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年の速度 [雑感小文]

 年の速度

「一月往(い)ぬ、二月逃げる、三月去る」という。

年が明けたのは、ついこの間のような気がするが、もう3月だ。

「ただ過ぎに過ぐるもの 帆かけたる舟。人の齢(よわい)。春、夏、秋、冬。」は、『枕草子』。

清少納言の時代の最も早い乗り物は帆かけ舟だった。

今は過ぎに過ぐるもの、ジェット機、新幹線、人の齢。

いや飛行機も電車も最高速度が決まっているが、年齢の体感速度は年ごとに速くなる。子どものころは1年がとても長かった。

青年のころの1年も濃密で変化に富んでいた。老年の1年は短い。

去年も今年も同じ水の流れのように淡く速く過ぎ去る。

年をとるほど1年が短く感じられる現象を「ジャネの法則」というそうだが、

私見では、年の「分母」が大きくなるためだ。

例えば3歳の子の1年は分母が3で、分子が1。3分の1だが、60歳の1年は60分の1だ。20倍速く過ぎ去るのは、当然だ。

ま、しかし、その老年の1年は、変化のないことこそを喜ぶべきだろう。

去年同様、今年もまずまず元気で、何事もないことを、よしとしなければなるまい。
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