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身長VS脳卒中、その関係は? [医学・医療・雑感小文]

 子供のとき背が低いと脳卒中リスク高?

 小児期に身長が低かった人は、成人してから脳梗塞や脳出血といった脳卒中を発症するリスクが高い可能性があることが、ビスペビア・フレデリクスベア病院(デンマーク)臨床研究・予防センター、Jennifer Lyn Baker准教授らによる研究から明らかになった。

 研究結果は「Stroke」2月15日オンライン版に掲載された。

 Baker氏らは、1930~1989年に出生したデンマーク人31万1009人を対象に、7~13歳時に測定された身長と成人期の脳梗塞および脳出血との関連について検討した。

 このうち成人期に脳梗塞と診断されたのは1万412人、脳出血と診断されたのは2546人だった。

 解析の結果、男女いずれにおいても7歳時の身長が高いほど脳梗塞のリスクが低下するという負の関連が認められ、7歳時の身長が平均レベルだった人と比べ、平均よりも約5cm高かった人では脳梗塞リスクが約10%低かった。

 一方、脳出血については男性のみにおいて同様の関連が認められ、男性では7歳時の身長が平均レベルだった人と比べ、平均よりも約5cm高かった人で脳出血リスクが約11%低いことが分かった。

 7歳時だけでなく8~13歳のいずれの時点でも身長の低さと脳卒中リスクとの間に同様の関連が認められたとしている。

 Baker准教授は、

「小児期に身長が低いことは脳卒中リスクの高さを示すシグナルと考えられる」とした上で、

「この研究結果を知ることで、身長以外の修正可能な脳卒中のリスク因子に対する取り組みの強化につなげてほしい」と話している。

 今回の研究では社会経済的な状況や栄養、感染症、飲酒、喫煙などの因子を考慮してデータが分析されたが、Baker准教授は、

「今回認められた身長と脳卒中リスクとの関連には血圧が関与している可能性がある」との見方を示す。

 これまでに身長が低い人は血圧が高いとの報告があり、高血圧は脳卒中のリスク因子であるためだという。

 ただし、Baker准教授は「この研究は身長の低さと脳卒中に因果関係があることを証明するものではない」としている。

 この研究には関与していない米国心臓協会(AHA)脳卒中部門のスポークスパーソンであるE. Steve Roach氏も、

「研究の規模が大きく追跡期間も長い点は印象的だ」とした上で、

「この研究結果は慎重に受け止める必要がある」と強調。

「身長には遺伝や環境、思春期の開始時期など多数の因子が影響する。

 この知見は脳卒中を詳細に理解する手掛かりとしては重要かもしれないが、身長によって脳卒中リスクを予測することはできない」と説明している。

 米ニューヨーク大学ウィンスロップ病院のShazia Alam氏も、

 「この研究は興味深いものではあるが、現時点では身長の低い患者に(脳卒中リスクについて)警告する必要はない」との考えを示し、

「修正可能なリスク因子を認識しておくことは重要だが、身長による影響がどの程度のものなのかを明らかにするのは難しい。

 脳卒中リスクには身長そのものよりも、小児に影響するさまざまな因子が関与している可能性が高い」と話している。
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