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耳が遠くなると認知症になりやすい? [医学・医療・雑感小文]

新しく始まった朝ドラ「半分、青い」を毎回親しく愛「視」している。

作者の北川悦吏子さんがこのドラマのモチーフを得たのは、聴神経腫瘍のため左耳
失聴。

『傘を差すと左側だけ雨音が聴こえず、雨が降っていないかのように感じるのがおもしろくて、「これはドラマになる」と思いました。片耳の聴こえないヒロインが、傘を差しながら空を見て、「半分、青い。」と、つぶやく――。そんな情景が、ポンと浮かんできたんです。』
と話している。

当方は、10年前から両耳失聴(つまり全聾)。「聴」なし、字幕頼りの「視」だけのファンなので、どうも脳への刺激が「半分」かた減殺される感じで、おもしろさを満喫できてないところもある。

そんな折、難聴が認知症の誘因になるようだという記事を読んだ。

以下、その要約。

近年、加齢性難聴と認知症の関係が注目されている。

耳が遠くなると認知症になるのだろうか。

認知症と難聴の関係について、愛知医科大学耳鼻咽喉科の内田育恵・特任准教授の話。

■難聴があると加齢に伴う認知機能の低下が大きい

 世界保健機関(WHO)では会話領域の平均聴力レベルが25dBHL(デシベル・エイチ・エル)を超えると難聴と定義している。

[注]聴力:聞こえの程度のこと。小さい音からだんだん大きくしていき、初めて聞こえた音の強さで測定。様々な音の高さ(周波数)で検査し、平均聴力レベルの値で示す。25dBHL以下は正常とされる。

 国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」という疫学調査によれば、聴力レベルが25dBHLを超える難聴の有病率は65歳以上から急激に増え始め、75~79歳では男性71.4%、女性67.3%、80歳以上になると男性84.3%、女性73.3%が難聴という結果だった。

 この疫学調査に総務省発表人口推計(2010年8月1日時点)を当てはめて推計した結果、65歳以上の難聴人口は約1500万人であることが分かっている。

「聴力が低下すると、相手の声、話の内容が聞きとりにくくなり、話し相手が繰り返し話しかけたり、大きな声を出さなければいけなくなるなど、コミュニケーションの工夫や努力が必要となります。

 仮に高齢者1人に家族が2~3人いるとすれば、難聴がもたらす影響は、本人を含めて、国民の4500万~6000万人に及ぶ深刻な問題といえます」と内田准教授。

 問題は難聴だけではない。難聴があると認知機能の衰えが進むことも同疫学調査から分かってきているのだ。

「認知機能は加齢に伴い誰でも低下していくものですが、難聴があるとその衰えは顕著になります」

 しかも、難聴によって衰える認知機能は、加齢に伴い成熟する知識や言語能力など、老化によって衰えないとされる領域にも及ぶのだという。

■なぜ難聴だと認知機能が低下するのか?

「難聴があると、どうして認知機能も低下するのか、その理由はまだ明確には解明されていません。しかし、いくつかの仮説が考えられています」

 仮説のひとつが、「共通原因説」。

「脳にはたくさんの神経細胞が集まっています。例えば動脈硬化や糖尿病などは神経を障害しますが、音を聞きとる感覚神経と、認知機能をつかさどる中枢神経に同時に影響が及ぶと、同時並行で聴力と認知力の機能低下が起こります」

 つまり、難聴があるから認知症になるのではなく、難聴と認知症に共通の原因が作用するという考えが共通原因説である。

 難聴の人はそうでない人に比べ脳のワーキングメモリーの容量がいっぱいになりやすい?

 もうひとつは、「Effortful Listening仮説」あるいは「認知負荷理論」というものだ。

 Effortful Listeningは直訳すると努力して聞くということ。

 私たちの脳には、パソコンでいうところのワーキングメモリー(情報を一時的に保ちながら操作するための領域)があり、例えば、「2階にメガネを忘れたから取ってこよう」という行為は、このワーキングメモリーに入れられて、一時記憶として保存される。

 しかし、2階に行ったときに、ちょうど雨が降ってきたからとあわてて洗濯物を取り込んだりしていると、「メガネを取ってこよう」という最初の記憶が「洗濯物を取り込む」という記憶に上書きされる形で消されてしまい、1階に戻ってから「肝心のメガネを忘れた!」となる。

 これはワーキングメモリーの容量が限られているために、あれもこれもと同時にやろうとする結果起こる物忘れである。

「実は難聴のある人は、日常生活で、耳から入ってくる少ない情報から内容を理解するために、無意識のうちに人よりも多くのワーキングメモリーを消費してしまっていると考えられています」

 例えば、電車内の聞きとりやすいアナウンスならば小説を読みながらでも内容を理解できるが、音声の悪いアナウンスを聞きとる場合は、他の作業を止めて耳を澄まし集中しなければ聞きとれないという経験をしたことがあるだろう。

 難聴がある人は、日常的に、音声の聞きとりに多くのワーキングメモリー容量を使ってしまい、それが認知機能の低下に影響するという理論である。

 また、「誤解」説というものもある。

 これは難聴が原因で、認知機能のテストで実力よりも低く評価されてしまうというものである。

 一般的な認知症の検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)や長谷川式の認知機能検査は、音声指示で行われるために、聴力が低下していると不利になり、質問をあいまいにしか聞きとれなかったり、聞きとるのに労力を使ってしまい記憶に定着しにくくなるなどして、実際の能力より検査結果が低く出る可能性があるというのだ。

「実験的に聴力が正常な人に、聞きとりにくい音声加工で擬似難聴の条件を作り認知機能の検査をしたところ、重い難聴レベルの音声では約9割の人が認知症患者と同レベルの結果になってしまったという研究報告もあります」

 通常、認知機能の検査をする場合は、検査の前に会話をして聴力がどの程度か確認し、必要に応じて質問を文字で見せるなどするが、中には聴力が衰えていることが見逃されることもあるという。

