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戦争と体格 [雑感小文]

 戦争と体格

「ぼくの身体が小さいのは、小学校五、六年から中一ぐらいまでのあいだに、生の牛乳を飲んだことがないからである」と作家、小林信彦氏が書いていた。

昭和7年生まれの作家の成長期は、戦中戦後の食糧難の時代と重なった。

良質のたんぱく質とカルシウムの摂取不足が、低身長の原因──という認識だろう。

体格のベースになるのは遺伝形質だが、栄養にも大きく支配される。

小林さんと同年のわれわれは、男も女も一体に小柄で、同窓会の会場でぽこっとへこんで見える一群は、わが級友たちだ。

育ち盛りに牛乳はおろか肉も卵もめったに拝めなかった結果が、それだ。

なかには長身の男もいるが、その彼も「おやじのほうが大きかった」と言う。

一般に父親よりも息子は背が高いのが普通だと思うが、そうではない者がわれわれには多い。

「戦中・戦後の粗食が、私の体に動脈硬化をつくらなかった」とは、われわれの親の世代に当たる日野原重明先生の言葉だが、おかげで子ども世代は成長が遅れた。

戦争後遺症の一種だろう。
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