帯津先生の「腕ふり体操」 [医学・医療・雑感小文]
平成養生訓25
簡単気功「腕ふり体操」
「私の健康法は、朝の気功に、夜の酒です。毎朝、病院内の道場で患者さんたちと共に気功をします。
25年も続いている習慣です。
そして、夜はビール1本とウイスキーのダブルをロックで2杯飲みます。
これが私に合っているのでしょう。
体をリラックスさせる副交感神経のはたらきを優位にして、免疫力を高めるリンパ球をふやしているように思います」
西洋医学に中国医学や代替医療を取り入れたホリスティック医学(人間まるごとを診る全人医療)を確立、がん治療にすぐれた成果を上げている帯津三敬病院の創設者、帯津三敬先生の言葉です。
なぜ、気功なのでしょうか?
帯津先生のお話はこうでした。
「現代医学では、障害の生じた局所を診るのが、診療の基本になっています。
胃が痛ければ胃カメラをのみ、心臓が苦しければ心電図を撮り、尿の出が悪ければ腎臓や膀胱を調べます。
しかし、人間の臓器はそれぞれ独立しているのではありません。
血液やリンパ球、神経などによってほかの臓器と連絡し、体全体として機能しているのです。
この体全体のつながりを診ながら治療するのが東洋医学です。東洋医学では、生命のもととなるエネルギーを《気》といいます。
気は、経絡というルートを伝わって体内を循環していて、気が滞りなく流れていると、心身ともに病に冒されることなく、健康でいられるといわれています。
体を巡る気の流れを整えることで、自然治癒力(体に本来そなわっている病気を治す力)を増し、生命を維持する─それが東洋医学の考え方です。
気功はそのための有力な手段の一つです。
気功には、自分の養生のために自分で行う内気功と、気功師が患者に気を送り治療する外気功があります。
帯津三敬病院で指導しているのは、動きを伴った内気功です。
その一つ、初心者に最適な気功〈スワイショウ〉をご紹介しましょう。
スワイショウとは、〈腕をポーンとほうり投げる〉という意味の中国語で、早くいえば腕ふり体操です。
腕を体に巻きつけるように振るだけなので、わざわざ気功教室で習うまでもない。
体力がなくても、場所がなくても、だれでも簡単にできる体操です。
効果はすぐに実感できます。
緊張している肩や腰をゆるめ、背骨の両側の筋肉もほぐれて、血流がよくなり、知らぬ間に足腰も鍛えられます。
むろん、そうした目に見える効果だけでなく、精神を安定させ、体内の気を高めて、自然治癒力を向上させる効能もあるのです。
帯津三敬病院の気功教室では、必ず最初に全員でこの腕振り(スワイショウ)をやります。やり方はこうです。
1 両足を肩幅よりやや広めに開いて立つ。ひざの力は緩める。
2 両手をしぜんに垂らし、背骨を軸に腰を右に回す。その腰の回転と共に腕を振り、体に巻きつけるようにする。巻きついてきた手を体にポンと軽く当てる。
3 右側に回り切ったら、今度は左側へ腰を回す。腕も同じように振り、手を体にポンと当てる。
4 体を正面に戻し、2の動作に戻る。
往復10回くらいから始めて、慣れてきたら30~40回くらいやるといいでしょう。
1日に何回やってもかまいません。
ポイントは腰です。
肩や腕に力を入れず、腰が左右に回るにつれて、ぶらん、ぶらんと手が回り、体に巻きつくような要領で行います。
回すときに重心がぶれないように注意しましょう。
呼吸は、片側に回すときに吸い、逆側に回すときに吐きます。
腕の一往復で一呼吸となるわけです。
終えるときは、呼吸を徐々に長く静かにしていき、その呼吸のゆっくり度に合わせて体も回転させます。
呼吸が落ち着いてから終りにします」
タレントの林マヤさんは、
「おなか周りが引き締まります。ちょっと太ったかな? と感じたらふだんより多めにやります」と雑誌『壮快』に書いていました。
<(株)心美寿有夢のPR誌『絆』27号=2008年11月発行=より再録>
簡単気功「腕ふり体操」
「私の健康法は、朝の気功に、夜の酒です。毎朝、病院内の道場で患者さんたちと共に気功をします。
25年も続いている習慣です。
そして、夜はビール1本とウイスキーのダブルをロックで2杯飲みます。
これが私に合っているのでしょう。
体をリラックスさせる副交感神経のはたらきを優位にして、免疫力を高めるリンパ球をふやしているように思います」
西洋医学に中国医学や代替医療を取り入れたホリスティック医学(人間まるごとを診る全人医療)を確立、がん治療にすぐれた成果を上げている帯津三敬病院の創設者、帯津三敬先生の言葉です。
なぜ、気功なのでしょうか?