 最後の「誤解」説は別にして、難聴と認知症がお互いに関連していることは明らかだろう。

 厚生労働省が2015年に発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中でも、認知症発症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、糖尿病、喫煙などとともに、難聴が掲げられているのだ。

■聴力機能は一度壊れたら元には戻らない

 そもそも、どうして難聴は起こるのだろうか。

 難聴になる人とならない人の差はあるのだろうか。

「難聴を引き起こすすべてのメカニズムはまだ解明されていません。

 しかし、難聴の危険因子としては加齢のほかに遺伝的要因や糖尿病、喫煙など様々なリスクが考えられています。

 中でも難聴を起こす最も大きな原因と考えられているのが、騒音です」

 若い頃に大きな音を長期間にわたって聞いていると、年を取ってから難聴になるリスクは高くなるという。

「10代や20代の頃に、大きな音量で音楽などを日常的に聞いていると、60歳を過ぎてから加齢性難聴になるリスクは非常に高くなります。

 また、大音量に長時間さらされると40歳くらいで難聴が起こることもあります。

 怖いのは、聴力機能は一度壊れたら元には戻らないということです」と内田さんは警鐘を鳴らす。

 大音量から耳を守るためには、できるだけ大音量に耳をさらさないことが大事だ。

 コンサートなども1時間に5分くらい休憩を入れるといい。

「工事現場で仕事をしている人などで、その場から抜けられない場合は、耳栓をして耳を休めるようにしてもいいでしょう。

 またライブハウスなどではスピーカーの近く、音の反響がある壁の近くは避けることも重要です」と内田さんは話した。

 高齢者の場合、難聴かと思ったら、耳あかがたまっていたというケースもあるという。

「通常、耳は自浄作用があるので、耳あかは外側へ押し出されるのですが、高齢になると自浄作用が低下して、耳の奥に耳あかがたまってしまうことがあります」  
 
 健康診断では、聴力の検査はしても耳の中まで調べることはない。
耳の聞こえが悪くなったなと思ったら、年だから仕方がないと思わずに、一度、耳鼻咽喉科でしっかり中まで調べてもらうことも大切だ。

■補聴器を使うことで認知症は改善されるか?

 難聴は治療をしても元の聴力に戻すことはできないが、補聴器を使うなどして聴力を補うことは可能である。

 では、補聴器で聴力が回復すれば、認知症も改善されるのだろうか?

「補聴器を使って聴力を補えば認知機能が改善するのかという疑問には、まだ答えが出ていません。また、認知症の人は補聴器の管理や操作をするのが難しいため、使用自体が困難な場合もあります」

 ただし、家族のサポートで補聴器を使うことにより、コミュニケーションが取りやすくなり、認知症に伴う周辺症状が改善される場合もあるという。

 高齢者の難聴、そして難聴と認知症の関連はまだ分からないことも多いが、できるだけ若いうちから、騒音に耳をさらさないようにして、聴力の低下を予防することが大切といえそうだ。

 高齢者の難聴の中には、耳あかなど治療で治る場合もある。

 内田さんは「耳に違和感を覚えたら、一度は耳鼻咽喉科を受診してください」と話した。 

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心房細動と認知症 [医学・医療・雑感小文]

 心房細動(AF)も認知症リスクの一つ

 全身をめぐってきた血液(静脈血)を心臓に受け入れる心房が細かくふるえる心房細動は、長嶋茂雄さんなどを冒した心原性脳塞栓症の原因として知られている。

 この心房細動が認知症をもたらすことがあるという。

 世界の認知症患者は2010年に3,560万人、2030年には6,570万人、2050年には1億1,540万人に上ると推測されている。

 認知症では多くの危険因子が報告されているが、心房細動(AF)もリスクの1つと考えられるようになってきた。

 欧州不整脈学会(EHRA)、米国不整脈学会(HRS)、アジア太平洋不整脈学会(APHRS)、ラテンアメリカ不整脈学会(LAHTS)の「不整脈と認知機能の専門家コンセンサス:ベストプラクティスは何ですか?」が発表された。

 コンセンサスのポイント:AF患者における認知機能障害の予防措置を勧告

 このコンセンサスでは、脳卒中の既往があるAF患者を対象としたメタ解析研究2件が取り上げられた。

 1件は2011年にKwokらが行った7件の研究のメタ解析で、AFを有する患者では認知症のオッズ比(OR)が2.43(95%CI 1.70~3.46、P<0.001、I2=10%)であった。

 オッズ比(Odds ratio)=、ある事象の起こりやすさを2群で比較して示す統計学的な尺度。

 もう1件は2013年にKalantarianらが行った7つの研究のメタ解析で、AFを有する患者では認知機能障害と認知症の相対リスク(RR)が2.70(95%CI 1.82~4.00、I2=32.3%、P=0.18)であった。

 一方、脳卒中の既往がないAF患者を対象としたメタ解析は、2012年にSantangeliらの研究を取り上げており、AFのハザード比(HR)は1.42(95%CI 1.17~1.72、P<0.001)だった。同コンセンサスではこれらの研究以外にも多くの報告を紹介している。

 ハザード比(Hezard Ratio、略してHR)=統計学用語。臨床試験などで使用する相対的な危険度を客観的に比較する方法。

 また、AFにおける認知機能低下の可能性がある複数の機序を提示している

 さらにワルファリンによる治療では、プロトロンビン時間国際基準比(PT-INR)が至適範囲内にある時間(TTR)と認知症新規発症リスクがUカーブの関連を呈し、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は低いTTRより認知症新規発症が少ないという報告を紹介している。

 最後に「AF患者における認知機能障害を予防するための措置に関する勧告」が示されている。
 
 無症候性脳梗塞や脳卒中の発症がアルツハイマー病発症を加速

 かつては、たばこを吸うと認知症が予防できるといわれていた。

 多くの医師が医局や病棟、場合によっては外来で喫煙していた。

 ところが、1998年、認知症やアルツハイマー病の発症が喫煙で約2倍になることが報告された。

 その後、多くの大規模研究の結果、喫煙で認知症が増加することが報告されている。

 2017年に発表された認知症の予防・治療・ケアに関する60ページにわたるレビューでは、潜在的に修正可能なリスクは35%で、全体の寄与リスクとして高年期の喫煙は5%と、中年期の難聴9%、小児期の教育期間の短さ8%に次いで3番目の高さであった。

