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痛風とビールの関係 [医学・医療・雑感小文]

痛風とビールの関係

◎尿酸とプリン体

「アルコールはなるべく控えたほうがよい。とくにビールはよくない」

 医者にそう言われて、うまそうにジョッキを傾ける相手を恨めしく横目で見ながらウイスキーをチビチビすすっている、痛風持ちの男性(痛風患者の95%以上は男性)が少なくない。

なぜ、痛風にビールはよくないのか?

痛風は、血液の中に尿酸という物質が異常に増加した「高尿酸血症」がベースとなって起こる生活習慣病だ。

高尿酸血症になりやすい生活習慣は六つ。

①プリン体の多い物の食べ過ぎ。

②水分の不足。

③肥満。

④酒の飲み過ぎ。

⑤激しい運動。

⑥ストレス。

順番に説明します。

プリン体は細胞の中にある成分だから、動物はみんなもっているし、植物にもすべて含まれている。

それを食べると、体内で分解されて、尿酸ができる。

だから高プリン体の食べ物をたくさん食べると、尿酸値が上がる。

例えば、豚、牛、鶏のレバー類。カツオ、サバ、イワシなどの背青魚、白子、エビ、イカ、煮干し、干しシイタケなどが主な高プリン体食品だ。

といっても、食べ物によってできる尿酸の量は、体の中でつくられる尿酸の6分の1に過ぎない。

食べ過ぎなければいいわけで、神経質に制限する必要はない。


◎痛風はビールを飲みながらでも治る!

体の中でつくられた尿酸の3分の2は、尿から排泄される。

水分のとり方が少ないと、尿量がへり、尿酸の体外への排泄が少なくなる。

肥満も尿酸の排泄を低下させる。

酒は、アルコールの代謝に関連して尿酸をふやすが、そのうえビールにはプリン体が含まれているので、さらに要注意である。

運動は、ウォーキング程度の軽い運動だと尿酸値を下げるが、激しい運動は逆に上げる。

激しい運動によって分解される筋肉中の物質が、尿酸のもとになるからだ。

ストレスがかかると出てくるアドレナリンなどの“ストレスホルモン”も尿酸値を上げる。

─というようなことで、“ウイスキーチビチビ”になるわけです。

だが、そんな心配は全くご無用と、二人の専門医が述べている。

痛風治療の名医として知られる西岡久寿樹・東京医大医学総合研究所所長によると、30分間で500㍉㍑のビールを飲んだときの尿酸値の上昇はわずか0.2㍉だった。

「尿酸値は、ちょっと運動しただけでも1㍉前後、上昇する。0.2㍉ぐらい、どうってことはない」(注=尿酸値の基準値は血液100㍉㍑中7㍉㌘)。

納光弘・鹿児島大学医学部内科教授は、ご自分が痛風になったとき、「これは神様が与えてくれたチャンスだ」と思い、わざと大酒飲んでみたり、酒の種類を変えてみたり、逆に禁酒したり、自分の体を実験台にしていろいろ試しながら、尿酸値を測定した。

結果、わかったことは、ビール6本とか焼酎や日本酒を5合以上も飲んだ翌日は、確かに尿酸値が上昇した。

だが、ビール1本や焼酎1合は、尿酸値には全然、影響しなかった。

むしろいくらか下がりさえした。

「アルコール自体には尿酸値を上げる働きがある。

しかし、酒飲みにとっては、適量のアルコールならば、飲んだほうがストレス解消に役立ち、逆に尿酸値を下げる効果がある。

ビールに含まれるプリン体の量は100㌘中わずか5㍉㌘。レバーや白子などと比べると、微々たるものです」

納教授のその体験は、『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)に詳しい。

言うまでもないことだが、それはあくまでも適量(缶ビール1コ程度)に限った話、飲み過ぎは絶対禁物ですよ。
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