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最後の友 [医学・医療・雑感小文]

 最後の友

 肺炎は、がん、心臓病に次ぐ死因の3位。その9割以上を高齢者が占める。

 高齢者はなぜ、肺炎になりやすいのか。

 病原菌などの異物を押し戻す気道(気管や気管支)の防御機能が低下し、同時に気道の免疫力も弱くなるためといわれる。

 普通、声帯から下のほうは、若い人だと無菌になっているが、老人では必ずしもそうではない。

 防御機能の低下による反応として、白血球(体内に入った細菌や異物を殺す働きをする)がみられることが多い。
 
口の中には無数の細菌が生息している。

 若い健康な人の口内細菌叢(そう)では、酸素があると生きられない嫌気性菌が優位で、病原性細菌の好気性菌の繁殖が抑制されている。

 年をとると唾液(だえき)の分泌が減るし、いろいろな持病とその治療薬の作用が重なり、口内細菌叢が変わり、病原性細菌が増えてくる。

 これが眠っている間に肺に吸引される。

 また、加齢による低栄養も肺炎が起こりやすい一因になる。

 救いは肺炎による死は安らかであること。

 「肺炎は老人の最後の友」と言われる。

 近代内科学の父、ウイリアム・オスラーのことばである。

誤嚥性肺炎 [医学・医療・雑感小文]

 誤嚥性肺炎

 肺炎というのは、その名のとおり肺に病原菌が入って起こる急性炎症だ。

 その菌の入り方・炎症の起こり方で、高齢者に非常に多くみられるのが誤嚥(ごえん)性肺炎だ。

 誤嚥の起こり方を、米国の医師バートレットは、三つの型に分類している。

 第一は、食事中にむせて、飲食物と一緒に口の中の病原菌が気管から肺に入り、肺炎が起こる。
 
第二は、胃液が逆流して気管から肺に入る。

 胃液は強い塩酸だから肺に化学的な炎症をつくってしまう。

 第三は、サイレント・アスピレーションと呼ばれるもので、眠っているときなど、無意識のうちに、口の中やのどの辺りの病原菌を肺にアスピレート(吸引)してしまう。

 高齢者の肺炎で特に重要視されている。

 誤嚥性肺炎を防ぐには、口の中をいつもきれいにしておくこと。
 
寝たきりの高齢患者を毎食後、歯をみがき、うがいをさせ、上体を起こして2時間ほど座らせておくようにしたら肺炎の発症が減ったと、老人医学の専門医が報告している。

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