 喫煙による認知症の相対リスク(RR)は1.6だった。

 AFに関しても、1997年に報告されたRotterdam研究では性、年齢を調整した多変量回帰分析の結果、AFがあると認知症と認知機能低下のORが、それぞれ2.3と1.7になることが示された。

 血管性認知症ではAFとの関連はなかったが、女性特に75歳未満の女性、さらに脳卒中を伴うアルツハイマー病で有意な関連を示した。

 2011年に報告されたACT研究でも、AFでは全認知症のHRが1.38、特にアルツハイマー病ではHR 1.50であった。

  「心原性認知症」という用語がある。

 心不全があると、神経細胞、脳血管内皮細胞、ペリサイト、アストロサイト、細胞外マトリックスなどの機能的統合体neurovascular unitにおいて、アミロイド斑や神経原線維変化を来すアミロイドβ蛋白やタウ蛋白のクリアランスが低下することが示唆されている。

 AFによる無症候性脳梗塞の存在、低いTTRによる微小脳出血などの脳卒中の関与だけでなく、心血管危険因子の存在がneurovascular unitでのアミロイドβ蛋白やタウ蛋白のクリアランス低下を来す可能性も考えられる時代になった。

 脳梗塞を来さなくてもAFはアルツハイマー病の新規発症を増加させ、無症候性脳梗塞や脳卒中の発症がアルツハイマー病発症を加速するようである。

 AF患者の対応では、脳卒中予防、QOLの向上を考えなければならないが、健康寿命の延伸のためには、「AFでは認知症予防もお忘れなく」というメッセージも重要だ。
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ネギとセレン [医学・医療・雑感小文]

 この冬はネギをよく食べた(食べさせられた)。

 風邪をひかなかったのはそのおかげだ、と強く主張する者(女性1名)もある。

 そうかもしれない。

 以下のような記事を新聞で読んだ。

 インフルエンザに感染させたネズミの実験で、ネギのエキスを与えた群は、与えなかった群に比べ症状が軽く、早く治った、とか。

 動物園では、寒さに弱いチンパンジーにネギを食べさせた、とか。

 ネギやタマネギに比較的多く含まれるセレンは、近年注目のミネラルだ。

 生体になくてはならない炭素や酸素や水素など26の「生体必須元素」のうち、きわめて微量ながら不可欠の元素(微量必須元素)が15ある。

 セレンもその一つだ。

 化学的性質は硫黄に似ていて、欠乏するとうっ血性心筋症になりやすく、乳がんや肺がんなどによる死亡率も高まる。

 精液中のセレン濃度が低いと精子の数も少なく、不妊に関係しているかもしれないという。

 また、ビタミンEのような抗酸化作用もあるらしい。

 過酸化物ができないようにするのがEで、減らすのがセレンだ、と聞いた。

 セレン今昔談

 昔、セレンは有害物質とされた。

 土壌中にセレンを多く含む地方があり、そこに生えたセレン含量の高い草を食べると、家畜のヒズメが落ちる中毒症状が起こる。

 この家畜の風土病は、マルコポールの「東方見聞録」にも記されてあるほど古くから知られていた。

 だがその原因は、土地の水がアルカリ性であるためと誤認され、「アルカリ病」と呼ばれた。

 1930年に真因が明らかになり、以来、セレンは動物に対しては常に毒性を示すものとされてきた。

 50年代後半になって、鶏、羊、牛、豚などにみられるある種の病気(白筋病、食餌性肝障害その他)が、少量のセレンを与えると、予防や治療ができることがわかった。

 そうした病気は、土壌中のセレンが乏しいために生じるセレン欠乏症で、ニュージーランドやスカンジナビア諸国に多いそうだ。

「昨日の敵は今日の友」ではないが、かつては有毒元素とみなされたセレンが、栄養学上必要な微量元素であると認められたわけだ。

 しかし、その生理作用には不明な点が少なくなかった。

 近年の研究で、セレンの生理作用がかなり解明された。

 一つは、赤血球の中のグルタチオン過酸化酵素の構成分としてセレンが含まれていて、セレン欠乏症の動物の赤血球は、この酵素の活性が低いことが分かった。

 セレン欠乏症は、セレンを与えると治るし、ビタミンEの投与によっても防いだり治したりすることができる。

 二つを併用すると効果がさらに大きくなることから、ビタミンEとセレンには共通の性質─抗酸化作用があると考えられる。

 体の中で脂肪が酸化された過酸化脂質が増えると、赤血球が壊されて貧血が起こる。

 肝臓や心臓の機能が低下することもある。

 セレンを含むグルタチオン過酸化酵素は、細胞内に生じた過酸化脂質を取り除く働きをする。

 過酸化脂質からつくられる老化物質リポフスチンの生成を抑える作用もあるといわれる。

 セレンは、肉や魚、貝、トマト、ネギ、タマネギ、ニンニク、キノコなどに比較的多く含まれる。

 偏食せず、普通に食べていれば、セレンに限らず、ビタミンもミネラルも欠乏することはない。
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頭を打った! [医学・医療・雑感小文]

 脳は豆腐  
 
 長生きのコツを聞かれて、「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と答えたのは、91歳の天寿を全うした岸信介元首相だった。

 老人の風邪は肺炎に進展しやすい。

 転ぶと、骨折しやすく、太ももの付け根を折って寝たきりになったり、頭を打って大ごとになる例が少なくない。

 脳は、豆腐のように軟らかい組織で、周りを脳脊髄液で囲まれ、頭蓋骨の中に浮かんでいる。

 豆腐の入ったボウルをゴツンとぶつけると、豆腐がゴシャゴシャと動くように、頭を打つと、その衝撃で脳が1秒の10分の1とか100分の1といった速さで振動する。

 頭蓋骨の中で脳が強くゆさぶられ、片方に寄る。

 脳の機能が一時的に障害されて短時間、意識を失ったり、判断力が鈍ったり、記憶喪失を起こしたりする。

「脳振盪(しんとう)」と呼ばれる状態だ。

 たいていすぐに回復して、大したことにはならないのだが、とっさの防御反応が鈍くなった人は、頭をまともに打って、脳の中に血液がたまる「硬膜下血腫」ができることがある。

