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一笑に付する [それ、ウソです]

 それ、ウソです(58)

 一笑に付する

 週刊朝日の名編集長だった扇谷正造は「一怒一老一笑一少」の言を好んだ。一度怒れば一つ老い、一度笑えば一つ若返る。還暦を過ぎて大声で怒る自身への戒めだったそうだ。(朝日新聞2012年7月13日『天声人語』)

 読んできて、「一笑一少」にちょっと引っかかった。これ、ホントは「一笑一若」ではないのか?

 漢和辞典を見ると、「少」の語義として、①すくなし。多の對。「多少」……略……②わかし。老の對。「老少」……などとあるから、「一少」でもまああながちマチガイではないようだ。

 しかし普通、「少」の字は、①の意味に用いるのが日本語の常識だろう。

『広辞苑』にも、「しょう【少】①すくないこと。すこし。②同一の官職で(大・中に比し)下位のもの。{少納言}」とのみあり、若いという意味は採られてない。

「老」の対語は「少」よりは「若」のほうが自然なのだから、「一怒一老」に対しては「一笑一若」、そのほうが語の照応もよいし、字面も、語呂も、締まりがよい。

「イッショウイッショウ」なんて、なんだかしまらない、間の抜けた感じだ。一笑に付すべし(失礼)。

 ところで、この「一怒一老 一笑一若」という成句。モタさんこと斎藤茂太先生の造語だという。

 だとしたら、精神科医であり飄逸(ひょういつ)な達文の随筆家でもあった人の、さもあらん名言といえよう。

 そう。怒れば年をとり、笑えば若くなる。つまり怒りは体に悪い、笑いは健康によい。

 大脳生理学者も「不快感、怒り、恐れはいわば戦時体制の心構え」と説いている。(時実利彦『人間であること』=岩波新書)。

 怒ると、自律神経の一つの「戦時用」の交感神経系が緊張し、心臓の拍動が激しくなり、血管が収縮し、血圧が上がり、気管支が拡張し、瞳孔が開き、消化液の分泌が減少し、肝臓から糖分が血中に流れ出て燃やされる…というように体内で「さまざまな戦闘状況」が展開される。

 結果、体力を消耗し、胃が痛くなったりもする。

 東洋医学の古典『素問霊枢(そもんれいすう)』にも、「怒れば肝を害し、おびゆれば心を害し、憂うれば肺を害し、考えれば胃を害す」とあるそうだ。

 心身症やストレス性の病気の原理を言い当てた至言だろう。

 とはいえ、人間、怒るべきときは断固、怒らねばならぬ。

 思い切り怒ったら、強い酒のあとに水を飲むように親しい人と笑い合おう。

 笑いは怒りの解毒剤だ。

 笑えば、血管が開き血圧が下がり、心臓、肺、胃腸など内臓器官がスムーズにはたらき、ホルモンの分泌が盛んになる。

 よく知られている研究だが、漫才などで大笑いしたあとは、がん患者のNK(ナチュラルキラー)細胞の活性度が上昇した。

 NK細胞は、免疫を担うリンパ球の一つ。感染症のウイルスやがん細胞をやっつける力をもっている。

 関節リウマチの女性患者に落語を1時間聞いてもらったら、症状を増悪させる物質(インターロイキン6)が減少し、痛みが楽になったという研究報告もある。

 笑うときの横隔膜の上下運動は呼吸と血行を促進する。

 だからよく笑う人は血色がよい。

 笑声は痙攣(けいれん)の一種だからそのあとに弛緩(しかん)がきて緊張が緩和する。

 大声で笑えば筋肉の緊張がゆるみ、人間関係の緊張も緩和される。

 皆の衆、笑えや、笑え、ワッハッハ。\(^O^)/
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