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「気胸」の今と昔 [それ、ウソです]

それ、ウソです(26) 

「気胸」の今と昔


 私も二十代で肺結核をやり、人工気胸という胸の病気を八年患いました。(木下繁太朗=「壮快」1990年9月号)


 健康雑誌の「ドクダミ」特集に寄せた解説のなかの文言である。

「人工気胸」は、1950年代まで行われていた肺結核の治療法だ。

「胸の病気」ではない。

 木下繁太朗先生は、漢方の篤実な専門医として知られた人で、私(丸山)も何度か親しく教えを受けたことがある。

 その人がこんな幼稚なマチガイを書くわけはない。

 おそらく、これは口述の記事で、若いライターが、「人工気胸」と聞いて、「病気」だと思い込んだのだろう。

 いま、「気胸」といえば、もっぱら「自然気胸」という病気のことだからだ。

 気胸とは、肺をくるんでいる胸膜に孔が開いて空気が侵入し、肺が圧迫された状態だ。

 かつては結核の病巣を鎮める目的で、胸壁から針を刺し、わざと気胸をつくる治療(人工気胸)が行われた。

 ケガで折れた肋骨が胸膜を破ってしまうこともある。

「外傷性気胸」という。

 こうした外部からの原因によらない気胸を自然気胸といい、多くは肺の中にできた嚢胞(のうほう=空気の入った袋。医者の用語では〝ブラ〟という)が破裂して起こる。

 肺の破れた部分から空気が漏れ、刺すような(または鈍い)痛みとともに息切れや息苦しさが起こる。

 軽症だと、体を動かしたときのみ息苦しさを感じる程度で、開いた孔が小さければ、自然に癒着して、治る。

 体を動かしたり、重いものを持ったり、大きな声を出したりせず、安静にすることが大切で、特に大きな声を張り上げるのがよくないそうだ。

 しかし、肺が強く縮み、空気がどんどん多く漏れると、安静にしていても息苦しい。

 気胸が起こった側の肺がつぶれるだけでなく、健康な肺まで圧迫される「緊張性気胸」という状態になると、一刻も早く専門医(呼吸器内科または外科)の治療を受けないと生命にかかわる。

 自然気胸は、1980年代から確実に増え続けていて、喫煙や大気汚染の影響が指摘されている。

 一見、健康な若い(20代が最も多い)やせ型の男性に好発するといわれ、男女比はほぼ8:1だ。

 特殊な例として、女性の月経周期に一致して起こる「月経随伴性気胸」がある。

 30~40代の子宮内膜症をもつ人に好発するといわれている。
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