 硬膜下血腫

 転んで頭を打っても、コブなどはできないことがある。

 頭の外側には何の変化も認められない。

 だが脳の表面が傷つき、出血して、脳の表面と脳を覆っている硬膜の間に血液がたまり、血腫ができることがある。

 硬膜下血腫という。

 出血量の多い「急性硬膜下血腫」の場合、数時間内に意識を失うなどの異常が生じる。

 しかし、チョロッと出血したぐらいでは症状はほとんど出ないと、脳神経外科の専門家、平川公義・東京医科歯科大学名誉教授。

「症状が出たとしても、手足の力がなんとなく弱いとか、歩くときにちょっとふらつくとか、せいぜいそんなものです」

 ──そして1日か2日で元に戻る。出血が吸収されてしまうからだ。

「しかし、2、3日たってもどうも頭が痛い、へんな感じがあるというようなら病院に行ってください。

 何もなければそのまま何もしないで、むしろ1カ月か1カ月半たってなんだかおかしいと感じたら、CTで検査してもらい、確定診断を受けたほうがよいでしょう」

 ──そのとき脳では「慢性硬膜下血腫」が発生している。

 脳の硬膜の内側に血の塊ができる「慢性硬膜下血腫」は、高齢者に多くみられる脳障害で、頭を打ってから1カ月、ときには2、3カ月たってから徐々に症状が現れてくる。

「頭重や頭痛も訴えますが、足がふらつき、体の片側に軽いまひが生じることもあります。

 なんとなく周囲の状況がよくわからない感じで、ボーッとして反応が悪くなります。

 高齢者の慢性硬膜下血腫はよく見逃されたり、誤診されて老年性痴呆と間違われることがあります。

 ぼけてしまったということでほうっておかれると、治る認知症を見逃すことになります」

「また、例えば、正常圧水頭症といって、脳の中の脳脊髄液の循環が悪くなって、脳に水がたまってくる病気でも、ふらついたり、言葉がもつれたり、意識が悪くなったり、失禁したりします。

 お年寄りの頭の具合がだんだんおかしくなってきたら、頭の中で何が起こっているか、詳しく調べて、原因を突き止めなければいけません」

 以上、平川公義・東京医科歯科大名誉教授のアドバイス。
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大腿裏症候群は後ろ歩きで防げる [医学・医療・雑感小文]

 プロ野球開幕で思い出した。

 長嶋巨人軍時代のある年、開幕早々、主力投手陣の斎藤、槙原がそろって「大腿裏症候群」のために戦列を離れたのがひびき、終始、下位を低迷するということがあった。

 大腿裏症候群とは、その名のとおり太ももの裏に生じたいろいろな病的変化。

 最も多いのは、ハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋など)の肉ばなれなど、筋肉をいためる例のようだ。

 これを防ぐには「後ろ歩き」がよいと、運動生理学の専門家が言っている。

 後ろ向きに歩くと、ふだんは使わない足の筋肉を使うことになる。

 特に太ももの裏の大腿二頭筋、ふくらはぎの腓腹筋、その下の平目筋、アキレス腱が使われる。

 やってみるとわかるが、後ろ歩きを始めると、太ももの裏に軽い痛みが生じ、筋肉が張ってくる。

 前歩きに戻ると、体がすっと浮くように感じる。

 最初はそう長くはできない。

 しかし、慣れてくると、そうした痛みや張りは感じなくなる。

 後ろ歩きは、大腿裏症候群のみならず変形性膝関節症を防ぎ・治すのにも役立つ。

 大腿の筋肉が強くなるとひざの安定性が増すからだ。

 後ろ歩きは、前歩きよりもずっと運動量が大きい。

 すぐ体が温まる。つまりそれだけ血行がよくなっているわけだ。

 血行がよくなり、足腰が鍛えられるのだから腰痛などにも効果的だと思う。

 はばかりながらかく申す拙者、後ろ歩きの達人でござって(なぜか、急にサムライ言葉になったが)、30年来、毎日小1時間のウォーキングの途中500メートル以上、後ろ歩きをやっとり申す。

 おかげでこの年(85歳)になるまでひざ痛、腰痛を知らない。

 変形性膝関節症患者の典型とされる、ひどいガニ股なのだが。

 老年のひざ痛や腰痛を防ぎたかったら、あなたも、ぜひ、足腰の達者なうちから後ろ歩きを──!

 ただ、最初のうちは足にかかる力のバランスを崩しやすい。

 ふらついて足首をくじいたりする恐れがある。

 慣れるまでは静かに少しずつやることだ。

 この点、くれぐれもご注意ください。

 健康のための運動でケガをしてはなんにもならない。

 場所の選択も大切。見えない後ろへ向かって歩くのだから危険防止にはじゅうぶんな注意が必要だ。

 ①自動車の走っていない所。
 ②人とぶつかる恐れのない所。
 ③平坦でデコボコしてない所。
 ④石ころなどがない所。
 ⑤真っ直ぐな道。──がよい。

 学校の運動場、公園の遊歩道、(それほど自転車が走ってないときの)サイクリング道路などは、格好の後ろ歩きの場といえる。

 さらにもってこいの場所はプールだ。

 水の抵抗が加わる分、運動量が増す。

 体を軽く左右にひねりながら後ろへ歩くと腰痛、ひざ痛、太もも痛を防ぎ・治す効果抜群と、専門家はいう。

 陸上でも、この「後ろひねり歩き」を混ぜながらやるといいようだ。

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活力年齢 [医学・医療・雑感小文]

