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ADHDの治療 [医学・医療・雑感小文]

  環境格差

ADHD(注意欠陥多動性障害)児をもつ保護者と医療現場の連携はうまく取れているか、諸外国の事情はどうか。

製薬会社の日本イーライリリーは、世界精神保健連盟(WFMH)と協力し、日本を含む世界九カ国で「ADHD国際調査」を行った。

多くのさまざまな調査項目で、日本と諸外国の結果に差が出た一つは、「ADHD児が将来自立し、社会で生活していくこと」についての保護者の回答だ。

「かなり心配」が日本は67%、諸外国は24%。

「心配」が日本23%、諸外国38%。

この差は日本のADHD対策の遅れの裏返しの証明とはいえないか。

「冊子など紙媒体によるADHDに関する情報提供」=日本13%、諸外国52%、

「子どものソーシャルスキルや感情をコントロールする能力の育成をコントロールするための治療プラン」=日本9%、諸外国41%─というような彼我の格差に、報告者の田中康雄・北海道大学大学院教授は、

「日本以外の主治医のほうがよく頑張っている。しゃべっている自分の耳が痛くなる」と…。


 ADHDの薬


ADHD(注意欠陥多動性障害)にはよく効く薬がある。

2004年、齋藤万比古・国立国際医療センター部長が行った調査では、児童・小児神経科医の93%が、ADHDに薬物療法を行い、75%がメチルフェニデート(リタリン)を第一選択薬としている。

当時、メチルフェニデートは保険の適用になっていなかった。

「適応外使用のうしろめたさと背中合わせの状況でありながら、専門医の間ではそれがスタンダードな治療だったのです」と齋藤医師はコメントしている。

07年、メチルフェニデート徐放剤(コンサータ)が承認され、ADHDは初めて適応薬をもつことができた。

が、それで一件落着とはいえないようだ。

一つは成人のリタリン乱用の影響で、使用経験のない臨床医は怖い薬と誤解し、処方をためらう傾向があること。

もう一つはコンサータの適応が小児期に限られ、18歳を超えると使えなくなることだ。

それでは成人後もADHDの残る人が見放されてしまう。

しゃくし定規の線引きは医療にはなじまない。
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