SSブログ

「賢臓(けんぞう)」の危険な特徴 [医療小文]

 賢い働き者=腎臓

 腎臓は小さいながらも大変な働き者で、しかも非常に賢い臓器なので「腎臓は賢臓(けんぞう)だ」といわれる。

「腎(じん)」と「賢(けん)」、字もよく似ているが、腎臓のすばらしい働きはまさに「賢臓」。

 大きさはにぎりこぶしぐらい。重さはおよそ120グラム─左右合わせて250グラム。

 胃の後ろの辺、背骨の両側にある。

 左右二つあるが、二つなければ生きていけないということはない。

 それどころか、片方の腎臓の3分の1に働きが落ちても生きていける。

 それほど予備能力の大きい臓器だが、それが裏目に出て、透析寸前になるまで異常に気づきにくいのが、腎臓の危険な特徴だ。

 腎臓は三つ、大きな働きをしている。

 一つは尿を作る働き。

 血液を濾過(ろか)して、体に不要の老廃物を尿として排せつする。

 濾過されてきれいになった血液は、体に戻って再循環する。

 二つめは環境調整。

 体内の水分の調節、血圧の調節、塩分の調節、体液の濃度と量の調節、血液の酸性・アルカリ性のバランスの調節。

 三つめは、ホルモンをつくって分泌する内分泌的機能。

 血圧の維持に重要なレニン、赤血球の産生を刺激するエリスロポエチン、骨をつくるビタミンDを活性化する。 

 腎臓と血圧

 腎臓の機能は加齢に伴って低下する。

 70歳以上の男性の約30%、女性の約50%が、腎機能60%未満の慢性腎臓病の基準に合致するといわれる。

 慢性腎臓病の人の多くが高血圧を合併している。

 高血圧は腎臓病を進行させ、腎臓病は高血圧を悪化させる。

 高血圧の人は、血圧測定に加え、ときどき尿検査をして、腎臓への気配りが大切だ。「毎日血圧、ときどき尿検査」を──。

 腎臓病は初期には無症状だ。

 進行を防ぐ決め手は早期発見・早期治療。これしかない。

 腎臓と貧血

 腎臓は尿をつくり、老廃物を排せつし、体の中のミネラルや酸性度を一定に保ち、ビタミンDを活性化し、血圧を調節するホルモン(レニン)や造血に関与するホルモン(エリスロポエチン)を分泌するなど多種多様な働きをしている。

 だから腎臓の機能が慢性的に低下する慢性腎臓病(CKD)になると、体にさまざまな異常が生じる。

 最近、とりわけ貧血の重要性が注目されている。

 貧血は血液中のヘモグロビン(赤血球に含まれる酸素を運ぶたんぱく質)が足りない状態だが、赤血球の産生を刺激するエリスロポエチンの90%は腎臓でつくられるので、CKDになると、貧血(腎性貧血)が起こる。

 腎機能が60%以下になると、貧血の程度が強くなり、腎臓病を進行させ、心血管病を悪化させることが明らかにされている。

 腎性貧血はエリスロポエチン製剤で治療できる。

「この製剤を注射するとヘモグロビンが上昇し、腎機能の低下が抑えられるだけでなく、心血管病の防止にもつながる可能性がある」と、専門家は解説している。

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。