 高齢者の3人に2人が病院で処方された薬をのんでいる。

 いちばん多いのは高血圧の薬で3人に1人、コレステロールを下げる薬が5人に1人、睡眠薬が10人に1人、胃の薬、糖尿病の薬、骨粗しょう症の薬、前立腺の薬もけっこう多い。

 半面、病院通いとは無縁の高齢者も3人に1人はいる。

 わが身辺の小世界にも、そんな健康人間が何人も見つかる。

 実年齢よりも活力年齢(バイタルエイジ)がぐんと若い人たちだ。

 活力年齢とは、動脈硬化危険因子(血圧、コレステロール値、血液サラサラ度、内臓脂肪)と、体力諸要素(骨密度、関節可動域、筋力、平衡性、持久力─ひらたく言えば、骨がしっかりしていて、手足がよく動き、力が強く、体がふらつかず、長続きする)の水準を統合して求める指標。

 要するに「体の若さ」度だ。

 活力年齢を若くする必須条件は、まずメタボ脱出。

 それには、「一に食事(適正食)、二、三がなくて、四にしっかり運動、禁煙。五に医療(薬)です」と、田中喜代次・筑波大大学院教授(スポーツ医学)は話した。

 田中 喜代次 筑波大学 体育系 教授 担当 体育専門学群 研究 健康度指標(活力年齢)の評価、肥満者の減量支援、高齢者の健幸華齢支援
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誤嚥と誤飲 [医学・医療・雑感小文]

 幼児が、硬貨やたばこなど食べてはいけない物を口に入れて、飲み込んでしまう「誤飲」に対して、食べ物や飲み物が気道のほうへ入ってしまうことを「誤嚥」(ごえん)という。

 つまり危険な物が消化器に入るのが誤飲で、食べた物が呼吸器に入るのが誤嚥だ。

 新聞用語では「嚥下(えんか、えんげ)」を「のみ込む、のみ下ろす」と書き換えるのが普通なので、誤飲と誤嚥が混同されることがある。

 お年寄りや脳卒中の後遺症のある人などは、誤嚥しやすい。

 それがもとで肺炎を起こすことが多い。「誤嚥性肺炎」だ。

 誤嚥の起こり方は、三つに分類される。

 1 食事のさいにむせて、飲食物が気管のほうへ入ってしまう。

 このとき、口の中に病原菌があると。それも一緒に入っていき、そのために肺炎が起こる。

 2 胃液が逆流し、気管から肺に入る。胃酸は強い塩酸だから肺に炎症をつくる。

 3 眠っている間など無意識のうちに、口の中やのどの辺りの病原菌を肺に吸引してしまう。

 サイレント・アスピレーション(吸引)と呼ばれ、お年寄りの誤嚥性肺炎では最も重要視されている。

 誤嚥を防ぐには、食物は少しずつゆっくり食べる。

 病気の人も上体を起こして食べ、食後は歯を磨き、うがいをし、できれば2時間ほどは座っている。
 
 寝たきりのお年寄りにそのような介助をしたところ、肺炎の発症率がぐんと減ったという報告がある。

 誤嚥性肺炎は、元気な人もかかる肺炎だから、毎食後、就寝前の歯磨きで口の中をきれいにし、胃からの逆流を防ぐにはやや高めの枕がよいようだ。

 幼児の誤飲

 カメラやゲーム機などのボタン型電池を幼児が誤って飲み込む事故は、とても多い。

「赤ちゃんは、ピカピカして丸いものが大好き。赤ちゃんの手の届くところにそうした電池を置かない。誤って飲んでしまったら、すぐ水を飲ませ、病院へ」と、救急の専門医。

 小さな子どもは、大人が思いもよらない物を口に入れる。

 硬貨、部品類、たばこなど家のなかには危険物がいっぱい!

 もしものときの対応は?

 ●硬貨や小さな部品類=たいてい便と一緒に出てくる。

 ●たばこ=舌の付け根を押して吐かせる。

 ニコチンの吸収を早めるので、水や牛乳を飲ませてはいけない。

 ニコチンは24時間で体の外へ出る。

 1日たっても異常がなければ心配ない。

 ●大部分の薬=水や牛乳を飲ませて吐かせる。(のどの奥の舌の部分を押して刺激する)

 ●トイレ用洗剤、漂白剤など=牛乳か卵白を飲ませ、吐かせない。(吐くと食道の粘膜を再び傷つける)

 ●ガソリン、灯油、ベンジン、マニキュア除光液などの揮発性物質=何も飲ませず、吐かせない。(吐いたものが気管に入り肺炎になる)

 ●ナフタリン、防虫剤=牛乳は飲ませない。吐かせる。

 このほか、意識障害がある。けいれんしている。唾液や吐いた物に血がまじる。とがった物を飲んだときも、吐かせない。

 病院に行くときは、飲んだ物の容器や説明書などを忘れずに持参する。

 急な相談は、日本中毒情報センターの「中毒110番」へ。

 ■大阪中毒110番(365日 24時間対応) 072-727-2499

 ■つくば中毒110番(365日 9時~21時対応) 029-852-9999

 ■タバコ専用電話(テープによる一般市民向け情報提供。365日・24時間対応) 072-726-9922
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何を、どう、いつ食べる?  [医学・医療・雑感小文]

マインドフル・イーティング

ゆっくり、食事に意識を集中して食べることで、より健康になるという「マインドフル・イーティング」が話題になっている。

医療系メディアBMJ Openの新しい研究によると、ゆっくり食べる人は、食べるのが速い人に比べて太りにくいことがわかった。

また食べるのを遅くすることで、体重が減りやすくなるという。

研究者たちは、糖尿病患者6万人のデータを6年間にわたって調べた。

どれくらい速く食べるか、アルコール消費の有無、睡眠パターン、睡眠の2時間前までに夕食を食べるかどうか、夕食のあとに軽食をとるかどうか、朝食をとるかどうかといった生活習慣について、被験者たちに尋ねた。

