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テレフィリア [雑感小文]

 テレフィリア

電話がジリジリ鳴ると、反射的に手を受話器に伸ばす。

電話が鳴ったら必ず出なければならないという義務などまったくないのに、どうしてか人は電話のベルには理屈抜きで反応する。

こんな話がある。

街路上で銃を乱射し自宅に逃げ込んだ男が、警官隊と射ち合っていた。

その最中、新聞記者が電話をかけた。

なんと犯人が電話に出た。

「〇〇〇さん?」

「そうだよ」

「なぜ人を殺したんだ?」

「あとで話すよ。いま忙しいんだ」

─電話のほうが銃の応射よりも「参加させる力」が強かったというわけだ。

電話(テレフォン)に対するこのような強迫的心理を「テレフィリア」と名づけたのは、1960年代、「メディアはメッセージ」など鋭利な主張で旋風を巻き起こしたカナダの文明批評家、マーシャル・マクルーハン。

現代日本は「ケータイ&スマホフィリア」だらけ。

だいぶ前の話だが、愛知の立てこもり事件の犯人(前途有為な青年警官の命を奪った五十男)も、電話をかけ続けたあげく携帯電話を手にして投降した。

フィリアとは、「異常な性向、傾向を意味する連結形。例:ヘモフィリア(血友病)」と英語の辞書にはある。

「ヘモ」は「血」の意の連結形。
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