SSブログ

認知症、「治らない」はウソ [医学・医療・雑感小文]

認知症、「治らない」はウソ

認知症が激しくふえている。

2012年の時点で患者数462万人、予備群(軽度認知障害=Mild Cognitive Impairment=MCI)約400万人。

高齢者の4人に1人は、認知症か予備群(MCI)。

団塊の世代が後期高齢者に達する2025年の患者数は、現状の約1.5倍=700万人を超えると推計されている(2015年1月厚生労働省発表)。

検査技術の進歩もあって、早い段階で診断される人が多い。

ほかの病気なら「早期発見、早期治療」が治癒への正しい近道だが、認知症は「早期診断、早期絶望」といわれる。

「治せない、治らない病気」と思われているからだ。

だが、認知症が「治せる」時代はすでに始まっている。

正しく診察し、適正な薬を処方し、薬の量さえ間違えなければ、認知症は必ずよくなる。

認知症治療をリードする専門医はそう明言している。

ただし、それにはやはり「早期発見・診断」が必須の前提条件となる。

認知症の大半を占めるのはアルツハイマー型認知症で、次に多いのがレビー小体型認知症。

「これを正しく診断することが、とりわけだいじです」

と、認知症の治療指針「コウノメソッド」の作成者、河野和彦・名古屋フォレストクリニック院長。

「レビー小体型は、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病と混同されやすい。いずれも脳内の神経伝達物質が低下する病気だからです。

パーキンソン病では、ドーパミンが不足するために筋肉がこわばって、小きざみ歩行などの症状が出てきます。

アルツハイマーでは、アセチルコリンが不足するために記憶力が衰えて、認知機能が低下します。

そしてその両方が低下するのがレビーです。

したがって、レビーの治療にはドーパミンとアセチルコリンの両方をふやすために、パーキンソンの治療薬(ペルマックスなど)と、アルツハイマーの治療薬(アリセプト、メマリーなど)を処方する必要があります。

ところが、レビーには、通常の投与量では薬が効きすぎて副作用が強く出る<薬剤過敏性>があります。

だからどちらの薬も規定量よりへらして用いなければなりません。

そこへもってきて、ドーパミンとアセチルコリンは拮抗関係にあるので、レビーをアルツハイマーと誤診して、アリセプトを規定量どおりに処方すると、薬が効きすぎるだけではなく、ドーパミンが不足して歩けなくなってしまいます。

ひどい場合は寝たきりになる人もいます」

アルツハイマー型認知症の治療薬は、「アリセプト」しかなかったが、2010年、「メマンチン」と「ガランタミン」が加わり、11年には貼り薬の「リバスタッチパッチ」と「イクセロンパッチ」がデビューした。

1日1回、背中や腕、胸などに貼るだけでよい。パッチ剤は、経口薬に比べて、嘔吐などの副作用が少ない。

薬の「飲み忘れ」や「二度飲み」は、認知症にかぎらず、あらゆる病気の服薬に伴いがちなミスだが、パッチ剤はこの面倒をあらかた解消してくれる。

もう一つ、パッチ剤の大きな利点は「スキンシップ」効果が加えられることだ。
 
藤井昌彦・山形厚生病院理事長(東北大学医学部臨床教授)らは、施設入所者を対象に、

単にリバスタッチを貼付する群と、介護従事者が気持ちを込めて身柱(しんちゅう=背骨の第3胸椎突起の真下にある万能ツボ)を1~2分マッサージした後にリバスタッチを貼る群で、認知症の人のBPSD(行動・心理症状)を、NPI(精神症候の評価尺度)で評価した。

結果、身柱マッサージ+リバスタッチ群では、NPIの点数が有意に改善した。

藤井先生は話した。

「リバスタッチという薬物療法と身柱マッサージという非薬物療法を組み合わせた<ハイブリッド医療>により、よりよい医療の提供が可能になります」

「認知症は、ご家族が賢くならなければ治せません。医師に依存し、医師のいうことを守っていれば治せるという病気ではないからです」河野先生もそう話している。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。