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諭吉の戒め [雑感小文]

 諭吉の戒め

アメリカに留学する息子への、福沢諭吉の飲酒を戒める言葉は、百有余年後のバカな酒飲みにとっても痛烈な頂門の一針だった。

生来まさに「酒量深きに非ずしてむしろ酔うに易きもの」であるくせに、「気力の弱きよりして自ら制するあたわざる者」であったからだ。

当然、「人に軽侮せられ」、一夜明ければひどい二日酔いと自己嫌悪にうめいたものであった─と過去形で書けるのは、年をとり、おまけにがんにもなって酒量ががたんと落ちたおかげだ。

もっとも、「三十前後、血気定まりたる後は、いかようにも勝手なれども…」という諭吉の言葉、これはいささか浅見ではあるまいか。30歳やそこらで「いかようにも勝手に」飲めるのは相当な酒豪に限られる。

やわな酒飲みはなかなかそんなわけにはいくまい。

「酒を飲むには、各人によりてよき程の節あり。

少し飲めば益多く、多く飲めば損多し。

性謹厚なる人も多飲を好めば、むさぼりてみぐるしく、平生の心を失ひ、乱に及ぶ」(『養生訓』巻四)

─益軒先生の教えをしかと心に刻みつけよう。
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