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「血液が酸性になる」の大ウソ! [医学・医療・雑感小文]

「血液が酸性になる」の大ウソ!

◎酸性食品、アルカリ性食品はある

食品には「酸性食品」と「アルカリ性食品」がある。

肉、魚、卵、砂糖、穀類、日本酒、ビールなどは酸性食品。

野菜、果物、梅干し、海藻、キノコ、ワインなどはアルカリ性食品である。

─ここまでは、ホント。

酸性食品は血液を酸性にし、アルカリ性食品は血液をアルカリ性にする。

─は、真っ赤なウソ。

「血液が酸性に傾くと、血液が汚れてドロドロになります。酸性体質は万病の元。この××のようなアルカリ性の健康食品で血液をきれいにしましょう」

─なんてセールストークは、ウソを通り越したサギ、である。

食品が酸性か、アルカリ性かということと、血液が酸性かアルカリ性かということは、全然無関係!

たとえどんなに酸性食品なるものを食べたとしても、それだけで血液が酸性になるなんてことはありえない。


◎理科の実験と酸性・アルカリ性食品の判別法は違う

酸性、アルカリ性といわれて、だれでもまず頭に浮かぶのは、小学校の理科の実験で教わった、リトマス試験紙だろう。

青色の試験紙が赤く変わるものが酸性、赤色の試験紙が青く変わるものがアルカリ性、色が変わらないのは中性。

試験紙の先っぽをちょこっとつける実験をやってみて、酢は酸性、アンモニア水とか石けん水はアルカリ性、水やお茶は中性―と知ることができた。

食品の酸性、アルカリ性を区別する方法はあれとは違う。

食品を高温で燃やしたあとに残った灰の成分中に、硫黄・リン・塩素など酸性を示す元素が、ナトリウム・カリウム・カルシウムなどアルカリ性を示す元素よりも多かったら酸性食品、それの反対がアルカリ性食品である。

簡単にいうと、食品の燃えカスの灰を溶いた水にリトマス試験紙を浸し、青色リトマス紙が赤くなれば酸性食品、赤色リトマス紙が青くなればアルカリ性食品である。

だから梅干しを溶かしたお茶は酸性反応を示すが、梅干しを焼いた灰はアルカリ性反応を示すというように、生のままだと酸性でも灰分はアルカリ性ということもある。

前記のように野菜や果物などはアルカリ性食品、肉や魚などは酸性食品と分類される。

だがくり返すが、それと血液とは何の関係もない。


◎血液の酸性・アルカリ性を保つ生体の恒常性

血液の酸性・アルカリ性は、いつも一定(動脈血はpH7.38~7.42、静脈血はpH7.34~7.38)に保たれている。

(注・pH=水素イオン指数。純粋の水はpH7で中性、これより大きい値はアルカリ性、これより小さい値は酸性)。

つまり血液はほんのちょっとアルカリ性=弱アルカリ性、ということになる。

この血液のpHを一定に保つシステム「酸アルカリ平衡(へいこう)」は、生体の恒常性(ホメオスターシス)と呼ばれる機能の一つである。

この機能があるからこそ、寒くても暑くても体温は一定に保たれ、日焼けした皮膚が元に戻り、キズや病気が治る自然治癒力がはたらき、元気に長生きできるわけだ。

体温が30℃に下がったり50℃に上がったりすると死ぬのと同じように、血液が酸性やアルカリ性になると死んでしまう。

血液が酸性に傾くことを「アシドーシス」といい、アルカリ性に傾くことを「アルカローシス」というが、たとえば、下痢、糖尿病、腎臓病などでpHが7.35を下回るとアシドーシスになり、利尿剤とかホルモン剤の長期服用の副作用でpHが7.45を超えるとアルカローシスになる。

正常値のpH(ほぼ7.4)から0.04か0.05の微々たる変動でしかない。

そして、アシドーシスが6.8を下回ったり、アルカローシスが8.0を超えたりすると、人間は死んでしまう。

わずか0.6上がるか、下がるかだけで命にかかわる一大事なのである。

食事の内容で血液が酸性になったり、アルカリ性になったりすることなど絶対にない。

「酸性体質」なんてあるわけないのである。

ああ、また秋! [老聾ぐちぐち]

ああ、また秋!

前立腺のがんが発覚したのが17年前の1999年、治療中の2008年、左尿管がん発症、左腎臓・尿管全摘出。
前立腺がん、いよいよ末期へと進行中。
 
ベテランのがん患者として願うことはただ一つ、なるべく安く、楽におっ死にたい。

カネのかかる延命治療など一切願い下げ、しかし苦痛は極力緩和してほしい。

ぜひぜひ叶えてほしいこの「安楽死」を、神さま(もし、どこぞにおいでになるのなら)にもお願いしておきたい。

ホウレンソウと貧血 [医学・医療・雑感小文]

ホウレンソウと貧血

ホウレンソウは貧血には効かない!

