血圧の諸問題=2(朝の大波・酒と血圧) [医学・医療・雑感小文]
血圧の諸問題(2)
朝の大波
高血圧をきちんとコントロールしないと、動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病を引き起こす。
それはよくわかっていながら、目標値まで血圧を下げることができない人がとても多い。
大きな理由は、高血圧は無症状だからだろう。
痛くもかゆくもないし、めしも酒もうまいから、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりする。
医師の指示どおり薬を飲まなかったりもする。
こうした人たちの多くにみられるのが、朝の血圧が異常に高くなる「早朝高血圧」だ。
朝、目が覚める前後に急上昇する(モーニングサージ=朝の大波)タイプと、夜も血圧が下がらないままなだらかに上昇するタイプ(持続型)がある。
どちらも日中、病院で血圧を測ってもらうころには、安定しているので、医師も見過ごしてしまいがちだ。
高血圧と診断されていない人たちの中にも、早朝高血圧の人が多いし、降圧薬を服用している人の50%以上が早朝高血圧だったという研究報告もある。
「家庭血圧の測定が大切。自分で血圧を測って早朝高血圧の早期発見を─」と専門医は勧めている。
酒と血圧
寒い日は血圧が上がる。酒を飲み過ぎると、さらに上がる。
で、冬の朝は、血圧関係の事故が起こりやすい。
飲み過ぎた翌朝、血圧が上がる理由は、こうだ。
体にアルコールが入ると血管が広がって血圧が下がる。
酒の量が多いとその下降幅がさらに大きくなる。
朝になると、自律神経の働きが活動型の交感神経優位に切り替わり、血管が収縮し血圧が上がる。
夜の血圧の下降幅が大きいほど、夜と朝の血圧の落差の大きい「早朝高血圧」が生じる。
そうした悪影響をもたらさないアルコールの適量は、一日30ミリリットル以内(女性はほぼこの半分)。
ビールなら中びん1本、日本酒は1合、ウイスキーはやや濃い水割り1杯、焼酎は64お湯割り2杯、ワインだったらグラス2杯といったところ。
「酒&血圧日記」に飲んだ量と血圧を記録していると、飲み過ぎた翌朝には血圧がてきめんに上がることに気づき、酒と血圧の因果関係がよくわかる。
怖くなって酒を控えるようにしたら1週間ほどで血圧が下がったといった実例が少なくないそうだ。
自己管理は最良のクスリの一つだ。
血圧の誤解
「上は160だが、下が70だから、まぁまぁじゃないか」と、自分の血圧について、同年の(つまり老齢の)友人が言った。
そうした誤解をもつ人はけっこう多いようだ。
上すなわち最大(または最高)血圧は、心臓が収縮して血液を動脈に送り出したときの動脈壁にかかる圧力で、収縮期血圧という。
下すなわち最小(最低)血圧は、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってくるときの動脈壁にかかる圧力で、拡張期血圧という。
至適血圧は、上が120mmHg未満、下が80mmHg未満だが、動脈硬化が進むと当然、血圧は高くなる。
高齢者で140─90未満だったら上々だ。では、上が高くても下が低かったら大丈夫なのか? そんなことはない。
血圧の「上(最大)」と「下(最小)」の差を「脈圧」、脈圧の3分の1の数値プラス下の数値を「平均血圧」といい、血管の状態を判定する指標とされる。
脈圧は、心臓に近い太い血管の硬化度を示し、正常範囲は40~60。
平均血圧は、末梢の細い血管の硬化度を示し、理想は90未満だ。
上が160─下が70だと脈圧は90、その3分の1(30)を70に加えると、平均血圧は100になる。
ちょっとヤバイ状態と言わねばならない。
百歳の血圧
心臓に近い太い血管で動脈硬化が進むと「脈圧」の数値が大きくなり、末梢の細い血管で動脈硬化が進むと「平均血圧」が高くなる。
高齢者の場合、特に脈圧が大きくなるのが普通だ。
年をとると上は高くなるが、下はそれほどでもなく、むしろ低くなることが多いからだ。
ところが、東京都老人総合研究所の研究調査によると、センテナリアン(百歳老人)の場合、上は年齢相応に高いが、下は低くなく、脈圧はあまり大きくない人が多いという。
太い血管の動脈硬化の進行が遅いことを示しているわけだ。
また、下の血圧の高い百歳老人ほど知能指数が高く、痴呆になる確率が低いという。
「上は高いが、下は低いからまあまあ」とは言えないわけだ。
毎度の口上だが、動脈硬化の進行を抑えるには、適切な食生活と適度の運動。
肉も魚も卵も牛乳もバランスよく食べて、よく歩くようにしよう。
朝の大波