肥満になりやすいかどうかは、あらゆる食習慣とかかわっている。

そのなかでも、食べるスピードは大きな影響をもつ。

たとえば普通のスピードで食べる人は、食べるのが速い人に比べて29%肥満になりにくく、ゆっくり食べる人は42%肥満になりにくい。

食べるのを遅くした人は、体重が減りやすくなることがわかった。

研究は、自然の食習慣と時間経過による変化をとらえた「観察研究」だ。

「速く食べる人は体重が増えやすい」というほかの研究結果とマッチするという。

これは単に食べる総量の話ではなく、満腹ホルモンの反応に関係するものだ。

ある研究によれば、アイスクリームをゆっくり食べるように言われた人は、速く食べるように言われた人に比べて消化管ホルモンがより多く分泌し、満腹を感じやすかったという。

「いつ食べるか」は「何を食べるか」と同じくらい重要であると繰り返し示されている。

深夜にものを食べる人は、眠る前の数時間に食べない人に比べて、メタボリックシンドロームや体重増加のリスクが大きいことが知られている。

朝食を食べるのが健康にいいかどうかは常に議論されてきた問題だが、今回の研究では朝食を食べたほうがいいとされている。

「朝食を抜くことで、体重が増えたり肥満になりやすくなったりするほか、それはメタボリックシンドロームのリスク要因にもなります」と論文の著者は書いている。

「私たちの研究結果によれば、朝食を欠かさずにとることで肥満になりにくくなります。これは過去の研究結果を支持するものです」

今回の研究が示すこととは、私たちがすでに知っていることが間違っていなかったということである。

ゆっくり、マインドフルに食べること、しかるべき(できれば早めの)時間に食べること、そして朝食をとることは、長期的に見れば健康になることを助ける習慣なのだ。

何を食べるかは、もちろん重要だ。

しかし、どう食べるか──食べ物に対する姿勢と行動──も同じくらい重要なのだ。
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1日3食は必要ナシ? [医学・医療・雑感小文]

老けない身体を作る「食べ方」

人間(のみならず、生きものすべて)、食わなきゃ生きていられない。

だが、1日3度も食べることはない。

食べ方を見直そうと、「週刊女性PRIME / 2018年3月17日」が、提唱している。

以下、その全文。

和食離れが進む日本、老けない身体は食生活の見直しから!

「間違った情報に洗脳されている人が実に多い。

正しい食事の法則を知ることこそ若さと健康を維持する秘訣」と語るのは、細胞から元気になるための「細胞環境デザイン学」を独自に提唱する杏林予防医学研究所所長・山田豊文先生。

「肉や卵、乳製品などの高脂肪高タンパク食が推奨され、主食は白米や小麦粉など精製されたものばかり。

日常的に添加物たっぷりの加工品を食べる。

そんな食習慣が肥満や生活習慣病の増加に直結しているんです。

老けない身体作りを目指すなら、まず今の食生活の間違いに気づくことが重要です」

まずは今の自分の身体の状態を知ることから。思い当たる生活習慣にチェックを。

【体内年齢がわかるチェックリスト】

□1日3食以上、食べる
□おやつは欠かせない
□牛乳をよく飲む
□ファストフードをよく食べる
□外食が多い
□揚げ物など油っこい食べ物が好き
□朝食はパンとマーガリンが定番メニュー
□早食いであまりかまない
□パスタやラーメンなど麺類が好き
□甘いお菓子に目がない
□満腹になるまで食べてしまう
□毎日お肉を食べる
□清涼飲料水をよく飲む
□白いご飯やパンをたくさん食べる
□オリーブオイルはどれだけとっても太らないと思う
□生野菜をあまり食べない
□体調が悪いときは食欲がなくても食べるようにしている
□糖質制限をしている、またはしたことがある
□コレステロールは身体に悪いと思う
□健康のために塩分を控えている
□夜更かしして朝遅く起きるサイクルになりがち
□食べ物の好き嫌いが多く偏食
□体調を崩したらすぐに薬を飲む
□週3日以上お酒を飲む
□タバコを吸う
【診断】
0~5個:体内年齢30歳。身体を老けさせない、質のいい食生活を送れています。細胞に働く食べ方を続けて、若々しい身体をキープしていきましょう。

6~10個:体内年齢40歳。おおむね良好な食生活です。ときどき身体に悪いものを口にしているものの、それをカバーできる生活が身についているといえます。

11~15個:体内年齢50歳。よい習慣と悪い習慣が半々の状態。暴飲暴食を続けると、年齢とともに体内老化が進行します。意識して食生活を切り替えましょう。
16~20個:体内年齢60歳。ついつい甘いものや手軽な加工食品に手がのびがち。このままでは体内老化は加速するばかり。注意報発令中と肝に銘じましょう。

21~25個:体内年齢70歳。すでに身体が悲鳴をあげています。今の食生活では寿命を縮める危険度大。一刻も早く食生活を改め身体をレスキューすることが必要。

これが穀菜食の基本ルール

病気や不調を遠ざける食べ方の基本は、玄米を中心とした穀物+たっぷりの野菜からなる「穀菜食」。

これを実践するだけで、老化スピードは遅くなり若々しい心と身体を保てます。

■玄米ご飯+具だくさんのみそ汁が基本
●玄米ご飯
ミネラルや食物繊維など身体に必要な栄養が凝縮。毎日の主食を玄米に替えるだけで食事の質を上げられる。

●みそ汁
発酵食品のみそと旬の野菜で栄養の濃い一品に。また、大豆が原料のみそは大事なタンパク源であり、ミネラルも豊富。

●野菜&いも類
緑黄色・淡色・いも類多種類を食べよう。野菜は植物性の健康成分ファイトケミカルの宝庫。旬の新鮮な野菜を選んでとりたい。里いもやさつまいもなどのいも類には食物繊維が豊富で腸だけでなく全身の健康に役立つ。

