おでこ→脳=× [それ、ウソです]
それ、ウソです(78)
おでこ→脳=×
熱中症になったらおでこを冷やす→×
額を冷やすのは暑さ対策に限らず、風邪などで発熱したときに誰もが日常的にしていること。
ところが、熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科の十河剛副部長は「おでこだけを冷やしても効果はありません」とばっさり。
「脳が『体全体も冷えた』と勘違いし、体温を下げようとしなくなるからです」(「暑さ対策のウソ・ホント」=毎日新聞2013年7月25日)
はい。「おでこだけを冷やしても効果はない」はそのとおりですが、「脳が『体全体も冷えた』と勘違いし……」は、先生の勘違いか、記者の聞き違いでしょうね。
それは、ウソです。
熱(体温)が高いとき、おでこに氷のうや濡れ手ぬぐいをのっけると、ひんやりして気もちがいいが、熱は下がらない。
なぜか? 額には太い血管(動脈)がないからだ。「脳が勘違い」するからではない。
体内の発熱器官(主として筋肉、肝臓)でつくられた熱は、血管を流れる血液によって全身へ運ばれる。
熱が高いというのは、血液の温度が高くなっているということなので、熱を下げるためには、血液の温度を下げなければならない。
だから熱中症の手当ては、上掲の記事で十河先生も話しているように、「首やわき、脚の付け根の前面などの太い血管が通っている部位」を冷やせばよい。
「氷や保冷剤、なければ水でぬらしたタオルを当て、可能なら同時に冷やします。さらにうちわであおいであげると良いでしょう」。
【熱中症】高温や多湿の環境下で起こる障害の総称。塩分やミネラルの不足による熱痙攣、脱水症状を起こした熱疲労、体温調節機能が失われた熱射病等に分けられる。
─と、『広辞苑』第六版にはあるが、その説明は熱中症の旧分類によるものである。
日本神経救急学会の新しい指針は、熱中症の重症度を、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)の3段階に分けている。
Ⅰ度=頭がボーッとして、ふらふら、めまい、立ちくらみ…。汗がとめどなく出る。足がつる。
旧分類の「熱失神」「熱痙攣」に当たる。
日陰で休み、水分を補給する。
Ⅱ度=体がぐったり、力が入らない。頭痛、めまい、吐き気・嘔吐、足や腕などの筋肉に痛みを伴うけいれんが起こる。
旧分類の「熱疲労」。病院へ行き、補液を受ける。
Ⅲ度=高度の意識障害を起こし(昏睡に陥る例も)、呼びかけや刺激への反応がおかしい。体がひきつける。発汗はみられず、皮膚は乾燥し、体温は40℃以上に上昇する(体に触ると熱い)。
旧分類の「熱射病」。超緊急にさまざまな治療が必要。救急救命センターのような集中的な救命医療のできる施設に搬送しなければならない。
熱中症は知らず知らずに進行して、症状が出てきたときにはかなり深刻な状態になっていることが多い。
こまめに水を飲もう。最適はスポーツドリンクだ。
暑い日にぐったりしている人の重症度を見分けるにはどうしたらいいか。
いちばんの目安は「意識」だ。脳は温度に敏感で、体温が異常に上ると意識がもうろうとなり、呼びかけへの受け答えがおかしくなる。
はっきり応答し、自分で水が飲める状態だったらそんなに慌てなくてもいい。
乳幼児は、泣いていたらまず安心。ぐったりして、つねってみても泣きもしないのは非常に重症、ただちに救急車を呼ぼう。
救急車を待つ間は、できる限り涼しいところで、できるだけ体温を下げる。それに尽きる。冷やす部位と方法は前に記した。
絶対にやってはいけないのは、昏睡状態の人に水を飲ませようとすること。
無理に飲ませると、窒息する恐れがある。
おでこ→脳=×
熱中症になったらおでこを冷やす→×
額を冷やすのは暑さ対策に限らず、風邪などで発熱したときに誰もが日常的にしていること。