帯津先生のお話はこうでした。
「現代医学では、障害の生じた局所を診るのが、診療の基本になっています。
胃が痛ければ胃カメラをのみ、心臓が苦しければ心電図を撮り、尿の出が悪ければ腎臓や膀胱を調べます。
しかし、人間の臓器はそれぞれ独立しているのではありません。
血液やリンパ球、神経などによってほかの臓器と連絡し、体全体として機能しているのです。
この体全体のつながりを診ながら治療するのが東洋医学です。東洋医学では、生命のもととなるエネルギーを《気》といいます。
気は、経絡というルートを伝わって体内を循環していて、気が滞りなく流れていると、心身ともに病に冒されることなく、健康でいられるといわれています。
体を巡る気の流れを整えることで、自然治癒力(体に本来そなわっている病気を治す力)を増し、生命を維持する─それが東洋医学の考え方です。
気功はそのための有力な手段の一つです。
気功には、自分の養生のために自分で行う内気功と、気功師が患者に気を送り治療する外気功があります。
帯津三敬病院で指導しているのは、動きを伴った内気功です。
その一つ、初心者に最適な気功〈スワイショウ〉をご紹介しましょう。
スワイショウとは、〈腕をポーンとほうり投げる〉という意味の中国語で、早くいえば腕ふり体操です。
腕を体に巻きつけるように振るだけなので、わざわざ気功教室で習うまでもない。
体力がなくても、場所がなくても、だれでも簡単にできる体操です。
効果はすぐに実感できます。
緊張している肩や腰をゆるめ、背骨の両側の筋肉もほぐれて、血流がよくなり、知らぬ間に足腰も鍛えられます。
むろん、そうした目に見える効果だけでなく、精神を安定させ、体内の気を高めて、自然治癒力を向上させる効能もあるのです。
帯津三敬病院の気功教室では、必ず最初に全員でこの腕振り(スワイショウ)をやります。やり方はこうです。
1 両足を肩幅よりやや広めに開いて立つ。ひざの力は緩める。
2 両手をしぜんに垂らし、背骨を軸に腰を右に回す。その腰の回転と共に腕を振り、体に巻きつけるようにする。巻きついてきた手を体にポンと軽く当てる。
3 右側に回り切ったら、今度は左側へ腰を回す。腕も同じように振り、手を体にポンと当てる。
4 体を正面に戻し、2の動作に戻る。
往復10回くらいから始めて、慣れてきたら30~40回くらいやるといいでしょう。
1日に何回やってもかまいません。
ポイントは腰です。
肩や腕に力を入れず、腰が左右に回るにつれて、ぶらん、ぶらんと手が回り、体に巻きつくような要領で行います。
回すときに重心がぶれないように注意しましょう。
呼吸は、片側に回すときに吸い、逆側に回すときに吐きます。
腕の一往復で一呼吸となるわけです。
終えるときは、呼吸を徐々に長く静かにしていき、その呼吸のゆっくり度に合わせて体も回転させます。
呼吸が落ち着いてから終りにします」
タレントの林マヤさんは、
「おなか周りが引き締まります。ちょっと太ったかな? と感じたらふだんより多めにやります」と雑誌『壮快』に書いていました。
<(株)心美寿有夢のPR誌『絆』27号=2008年11月発行=より再録>
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