ビジネスマン心得の「ほうれんそう」は、報告、連絡、相談。

緑黄色野菜の代表のホウレンソウは、鉄分が豊富だから貧血に効くとされる。

子どものころから顔色がよくない、貧血気味だといわれ、頬紅メークでなんとかごまかしているという知り合いの女性。

長年、レバーやホウレンソウをせっせと食べてきた。健康雑誌にのっていたとおり生で食べて、ご亭主に〃ウサギ女〃なんて言われていたそう。

ところが、ホウレンソウはかえって貧血によくないという研究報告があることを知り、青白い顔がよけい青くなってしまった。

「それってホントなの?」

結論を先にいうと、ホントだが、そう心配するほどのことはないようだ。

ホウレンソウには鉄分が大量に含まれている(生100㌘中2・0㍉㌘。ハクサイやキャベツなどの7倍)。

で、「鉄欠乏性貧血」の改善に効果的といわれてきた。

それがそうではないどころか、あべこべに貧血が増悪するという動物実験の結果を報告したのは、広島女子大の研究チームだ。

実験は、血液を4分の1抜いて、人工的に貧血状態にしたラット(実験用シロネズミ)を三つの群に分けて行った。

そして、それぞれ、同じ量の鉄分が摂取できるように調整した、

①ホウレンソウを混ぜた餌、

②小松菜を混ぜた餌、

③シュウ酸を加えた小松菜を混ぜた餌、

―を6週間与えて、血液を調べた。

結果、ホウレンソウを与えた群は、血液中のヘモグロビン(血色素)が、小松菜群と比べてハッキリ少なくなり、貧血症状がいっそう進んだ。

小松菜にシュウ酸を加えた群も、ホウレン草群と同じようにヘモグロビンが減少した。

つまり問題は、ホウレン草に多く含まれるシュウ酸で、これが鉄分の吸収を妨げることがわかった。

もっとも、実験は(ネズミと人間の体重比からして)人が通常食べる量に換算すると、数倍の量のホウレンソウで行われている。

健康な人が普通に食べる分にはほとんど何の問題もないし、ホウレンソウにはカロチンやビタミンCも豊富に含まれている。

ただ、貧血の改善には役立たないことがハッキリしたわけだから、その目的でホウレンソウを毎日たくさん食べ続けるのは逆効果になりかねない。

知人はウサギ女をやめた。

   

貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビン(血色素)が減少した状態。

いくつか種類があるが最も多いのが「鉄欠乏性貧血」だ。

鉄分は血色素の主成分なので、体内の鉄分が不足すると、赤血球中の血色素が減少する。

血色素は肺で酸素と結合し、全身に酸素を供給している。

貧血になると体のあちこちで酸素不足が起こる。

顔色が青白くなり、息切れ、動悸、めまい、疲労けん怠感、頭痛、耳鳴り、食欲不振、微熱……といった症状が出てくる。

注意力や集中力の低下も起こる。

急に成績が下がった学童の原因が貧血だったという話もある。

貧血かどうかは、2cc程度の採血検査でわかる。

鉄欠乏性貧血の原因はさまざまで、ケガ、痔、胃・十二指腸潰瘍などによる出血、月経、妊娠、分娩、授乳、偏食、ダイエットなど。高齢者ではがんが多い。

治療のための鉄剤の投与には、経口投与と静脈投与がある。

経口薬は3~4ヵ月間は服用しなければならない。

静脈注射は即効性があるが、過剰投与による鉄分が肝臓や心臓に沈着、機能障害を起こす恐れがある。

これで問題になったのが、長距離・マラソンの女子選手が、「やせれば記録が伸びる」と食事を減らし過度な練習をした結果、貧血になり、即効性のある治療法として鉄剤の静脈注射をするケースだ。

全日本大学女子駅伝に出場経験のある26大学を対象に調査した、順天堂大女性スポーツ研究センターによれば、女子長距離ランナーの26.8%が鉄剤注射をしたことがあるという。

2016年4月、日本陸上競技連盟は、

「長距離選手の貧血対策として広まっている鉄剤注射が選手の体をむしばんでいる」

と、高校、大学、実業団など陸上競技の協力団体などに警告文書を送付した。

むろん、鉄剤注射が正当な医療行為である場合もある。

貧血では? と思ったら自己判断で鉄剤を飲んだりせず、病院へ─。

似てるけど違う? 違うけど同じ? [医学・医療・雑感小文]

似てるけど違う? 違うけど同じ?

