肩こり即効療法 [医学・医療・雑感小文]
ぎゅッ…ストン肩こり即効療法
英語やフランス語には「肩こり」に当たるコトバはない。
コトバがないくらいだから、肩こりそのものが、欧米人には、ない。
ずいぶん以前からそう言われてきました。
これがどうも一知半解の俗説らしいのです。
コトバがないのは事実ですが、肩こりと同じ症状は欧米人にもちゃんとあって、
英語では「stiffneck(スティッフネック=首がこわばる)」、
フランス語では「mal au dos(マル オー ドー=背中が痛む)」というのだそうです。
同じ症状を、日本人は肩で、アメリカ人やイギリス人は首で、フランス人は背中で表現しているわけで、なるほど、肩こりは首のこわばりや背中の痛みを伴うことも多く、正確には「首肩背硬張症候群」とでも呼ぶべきものかもしれません。
一口に肩こりといっても、いくつか種類があり、
①単純性(筋肉疲労)、
②症候性(頸椎または肩関節の障害)、
③関連痛(内臓疾患や耳・鼻・目・歯などからきた肩こり)、
④心因性(精神的ストレスやうつ病などが原因の肩こり)
と大別されています。
むろん圧倒的に多いのは①の単純性肩こりです。
肩のきわだった特徴は、その自由自在の運動性です。
前後左右上下・前回し後ろ回し、なんでもござれ、こんなによく動く肩をもつのは、人間とサルだけです。
それなのに長時間、同じ姿勢で根を詰める仕事をしたり、一つの方向にだけ手や腕を動かし続けたりするのが、単純性肩こりの一番の原因。
首の後ろから肩、背中にかけての筋肉(僧帽筋)が緊張し、血のめぐりが悪くなり、疲労物質がたまるので、こりや痛みが起きやすくなるのです。
また、寒冷刺激(いわゆる冷え)も、筋肉の緊張と血管の収縮を招いて、肩こりが生じやすい。
ですから、こうした肩こりを防ぎ・治すために専門家が強調する三大原則は、
①姿勢を正しくする、
②適度の運動を続ける、
③よく温める―ことです。
正しい姿勢は、頭の上につけた大きな風船で引っ張られたように背筋が自然に伸びている感じ……と形容されます。
運動は、
1首を前後に曲げる、
2左右に曲げる、
3首を左右に向ける、
4首を回す、
5肩をすくめる、
6腕を振り上げる、
7腕を横に振り上げる、
8腕を水平に開く、
9腕をぐるりと回す、
といった体操を日常、適宜適度にやればよいが、無理は禁物、痛みが強くなるようなことはしてはいけない―というのが、専門医の注意です。
自分のことですが、私はこのなかの「肩すくめ」のバリエーションを、「操体法」の創始者、橋本敬三先生から二昔も前に教えてもらい、以来ずっと続けています。
やり方はごく簡単。
首をすくめるように両肩をぎゅっと持ち上げ(このとき息をスッと吸う)、
息を吐くのと同時に肩の力を抜き、ストンと落とします。
ぎゅっ、ストン、ぎゅっ、ストン、ぎゅっ、ストン……この動作を何回か繰り返すと、軽い肩こりならいっぺんにとれます。
日常、この動作をクセのようにやるのは、肩こりの最上の予防法です。
操体法とは、体調がおかしくなるのは、体に歪みができたことの現れなのだから、体をうまく動かして元の「正体」に戻せばよい、という考えに基づく運動療法です。
現在、全国約200名の医師、マッサージ師などがいろいろな病気の治療に応用、効果を上げていると聞いています。
ぎゅッ…ストン肩こり療法、よく効きますよ。お試しください。
なお、肩こりには前記のようにいろいろな種類があり、眼鏡の度が合ってなかったり、虫歯のせいで起こることもあるようです。
頑固な肩こりが続くときは、ぜひお医者さんへ…。
まずは整形外科がよろしいでしょう。
(株)心美寿有夢発行=企業情報誌『絆』11号掲載の旧稿を再録。