●きのこ類
食物繊維やビタミンを多く含み、免疫力アップにも貢献してくれる。ほどよい食感があるため、よくかんで食べるにもつながる。

●果実類
ビタミンをはじめとする豊富な栄養を含む旬の果物。なるべく皮ごと食べるようにすると、よりたくさんの栄養を補給できる。

●海藻類
海藻類は、現代人が不足しがちなミネラルの宝庫。わかめや昆布、のりなど日本の食卓では欠かせない食材といえる。

●種実類
クルミなどの種実類には、ビタミン、ミネラルのほかオメガ3脂肪酸や食物繊維も豊富。料理やおやつに活用して。

●良質な油
体内で作ることができないオメガ3脂肪酸は意識して摂取を。その代表的な摂取源が、亜麻仁油や天然の小型の青魚。

●豆類
重要なタンパク源であり、マグネシウムや鉄、亜鉛などミネラルも豊富。納豆などの大豆発酵食品も積極的にとりたい。

食べ方のポイントは「小食」と「よくかむ」

何を食べるかと同時に大切なのが、どう食べるか。余分なものをため込まないために、二つのルールを心得て。

 一つめは、小食を習慣づけること。

現代人は高タンパク高脂肪食を好む傾向があるほか、常に過食の状態。食事量や回数を減らし、空腹の時間を増やすだけで消化への負担が減り、細胞が元気に働き始めます。まずは間食をやめるなど、できることから始め、最終的には1日2食が理想です。

《空腹でアップする五つの力》
(1)体内の有害物質を排出する力がアップ
(2)酵素の節約により体内の治癒力がアップ
(3)内臓を休ませることで機能がアップ
(4)睡眠の質や集中力がアップ
(5)血液サラサラ効果がアップ

 二つめは、よくかんで食べること。

咀嚼によって分泌される唾液は、食物の消化や栄養の吸収をスムーズにするほか、よくかむことで満腹中枢が刺激されるなど、さまざまなメリットがあります。

《唾液の五つの働き》
(1)消化酵素が含まれており消化を助ける
(2)口内の滑りをよくして飲み込みやすくする
(3)食べ物の栄養の吸収をスムーズにする
(4)口の中を殺菌し、免疫が高まる
(5)粘膜を保護して口腔内を保湿する

身体をレスキューする食べ方&食材

ふだん食事に気を配っていても、つい誘惑に負けてしまうことも。
暴飲暴食は老化の元凶です。

ここからは、食べすぎ飲みすぎたときに実践したい、レスキュー法をご紹介します。

■「小食・断食」で暴飲暴食をリセット

身体の老けに直結する生活習慣病のほとんどは、乱れた食習慣、特に過食が原因。

身体をリセットして若返りを目指すなら、食事の質だけでなく、量や回数も意識することが必要です。

とはいえ、これまで1日3食だった人が、いきなり1食抜くのは大変。

そこで、まずは間食をやめる、夕食を軽めにすることから少しずつ食事量を減らしてみましょう。

1食減らす場合も、夜は仕事の付き合いや家族との団らんで難しい場合は、朝と昼のどちらかをカットしてもOK。

自分の生活ペースやできる範囲を調整しつつも、食事を減らすというレスキュー法は、意識して日常生活に取り入れていきましょう。

手軽な方法として編集部が提案するのは「半日プチリセットプログラム」。

2日間の食事のうち、1日目の夜と2日目の朝を手作りジュースに置き換えます。

手作りジュースの例:いちご100gとレモン1/2個をジューサーにかけて、無調整豆乳80mlを混ぜ合わせる。

■お酒・ジャンクフード好きな人はこの食材で「肝臓の解毒力」をアップ

アルコール、添加物、有害金属といった体内に取り込まれる毒素を処理するのが肝臓。

この処理をサポートするのが、亜鉛、マグネシウム、ナイアシン(ビタミンB3)です。

さらに、にんにくやニラなどの香りの強い野菜に含まれている硫化アリルや、玉ねぎのケルセチン、ホタテに含まれるセレン、イワシやサンマなどの青魚に含まれる含硫アミノ酸には、「キレート作用」という働きがあり、血液中の有害ミネラルを無毒化してくれます。

お酒・ジャンクフードが好きな人は特に、これらの野菜を積極的に取り入れて、体内に毒素をためないきれいな状態を保ちましょう。

■食中毒やストレスから身体を守る「体内殺菌」

キレート作用のある食材で肝機能アップを心がけることに加えて、体内の殺菌に役立つ食材をとることも、解毒力を高めるのに欠かせません。

そこで役立つのが、イソチオシアネート類と呼ばれるファイトケミカル。

ファイトケミカル=野菜、果物、豆類、芋類、海藻、お茶やハーブなど、植物性食品の色素や香り、アクなどの成分から発見された化学物質。 抗酸化力、免疫力のアップなど、健康維持・改善に役立つ。

野菜に含まれるファイトケミカルは、野菜自身が太陽の紫外線から身を守ったり、害虫に食べられるのを防いだりと、自分の身を守るために作り出されていると考えられています。

特にアブラナ科の植物に多く含まれており、高い殺菌力を持つことで知られるわさびもその一種。そのほか、キャベツやクレソン、ルッコラ、からし、芽キャベツ、大根などに含まれています。

サラダや付け合わせ、薬味として食卓に取り入れることで、毒素やストレス、がんなどから身体を守ってくれます。

老化を加速させる食べ物・食べ方はやめよう!

牛乳や乳製品、肉や卵などの動物性食品、細胞を壊す油「トランス脂肪酸」を含むマーガリンやショートニング、それを使ったスナック菓子やパン、食品添加物まみれの加工食品などを、食卓から遠ざけること。

「どう食べるか」も重要。

(NG)食事をしながら飲み物をとる
よくかまずに飲み物で流し込んでしまうと、消化吸収に支障をきたし、全身の老化を加速する羽目に。

(NG)体調が悪いときに無理に食べる
「食欲がなくても食べたほうがいい」というのは間違い。
野生動物は、体調が悪いときはエサをとらないもの。それは回復を早めるための本能的な行動なのです。

(NG)1日3食お腹いっぱい食べる
1日3食満腹になるまで食べると、内臓は本来、空腹時に行う全身の細胞のメンテナンスが適切に行えなくなります。

(NG)時間がないときに早食いする
早食い=かむ回数が少ないということ。その結果、当然、消化吸収に支障が。
過度に精製・加工されたものや、やわらかい食べ物は避け、かみごたえのある穀菜食を。

(NG)白米や白いパン、白い麺類を食べる
精製された穀物は、ミネラルやビタミン、食物繊維などの栄養が取り除かれた「裸の炭水化物食品」。玄米などの「服を着た炭水化物食品」に替えて!

