コレステロールに関する声明 [医学・医療・雑感小文]
コレステロールに関する声明
血液中のコレステロールの数値が多少高いのは、気にしなくてもよい。むしろ健康上のメリットが多いという「朗報」を聞いて、よろこんでいたところへ、
「コレステロール摂取に関する日本動脈硬化学会の声明」というプレスセミナーの案内が届いた。
<2015年2月発表の米国農務省報告および2015年3月発表の厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年」において、コレステロール摂取に関する記載が無くなったことに対する日本動脈硬化学会の声明とともに見解についてのプレスセミナーを開催いたします。
日時 2015年5月1日(金)
会場 日内会館「4階会議室」>
だが、あいにく当方、高度難聴の身、「聴く耳」をもってない。
「お手数煩わせますこと恐縮ですが…」と、当日配布の資料の恵送をおねがいした。
以下、その「声明」の要旨。
2013年秋、アメリカの心臓病関係の学会─ACC(American College of Cardiology=米国心臓病学会)とAHA(American Heart Assocition=アメリカ心臓協会)が、「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」を発表した。
その見解の中心は、「コレステロール摂取量を減らして、血中コレステロール値が低下するかどうか、判定する証拠が数字として出せない。よって、コレステロールの摂取制限を設けない」というものであった。
2015年2月、米国農務省(USDA)が国民向けに発表したガイドライン(指針)にも、ACC/AHAの見解と同じように、
「食事中のコレステロールの摂取と血中コレステロールの、明らかな関連を示すエビデンス(証拠)がない。これまで推奨してきたコレステロール摂取の制限をなくす」と記載された。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」は、
「健常者においては、食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロール値との相関を示すエビデンスが十分でない。コレステロール制限は推奨しない」としている。
日本動脈硬化学会も、健常者の脂質摂取に関するこの記載には、賛同している。
ただし、このことは、高LDLコレステロール血症患者(いわゆる「悪玉」のコレステロール値が異常に高い人)には当てはまらない。
高LDLコレステロール血症患者が食事療法を行うばあい、3種類の脂質成分(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール)の摂取量に注意する必要がある。
1日の平均摂取量を、飽和脂肪酸は総エネルギー量の4.5%以上7%未満、トランス脂肪酸の摂取をへらし、コレステロールは200㍉㌘以下とする。
食品にはこれら3種類がさまざまな量で含まれている。
食材の選び方や献立の工夫については、日本動脈硬化学会の「脂質異常症治療ガイド 2013年版」を参照していただきたい。
脂質をへらすだけでなく、食物繊維を多く含む大豆製品、海藻、野菜類をふやすこと。これらは血中コレステロール値を下げることが明らかにされている。
動脈硬化を防ぐには、高コレステロール血症、血圧、血糖値のコントロール、禁煙や運動など、包括的な生活習慣の改善が大切である。
─以上、食事によるコレステロールの摂取基準は撤廃されたとはいえ、高LDLコレステロール血症患者への配慮をなおざりにしてはならないと強調する、日本動脈硬化学会の「声明と見解」をごく短く要約した。
では、なぜ高LDLコレステロール血症がよくないのか、飽和脂肪酸とかトランス脂肪酸とかいうのは、どういうものなのか─といったことについては明日─。
血液中のコレステロールの数値が多少高いのは、気にしなくてもよい。むしろ健康上のメリットが多いという「朗報」を聞いて、よろこんでいたところへ、
「コレステロール摂取に関する日本動脈硬化学会の声明」というプレスセミナーの案内が届いた。
<2015年2月発表の米国農務省報告および2015年3月発表の厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年」において、コレステロール摂取に関する記載が無くなったことに対する日本動脈硬化学会の声明とともに見解についてのプレスセミナーを開催いたします。
日時 2015年5月1日(金)
会場 日内会館「4階会議室」>
だが、あいにく当方、高度難聴の身、「聴く耳」をもってない。
「お手数煩わせますこと恐縮ですが…」と、当日配布の資料の恵送をおねがいした。
以下、その「声明」の要旨。
2013年秋、アメリカの心臓病関係の学会─ACC(American College of Cardiology=米国心臓病学会)とAHA(American Heart Assocition=アメリカ心臓協会)が、「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」を発表した。
その見解の中心は、「コレステロール摂取量を減らして、血中コレステロール値が低下するかどうか、判定する証拠が数字として出せない。よって、コレステロールの摂取制限を設けない」というものであった。
2015年2月、米国農務省(USDA)が国民向けに発表したガイドライン(指針)にも、ACC/AHAの見解と同じように、
「食事中のコレステロールの摂取と血中コレステロールの、明らかな関連を示すエビデンス(証拠)がない。これまで推奨してきたコレステロール摂取の制限をなくす」と記載された。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」は、
「健常者においては、食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロール値との相関を示すエビデンスが十分でない。コレステロール制限は推奨しない」としている。
日本動脈硬化学会も、健常者の脂質摂取に関するこの記載には、賛同している。
ただし、このことは、高LDLコレステロール血症患者(いわゆる「悪玉」のコレステロール値が異常に高い人)には当てはまらない。
高LDLコレステロール血症患者が食事療法を行うばあい、3種類の脂質成分(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール)の摂取量に注意する必要がある。
1日の平均摂取量を、飽和脂肪酸は総エネルギー量の4.5%以上7%未満、トランス脂肪酸の摂取をへらし、コレステロールは200㍉㌘以下とする。
食品にはこれら3種類がさまざまな量で含まれている。
食材の選び方や献立の工夫については、日本動脈硬化学会の「脂質異常症治療ガイド 2013年版」を参照していただきたい。
脂質をへらすだけでなく、食物繊維を多く含む大豆製品、海藻、野菜類をふやすこと。これらは血中コレステロール値を下げることが明らかにされている。
動脈硬化を防ぐには、高コレステロール血症、血圧、血糖値のコントロール、禁煙や運動など、包括的な生活習慣の改善が大切である。
─以上、食事によるコレステロールの摂取基準は撤廃されたとはいえ、高LDLコレステロール血症患者への配慮をなおざりにしてはならないと強調する、日本動脈硬化学会の「声明と見解」をごく短く要約した。
では、なぜ高LDLコレステロール血症がよくないのか、飽和脂肪酸とかトランス脂肪酸とかいうのは、どういうものなのか─といったことについては明日─。
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