肥満と膵臓がん [健康短信]
10代後半の肥満で膵臓がんリスク増
10歳代の後半に肥満だった人は、成人後に膵臓(すいぞう)がんになりやすい可能性があることが、イスラエルで実施された新たな研究で示された。
男女とも肥満の人は適正体重の場合に比べて膵臓がんリスクは約4倍であることが分かった。
研究の詳細は「Cancer」オンライン版に掲載された。
ラビン医療センターおよびテルアビブ大学(いずれもイスラエル)のZohar Levi氏は今回、1967~2002年に16~19歳で身体検査を受けたイスラエルのユダヤ人男性108万7,358人と女性70万7,212人を対象に、10歳代後半のBMIと成人後の膵臓がん罹患との関連を調べた。
研究では全国がん登録を用いて、2012年までの膵臓がん罹患の有無を追跡した。
中央値で23年の追跡期間中に551人が新たに膵臓がんに罹患していた。
解析の結果、適正体重の人に比べて、肥満の男性では膵臓がんの罹患リスクは3.67倍であり、女性では4.07倍であることが分かった。
また、男性は肥満ではなくともBMIが正常高値や過体重であれば膵臓がんリスクが上昇することも明らかになった。
Levi氏らは、膵臓がん症例の約11%は10歳代後半の過体重や肥満に起因するのではとの見方を示している。
専門家の一人で米膵臓がんアクションネットワークのAllison Rosenzweig氏は、
「これまでの研究でも肥満が膵臓がんリスクを増大させる可能性については報告されていた。
しかし、この研究は、思春期から青年期にかけての肥満や過体重も膵臓がんリスクに影響することを示唆する重要な結果だ」と述べている。
ただし、今回の研究は参加者を後ろ向きに追跡した観察研究であり、過体重や肥満が膵臓がんの原因であることを裏付けるものではない。
Rosenzweig氏は、
「膵臓がんは比較的まれな疾患で、米国では年間、約5万5,000人が罹患(りかん)すると推定されている。
そのため、肥満の人が膵臓がんになる確率は全体的には低く、喫緊の課題というわけではないと思われる」と述べている。
ただし、米国では膵臓がんはがんによる死亡原因の第3位を占め、5年生存率は10%を下回るとされている点を重視すべきだとしている。
Mayanei Hayeshua医療センター(イスラエル)のChanan Meydan氏はこの論文の付随論評で、青年期の体重増加は身体の炎症を引き起こし、細胞が傷害されてがんリスクが増大する可能性を指摘している。
同氏は「肥満による炎症プロセスと悪性腫瘍の炎症プロセスの関連を明らかにすることはとても興味深い」と述べ、
「これらの炎症の背景にあるメカニズムを解明することが、肥満とがんの関連を理解するのに役立つだろう」と付け加えている。
10歳代の後半に肥満だった人は、成人後に膵臓(すいぞう)がんになりやすい可能性があることが、イスラエルで実施された新たな研究で示された。
男女とも肥満の人は適正体重の場合に比べて膵臓がんリスクは約4倍であることが分かった。
研究の詳細は「Cancer」オンライン版に掲載された。
ラビン医療センターおよびテルアビブ大学(いずれもイスラエル)のZohar Levi氏は今回、1967~2002年に16~19歳で身体検査を受けたイスラエルのユダヤ人男性108万7,358人と女性70万7,212人を対象に、10歳代後半のBMIと成人後の膵臓がん罹患との関連を調べた。
研究では全国がん登録を用いて、2012年までの膵臓がん罹患の有無を追跡した。
中央値で23年の追跡期間中に551人が新たに膵臓がんに罹患していた。
解析の結果、適正体重の人に比べて、肥満の男性では膵臓がんの罹患リスクは3.67倍であり、女性では4.07倍であることが分かった。
また、男性は肥満ではなくともBMIが正常高値や過体重であれば膵臓がんリスクが上昇することも明らかになった。
Levi氏らは、膵臓がん症例の約11%は10歳代後半の過体重や肥満に起因するのではとの見方を示している。
専門家の一人で米膵臓がんアクションネットワークのAllison Rosenzweig氏は、
「これまでの研究でも肥満が膵臓がんリスクを増大させる可能性については報告されていた。
しかし、この研究は、思春期から青年期にかけての肥満や過体重も膵臓がんリスクに影響することを示唆する重要な結果だ」と述べている。
ただし、今回の研究は参加者を後ろ向きに追跡した観察研究であり、過体重や肥満が膵臓がんの原因であることを裏付けるものではない。
Rosenzweig氏は、
「膵臓がんは比較的まれな疾患で、米国では年間、約5万5,000人が罹患(りかん)すると推定されている。
そのため、肥満の人が膵臓がんになる確率は全体的には低く、喫緊の課題というわけではないと思われる」と述べている。
ただし、米国では膵臓がんはがんによる死亡原因の第3位を占め、5年生存率は10%を下回るとされている点を重視すべきだとしている。
Mayanei Hayeshua医療センター(イスラエル)のChanan Meydan氏はこの論文の付随論評で、青年期の体重増加は身体の炎症を引き起こし、細胞が傷害されてがんリスクが増大する可能性を指摘している。
同氏は「肥満による炎症プロセスと悪性腫瘍の炎症プロセスの関連を明らかにすることはとても興味深い」と述べ、
「これらの炎症の背景にあるメカニズムを解明することが、肥満とがんの関連を理解するのに役立つだろう」と付け加えている。