病

 世界の腎臓病関連の学会が、腎機能の低下が慢性的に続いて、やがて透析が必要となる腎臓病をひとまとめに「慢性腎臓病(CKD=クロニック・キドニー・ディジーズ)」と呼ぶことに決めたのは、2002年。

 2006年からは3月の第2木曜日を「世界腎臓デー」として、CKDの早期発見・早期治療の啓発運動を展開している。

 日本腎臓学会は、国内のCKD患者は1330万人、ただちに治療が必要な人だけでも600万人と推定している。

 CKDは、「隠れ腎臓病」と呼ばれるように自覚症状が表れにくく、病院に来たときはもう「透析直前」ということさえある。

 怖いのはそれだけではない。

 CKDがあると、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まり、貧血も起こる。

 CKDの発見からそうした病気の初期異常が見つかることも少なくない。

 CKD早期発見の第一条件は、毎年必ず健診を受けること。

 潜血と尿たんぱくを調べる尿検査は簡便でかなり正確だ。

 だが、それでは異常が見つからないケースもある。

 糖尿病や高血圧の人、これらの病気にかかっている家族をもつ50歳以上の人、貧血の疑いのある人は、より詳しい「KEEP」という検診を受けたほうがよい。

早期発見プログラム、KEEP

 腎臓は、体の老廃物を尿として排せつし、体の水分(体液)量とミネラルを一定に保ち、血圧を調節するホルモンや造血に関与するホルモンを分泌するなど、生命維持に不可欠な役割を担っている。

 だから神さまはちゃんと二つ用意し、一つがダメになっても、もう一つのほうで(それも機能が3分の1に低下しても)生きていけるようにしてくださっている。

 ところが、その大きな予備能力が裏目に出て、機能がかなり低下しても自覚症状が表れず、診断されたときは透析か腎移植しか選択肢がないことも多い。

 この慢性腎臓病を早く見つける簡便な方法が検尿だが、完全ではない。腎機能が下がっていても、たんぱく尿が出ないケースがあるからだ。

 完全を期すには腎臓病早期発見プログラム(KEEP)という検診を受けること。

 通常の尿検査では検出できない微量のアルブミン(単純たんぱく)をチェックし、血液検査の値と身長・体重などから腎機能を総合的に評価できる。

 検診は無料。心配な人はKEEP参加医療施設へ─。

 CKDの段階

 慢性腎臓病(CKD)は、病気がかなり進行するまで症状が表れないので「隠れ腎臓病」と呼ばれる。

 おおまかな目安としては、腎機能が、

 60~90%=ほとんど無症状。たんぱく尿、潜血が認められる。

 30~60%=むくみが見られ、血清クレアチニン値が上がる。

 15~30%=疲れやすく、貧血、血中のカルシウム低下が認められる。

 15%未満=吐き気・食欲低下、息切れなどが起こる。末期腎不全の状態。

 10%以下=透析が開始される。

 CKDは早期発見、早期治療によって進行を防ぐことができる。

 原因となっている病気(糖尿病性腎炎、慢性腎炎、高血圧など)の治療とともに大切なのは、生活習慣の改善だ。

 食事では塩分とカロリーの摂取量を抑える。

 塩分は1日6グラム未満にし、カロリーは体重や活動量によって設定される適正量を守る。

 たばこも腎機能に影響を及ぼし、たんぱく尿をふやす。

 適度の運動を続ける習慣も大切だ。

 以前は腎臓病の人は運動が禁止されたが、現在は運動によって腎機能の低下が進むことはないと分かっている。

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