英語やフランス語には「肩こり」に当たるコトバはない。
コトバがないくらいだから、肩こりそのものが、欧米人には、ない。
ずいぶん以前からそう言われてきました。
これがどうも一知半解の俗説らしいのです。
コトバがないのは事実ですが、肩こりと同じ症状は欧米人にもちゃんとあって、
英語では「stiffneck(スティッフネック=首がこわばる)」、
フランス語では「mal au dos(マル オー ドー=背中が痛む)」というのだそうです。
同じ症状を、日本人は肩で、アメリカ人やイギリス人は首で、フランス人は背中で表現しているわけで、なるほど、肩こりは首のこわばりや背中の痛みを伴うことも多く、正確には「首肩背硬張症候群」とでも呼ぶべきものかもしれません。
一口に肩こりといっても、いくつか種類があり、
①単純性(筋肉疲労)、
②症候性(頸椎または肩関節の障害)、
③関連痛(内臓疾患や耳・鼻・目・歯などからきた肩こり)、
④心因性(精神的ストレスやうつ病などが原因の肩こり)
と大別されています。
むろん圧倒的に多いのは①の単純性肩こりです。
肩のきわだった特徴は、その自由自在の運動性です。
前後左右上下・前回し後ろ回し、なんでもござれ、こんなによく動く肩をもつのは、人間とサルだけです。
それなのに長時間、同じ姿勢で根を詰める仕事をしたり、一つの方向にだけ手や腕を動かし続けたりするのが、単純性肩こりの一番の原因。
首の後ろから肩、背中にかけての筋肉(僧帽筋)が緊張し、血のめぐりが悪くなり、疲労物質がたまるので、こりや痛みが起きやすくなるのです。
また、寒冷刺激(いわゆる冷え)も、筋肉の緊張と血管の収縮を招いて、肩こりが生じやすい。
ですから、こうした肩こりを防ぎ・治すために専門家が強調する三大原則は、
①姿勢を正しくする、
②適度の運動を続ける、
③よく温める―ことです。
正しい姿勢は、頭の上につけた大きな風船で引っ張られたように背筋が自然に伸びている感じ……と形容されます。
運動は、
1首を前後に曲げる、
2左右に曲げる、
3首を左右に向ける、
4首を回す、
5肩をすくめる、
6腕を振り上げる、
7腕を横に振り上げる、
8腕を水平に開く、
9腕をぐるりと回す、
といった体操を日常、適宜適度にやればよいが、無理は禁物、痛みが強くなるようなことはしてはいけない―というのが、専門医の注意です。
自分のことですが、私はこのなかの「肩すくめ」のバリエーションを、「操体法」の創始者、橋本敬三先生から二昔も前に教えてもらい、以来ずっと続けています。
やり方はごく簡単。
首をすくめるように両肩をぎゅっと持ち上げ(このとき息をスッと吸う)、
息を吐くのと同時に肩の力を抜き、ストンと落とします。
ぎゅっ、ストン、ぎゅっ、ストン、ぎゅっ、ストン……この動作を何回か繰り返すと、軽い肩こりならいっぺんにとれます。
日常、この動作をクセのようにやるのは、肩こりの最上の予防法です。
操体法とは、体調がおかしくなるのは、体に歪みができたことの現れなのだから、体をうまく動かして元の「正体」に戻せばよい、という考えに基づく運動療法です。
現在、全国約200名の医師、マッサージ師などがいろいろな病気の治療に応用、効果を上げていると聞いています。
ぎゅッ…ストン肩こり療法、よく効きますよ。お試しください。
なお、肩こりには前記のようにいろいろな種類があり、眼鏡の度が合ってなかったり、虫歯のせいで起こることもあるようです。
頑固な肩こりが続くときは、ぜひお医者さんへ…。
まずは整形外科がよろしいでしょう。
(株)心美寿有夢発行=企業情報誌『絆』11号掲載の旧稿を再録。
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