高血圧をきちんとコントロールしないと、動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病を引き起こす。
それはよくわかっていながら、目標値まで血圧を下げることができない人がとても多い。
大きな理由は、高血圧は無症状だからだろう。
痛くもかゆくもないし、めしも酒もうまいから、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりする。
医師の指示どおり薬を飲まなかったりもする。
こうした人たちの多くにみられるのが、朝の血圧が異常に高くなる「早朝高血圧」だ。
朝、目が覚める前後に急上昇する(モーニングサージ=朝の大波)タイプと、夜も血圧が下がらないままなだらかに上昇するタイプ(持続型)がある。
どちらも日中、病院で血圧を測ってもらうころには、安定しているので、医師も見過ごしてしまいがちだ。
高血圧と診断されていない人たちの中にも、早朝高血圧の人が多いし、降圧薬を服用している人の50%以上が早朝高血圧だったという研究報告もある。
「家庭血圧の測定が大切。自分で血圧を測って早朝高血圧の早期発見を─」と専門医は勧めている。
酒と血圧
寒い日は血圧が上がる。酒を飲み過ぎると、さらに上がる。
で、冬の朝は、血圧関係の事故が起こりやすい。
飲み過ぎた翌朝、血圧が上がる理由は、こうだ。
体にアルコールが入ると血管が広がって血圧が下がる。
酒の量が多いとその下降幅がさらに大きくなる。
朝になると、自律神経の働きが活動型の交感神経優位に切り替わり、血管が収縮し血圧が上がる。
夜の血圧の下降幅が大きいほど、夜と朝の血圧の落差の大きい「早朝高血圧」が生じる。
そうした悪影響をもたらさないアルコールの適量は、一日30ミリリットル以内(女性はほぼこの半分)。
ビールなら中びん1本、日本酒は1合、ウイスキーはやや濃い水割り1杯、焼酎は64お湯割り2杯、ワインだったらグラス2杯といったところ。
「酒&血圧日記」に飲んだ量と血圧を記録していると、飲み過ぎた翌朝には血圧がてきめんに上がることに気づき、酒と血圧の因果関係がよくわかる。
怖くなって酒を控えるようにしたら1週間ほどで血圧が下がったといった実例が少なくないそうだ。
自己管理は最良のクスリの一つだ。
血圧の誤解
「上は160だが、下が70だから、まぁまぁじゃないか」と、自分の血圧について、同年の(つまり老齢の)友人が言った。
そうした誤解をもつ人はけっこう多いようだ。
上すなわち最大(または最高)血圧は、心臓が収縮して血液を動脈に送り出したときの動脈壁にかかる圧力で、収縮期血圧という。
下すなわち最小(最低)血圧は、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってくるときの動脈壁にかかる圧力で、拡張期血圧という。
至適血圧は、上が120mmHg未満、下が80mmHg未満だが、動脈硬化が進むと当然、血圧は高くなる。
高齢者で140─90未満だったら上々だ。では、上が高くても下が低かったら大丈夫なのか? そんなことはない。
血圧の「上(最大)」と「下(最小)」の差を「脈圧」、脈圧の3分の1の数値プラス下の数値を「平均血圧」といい、血管の状態を判定する指標とされる。
脈圧は、心臓に近い太い血管の硬化度を示し、正常範囲は40~60。
平均血圧は、末梢の細い血管の硬化度を示し、理想は90未満だ。
上が160─下が70だと脈圧は90、その3分の1(30)を70に加えると、平均血圧は100になる。
ちょっとヤバイ状態と言わねばならない。
百歳の血圧
心臓に近い太い血管で動脈硬化が進むと「脈圧」の数値が大きくなり、末梢の細い血管で動脈硬化が進むと「平均血圧」が高くなる。
高齢者の場合、特に脈圧が大きくなるのが普通だ。
年をとると上は高くなるが、下はそれほどでもなく、むしろ低くなることが多いからだ。
ところが、東京都老人総合研究所の研究調査によると、センテナリアン(百歳老人)の場合、上は年齢相応に高いが、下は低くなく、脈圧はあまり大きくない人が多いという。
太い血管の動脈硬化の進行が遅いことを示しているわけだ。
また、下の血圧の高い百歳老人ほど知能指数が高く、痴呆になる確率が低いという。
「上は高いが、下は低いからまあまあ」とは言えないわけだ。
毎度の口上だが、動脈硬化の進行を抑えるには、適切な食生活と適度の運動。
肉も魚も卵も牛乳もバランスよく食べて、よく歩くようにしよう。
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