ところが、熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科の十河剛副部長は「おでこだけを冷やしても効果はありません」とばっさり。
「脳が『体全体も冷えた』と勘違いし、体温を下げようとしなくなるからです」(「暑さ対策のウソ・ホント」=毎日新聞2013年7月25日)
はい。「おでこだけを冷やしても効果はない」はそのとおりですが、「脳が『体全体も冷えた』と勘違いし……」は、先生の勘違いか、記者の聞き違いでしょうね。
それは、ウソです。
熱(体温)が高いとき、おでこに氷のうや濡れ手ぬぐいをのっけると、ひんやりして気もちがいいが、熱は下がらない。
なぜか? 額には太い血管(動脈)がないからだ。「脳が勘違い」するからではない。
体内の発熱器官(主として筋肉、肝臓)でつくられた熱は、血管を流れる血液によって全身へ運ばれる。
熱が高いというのは、血液の温度が高くなっているということなので、熱を下げるためには、血液の温度を下げなければならない。
だから熱中症の手当ては、上掲の記事で十河先生も話しているように、「首やわき、脚の付け根の前面などの太い血管が通っている部位」を冷やせばよい。
「氷や保冷剤、なければ水でぬらしたタオルを当て、可能なら同時に冷やします。さらにうちわであおいであげると良いでしょう」。
【熱中症】高温や多湿の環境下で起こる障害の総称。塩分やミネラルの不足による熱痙攣、脱水症状を起こした熱疲労、体温調節機能が失われた熱射病等に分けられる。
─と、『広辞苑』第六版にはあるが、その説明は熱中症の旧分類によるものである。
日本神経救急学会の新しい指針は、熱中症の重症度を、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)の3段階に分けている。
Ⅰ度=頭がボーッとして、ふらふら、めまい、立ちくらみ…。汗がとめどなく出る。足がつる。
旧分類の「熱失神」「熱痙攣」に当たる。
日陰で休み、水分を補給する。
Ⅱ度=体がぐったり、力が入らない。頭痛、めまい、吐き気・嘔吐、足や腕などの筋肉に痛みを伴うけいれんが起こる。
旧分類の「熱疲労」。病院へ行き、補液を受ける。
Ⅲ度=高度の意識障害を起こし(昏睡に陥る例も)、呼びかけや刺激への反応がおかしい。体がひきつける。発汗はみられず、皮膚は乾燥し、体温は40℃以上に上昇する(体に触ると熱い)。
旧分類の「熱射病」。超緊急にさまざまな治療が必要。救急救命センターのような集中的な救命医療のできる施設に搬送しなければならない。
熱中症は知らず知らずに進行して、症状が出てきたときにはかなり深刻な状態になっていることが多い。
こまめに水を飲もう。最適はスポーツドリンクだ。
暑い日にぐったりしている人の重症度を見分けるにはどうしたらいいか。
いちばんの目安は「意識」だ。脳は温度に敏感で、体温が異常に上ると意識がもうろうとなり、呼びかけへの受け答えがおかしくなる。
はっきり応答し、自分で水が飲める状態だったらそんなに慌てなくてもいい。
乳幼児は、泣いていたらまず安心。ぐったりして、つねってみても泣きもしないのは非常に重症、ただちに救急車を呼ぼう。
救急車を待つ間は、できる限り涼しいところで、できるだけ体温を下げる。それに尽きる。冷やす部位と方法は前に記した。
絶対にやってはいけないのは、昏睡状態の人に水を飲ませようとすること。
無理に飲ませると、窒息する恐れがある。
ブログの著者様が記載されている通り、「脳が『体全体も冷えた』と勘違いし……」は毎日新聞の記者があたかも私の発言のように捏造したものです。
訂正記事が次週に掲載されておりますが、社内できちんとした原因究明をするように求めたものの、拒否されました。
by 十河 剛 (2015-11-17 12:52)