◎貧血、脳貧血、低血圧…

めまい、立ちくらみがひどい。

朝、起きられない。疲れやすい。眠りが浅い。

わりあいよく聞く症状だ。

その原因としての、貧血、脳貧血、低血圧、起立性低血圧、起立性調節障害…も、わりあいよく聞く病名である。

どう違うのか? 違わないのか? 

似てるけど違ったり、違うけど同じだったりして、なんだかちょっとややこしい。

まとめてみよう。

貧血は、「血が薄い」という病的現象だ。

血液の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の濃度が低下した状態で、その原因で最も多いのが、ヘモグロビンの材料となる鉄分が不足する「鉄欠乏性貧血」である。

ヘモグロビンは酸素と結びついて体中に運ぶ役割をしている。

貧血になると、全身に酸素がじゅうぶん行きわたらなくなり、疲れやすい、疲れているのに眠りが浅い、動悸や息切れがする、といった症状が現れるが、立ちくらみやめまいは、それほど多くない。

脳貧血は、「脳の血流が一時的に不足」して起こる。

脳の細胞は、動脈を流れてくる血液から酸素とぶどう糖の供給を受け、エネルギー源としている。

脳へいく血液量が減少すると、脳細胞のはたらきが低下し、めまい、立ちくらみなどの脳神経の症状が現れる。

ときには失神して倒れることもある。

が、そうした症状は数分以内に消え、もとに戻る。

低血圧は、「血管内の血液の圧力が低い」状態。

原因となる病気や異常がなく、血圧だけが正常値よりも低い「本態性低血圧」と、原因となる病気のために血圧が低くなっている「症候性低血圧」に分けられる。

一般に「低血圧症」といわれるのは、前者のほうで、原因ははっきりしないが、遺伝性の体質のためと考えられている。

倦怠感、めまい、立ちくらみ、頭重感、不眠、肩こり、耳鳴りなど、さまざまな症状を同時に訴えるため、不定愁訴と呼ばれる。

年中、なんだかんだ、不調をかこちながらずっとそれなりに健康は保たれる。

詳しい検査を受けても血圧の低いこと以外、どこも悪くないとわかったら、長生き列車の指定席券を手に入れたようなものだ。

そう思ってあまり気にしないことが肝要で、症状の好転にもつながる、と専門医は助言している。

起立性低血圧(OH)は、寝ていて立ち上がったとき、血圧がストンと下がり、立ちくらみやめまいなどが起こる。(Orthostatic=起立性の、hypotension=低血圧)。

急に立つと、重力で血液が脚に下がり、脳に血液が不足しやすい。

健全なら、立つと同時に脚の血管が収縮し、一方では心臓が活発に動いて血液をたくさん送り出す。

この反射的な自律神経の調節がわるいのが起立性低血圧である。

高齢者に多くみられるのは、加齢とともに血圧の調節機能が低下し、血管がうまく収縮できないことや、心臓の働きが弱って送り出される血液の量が少なくなることが原因とされる。

起立性調節障害(OD)は、「思春期に発症しやすい自律神経系の機能不全」と説明される。(Orthsotatic=起立性の、dysregulation=調節障害)。

春から夏にかけての発症がとくに多い。

血管の収縮力が弱くなり、立つと下半身や腹部に血液がたまり、脳への血流が低下して、立ちくらみ、めまいが起こる。

思春期の子どもが、朝起きられない、朝食が食べられない、頭痛を訴える、朝礼で倒れてしまう、午前中はボーッとして、授業に集中できないが、午後からは元気になる─ようだったら、ODの可能性が高い。

連日の遅刻や不登校の原因になり、「怠けぐせ」「寝不足」などと誤解されがちだが、ODは病気なのである。

「子どもの訴えをきちんと聞き、理解した対応をすれば、子どもの心的負担も軽くなる」と専門医は助言している。

─と、こう見てくると、脳貧血、低血圧、起立性低血圧、起立性調節障害には共通点がとても多いことに気づく。

「ODの大人版がOHです。本質的に同じ病気ですね」とある専門医は言い、

別の専門医の研究でも、「朝礼で倒れた子は、大人になって低血圧や起立性低血圧になりやすい」ことがわかったという。

ただ、大人の立ちくらみには、シャイ・ドレージャー症候群という重い病気が混じっていることがある。

糖尿病や動脈硬化の立ちくらみもある。

精密検査を受けることをお勧めしたい。

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