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うめぼしの歌 [雑感小文]

うめぼしの歌

 第十   うめぼし

二月・三月花ざかり、

うぐひす鳴いた春の日の

たのしい時もゆめのうち。

─明治・大正時代の国語教科書(尋常小学校読本巻五=3年生用)に載っていた「うめぼし」の始まりだ。

─こんなふうにつづく。

五月・六月実がなれば、

枝からふるひおとされて、

きんじょの町へ持出され、

何升何合はかり売。

もとよりすっぱいこのからだ、

しほにつかってからくなり、

しそにそまって赤くなり、

七月・八月あついころ、

三日三ばんの土用ぼし、

思へばつらいことばかり、

それもよのため人のため。

しわはよってもわかい気で、

小さい君らのなかま入、

うんどう会にもついて行く。

ましていくさのその時は、

なくてはならぬこのわたし。

─富国強兵の時代背景が映る結句だが、「思へばつらいことばかり/それもよのため人のため」には唱歌というより演歌のような哀感がにじんでいる。

作者は、国定教科書の編纂(さん)にも深くかかわった国文学者の芳賀矢一らしい。

曲もついていて、昭和の末年、どこかの老人ホーム?で、一人のおばあさんが、ふと口ずさんだところ、周りの人も声を合わせて歌い出し、以来、みんなの愛唱歌になった。

そこからあちこちに飛び火して、ある施設では、「うめぼしのうた元気体操」が考案されたとか。

なお、梅の名産地・小田原の人がつくったという歌のつづきもあり、9・10月はもみじ狩り、11・12月は雪と餅つき、そして正月、「樽(たる)の中よりおめでとう」で結ばれている。
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