究極の老化防止は「がんに効く野菜を毎日食べる」
健康な人でも、1日数百というがん細胞が発生しているといわれ、それらを退治するのが、身体の免疫力や抗酸化力。

発生したがん細胞を増殖させないために、食事では免疫力を高める栄養や、抗酸化成分を含む食材を積極的にとることが大切。

なかでもがん予防には植物の色素や香りを構成している成分・ファイトケミカルが有効です。

抗酸化成分として知られるポリフェノールもファイトケミカルのひとつ。
ほかにもさまざまな種類があります。

〈教えてくれたひと〉
山田豊文先生◎杏林予防医学研究所所長。細胞の環境を整えれば健康に生きていけるという「細胞環境デザイン学」を提唱。監修ムック『老けない体をつくる新習慣』(宝島社)が発売中
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「食べること」は「生きること」 [医学・医療・雑感小文]

口で食べよう

30年も前、肝臓を3分の1チョン切る手術を受けた。

術後数日はメシが食えず(「経管栄養法」というのか)点滴で栄養を補給していた。

口から食べる「経口摂取」になったとき、担当チームの研修医から言われた。

「どんどん食べてください。口から食べると体に力がつきますから」

へぇ、そんなものかと思った。

先日、ネットでこんな記事を読んだ。要約してみる。

私たちは生きていくための栄養を食事から摂っていますが、「食べること」は単に栄養摂取の一手段ではなく、健康を維持したり、生きる楽しみを味わう機会でもあります。

ところが、食べる機能の低下や病気によって、食べることができなくなってしまうことがあります。

食事を口から食べることの大切さ

口から食べることは、単に栄養を摂取するだけではない、次のようなメリットがあります。

 神経系を活性化する

食べものを認識し、手を使って口まで運び、歯で噛み、味わって飲み込む一連の動作。

何となく行動しているようでも、実際には脳の指令によって、さまざまな情報伝達、指令系統を働かしています。

これら一連の動作は神経系の活性化につながっています。

脳が活性化する

食事は見た目や匂い、食感や味覚などの五感を刺激します。

「おいしい」「嬉しい」といった感覚・感情も、脳を刺激し活性化させます。

また、噛むことで、脳の機能を向上させる効果もあります。

口腔内を清潔に保つ

食べものを口から摂り、噛むことで唾液が多く分泌されます。

唾液には口腔内を清潔に保つための自浄機能があり、口の雑菌繁殖を抑え、口腔内のトラブルや、肺炎などの病気の予防になります。

生活の質(QOL)を向上させる

家族や友人、周囲の人びととの会話も楽しめる食事や、季節感を感じることのできる食事は、 満足感や充実感を得ることができQOL(生活の質)も向上します。

口から食べることの楽しみは何よりも生きる楽しみ、元気の源となるのです。

口から食べることが難しくなる原因

脳からの指令で「摂食・嚥下(えんげ=飲みこむ)」動作が行われ、「食べること」ができます。

ところが、食べる機能に支障をきたすと、飲み込もうとして気管へ入ってしまったり、むせてしまったり、食道へ入っていかず喉に残ってしまうといった「誤嚥(ごえん)」と呼ばれるトラブルがみられます。

また、口から食べることが難しくなる主な原因には次のものがあげられます。

・脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)による麻痺・加齢による摂食・嚥下機能の低下

・舌、咽頭、喉頭癌など口腔の形態的な問題

・パーキンソン病などの神経や筋肉の病気

食べる機能が低下するとどうなる?

食べる機能が低下すると、栄養が十分に摂れなかったり、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こすリスクが高まります。

肺炎は日本人の死亡原因第3位で、多くは高齢者が「誤嚥」することで発症しています。

さらに、誤嚥性肺炎の入院治療中、食べない時間が長くなり飲みこむ機能がさらに低下することで、寝たきりとなってしまうケースもあります。

食べる機能を保つために

では、いつまでも口から食べ続けられるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

生活習慣を改善する

摂食・嚥下障害の主な原因となる脳血管障害は、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの病気によって発症のリスクが高まります。

これらの病気は生活習慣病ともいわれ、喫煙などを含む生活習慣の改善が必要です。

嚥下にまだ問題がない頃から、栄養バランスのとれた3食の食事、適度な運動やしっかりとした睡眠、禁煙などの生活習慣を心がけましょう。

口腔内のトラブルを防ぐ

口から食べるためには噛む力を維持すること、口腔内のトラブルをなくすことも大切です。

歯を失ってしまう原因となる虫歯や歯周病の予防、定期的なメンテナンスは欠かせません。

かかりつけの歯科医をもち、定期的に診てもらうようにしましょう。

摂食・嚥下のトレーニング

加齢とともに噛む力や飲みこむ機能は低下します。

また、口、舌、顎などを動かさないことでも筋肉や関節の機能は低下し、飲み込む力は失われてしまいます。

食べる機能に関連した筋肉を鍛えるトレーニングは、誤嚥を防ぎ、食べる力を維持することに有効です。

医療の現場でも口から食べることは重要視され、嚥下機能障害がある場合、理学療法士が状況に適した運動療法などの理学療法技術を行い、食べる機能を高める役割を担ってくれています。

早めの相談を

飲み込む時にむせたり咳込んだりする、食事中に声がかれる(声が変わる、ガラガラ声になる)、食べるのに時間がかかる、しゃべりにくいなどの症状がみられる場合は、誤嚥のリスクがあり注意が必要です。

誤嚥性肺炎を予防するためにも、このような症状がみられる場合、早めに医師に相談することをおすすめします。

食べる力を損なうことなく、いつまでも「口から食べること」ができるようにしたいものですね。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
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