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長時間残業+睡眠不足のリスク [医学・医療・雑感小文]

長時間残業+睡眠不足で2型糖尿病リスク増

 残業時間が月当たり45時間を超え、かつ睡眠が十分に取れていない人は2型糖尿病になりやすい可能性のあることが、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介氏らの研究グループの調べでわかった。

 一方、残業時間が月に45時間を超えていても、1日に5時間を超える睡眠をとっていると、リスクは上昇しない可能性も示された。

 研究グループは「長時間働く人は睡眠不足になりがちだが、睡眠を十分にとることで長時間労働による健康への悪影響が打ち消される可能性がある。

 睡眠時間をとるように工夫して欲しい」と話している。

 詳細は日本疫学協会誌「Journal of Epidemiology」オンライン版に掲載された。

 帝京大研究グループが会社員3万人を調査
 
 長時間労働は睡眠不足や心的ストレスとも関連することから、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患リスクを高めると考えられている。

 しかし、労働時間と2型糖尿病の発症リスクを関連づけるエビデンス(科学的証拠)は限られており、一定の見解は得られていない。

 研究グループは以前、4つの企業に勤める約4万人の会社員(16~83歳)を対象に行った横断研究から、残業時間と糖尿病の有病率はU字型の関連を示したことを報告している。

 今回、会社員の睡眠状況にも着目し、同じ集団のデータを用いて、労働時間と睡眠時間がそれぞれ、あるいは相互に2型糖尿病リスクに及ぼす影響について前向きに調べる観察研究を行った。

 対象は、職域多施設研究(J-ECOHスタディ)に参加した12社のうち4社で、2008年または2010年に健診を受けた会社員3万3050人(30~64歳、平均年齢は44.9歳、このうち2万8489人が男性)。

 対象者を月当たりの残業時間で4つの群に分けて2型糖尿病リスクとの関連を調べ、さらに、生活習慣に関する詳しいデータが得られた1社(2万7,590人)において、月当たりの残業時間(45時間未満または45時間以上)と1日の睡眠時間(5時間未満または5時間以上)で4つの群に分けて、残業時間および睡眠時間と2型糖尿病との関連を調べた。

 平均で4.5年間追跡した結果、1975人が2型糖尿病を発症していた。

 対象者を月当たりの残業時間で4つの群に分けて解析したところ、最も短い群(40時間または45時間未満)と比べて最も長い群(100時間以上または100時間超)で2型糖尿病リスクに差はみられなかった(ハザード比0.97、95%信頼区間0.64~1.38)。

 一方、睡眠時間と2型糖尿病リスクとの間にはU字型の関連がみられた。

 また、1社において、残業時間と睡眠時間を組み合わせてこれらの関連をみたところ、複数の交絡因子で調整した解析により、残業が月当たり45時間以上かつ睡眠時間が5時間未満だった人では、残業時間が45時間未満で睡眠時間が5時間以上だった人と比べて、2型糖尿病リスクは1.42倍(ハザード比、同1.11~1.83)に上ることが分かった。

 45時間以上の残業をしていても、睡眠時間が5時間以上だった人では2型糖尿病リスクの上昇はみられなかった(同0.99、0.88~1.11)。

 これらの結果を踏まえて、研究グループは「全体で見ると、長時間労働は2型糖尿病リスクの上昇と関連しなかったが、長時間労働に睡眠不足が加わるとこのリスクは高まった」と結論づけている。

 また、「長時間の残業で高まった交感神経の活動は血糖値の上昇を引き起こす可能性がある。

 交感神経の過剰な活動を抑えるためにも睡眠を十分に取ることが大切だ」とつけ加えている。
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観想、漢方、食事 [医学・医療・雑感小文]

 光源氏が、帝王になれなかったのは、「観相学」の示唆によるものだった。

『源氏物語』にそう描かれているそうだ。

 漢方の大家、丁宗鐡・日本薬科大学学長の話が新聞に載っていた。

 人相見が予言した光源氏の運命

 漢方には、目で体の状態を見る「望診」という伝統的な診察法があるのですが、「観相」も長い歴史があります。

 観相は人相見(にんそうみ)とも呼ばれ、その人の顔や容貌を見て、性格や運命などを判断するものです。

 日本の古典の中には、そんな場面が描かれています。

 源氏物語の第一帖桐壺では、幼少から聡明で美男子だった光源氏の将来を気にした帝(みかど)が、内密に高麗人の人相見に観相に行かせます。

 素性などはなにも伝えず、光源氏の顔を見せると、人相見はたいそう驚き、「この子は国の帝王になる高貴な相をしている」と言い当てます。

 しかし、「帝王になると国が乱れるかもしれない」と予言します。

 その報告を聞いた帝は、光源氏を自分の後継ぎにしないと決め、我が子の身に危険が及ばぬよう、源氏の姓を与えて平民にするのです。

 当時の貴族は、人相見に子どもの顔を見せて、将来の運命を決めていました。

 観相家や人相見は、この子はこんな人生を歩むと予言し、言い当てるのが技量だったのです。

 人相と運命に食がかかわっている

 日本の観相では、運命は決められたもので変えられない、と考えられていました。

 しかし、江戸時代の中期ごろになると、これを覆す観相家が現れます。

 一目見ただけで、ぴたりと当たると評判になった水野南北です。

 南北は自身の経験と数多くの観相の実践から、人の一生は運命で決まるのではなく、食事から吉凶が起きていると気づきます。

 そして、運命はその人の努力で変えられるものであり、そのためには食事が最も大切であると主張したのです。

「食べて美しくなりたい」は運命を変えたい表れ?

 酒浸りのすさんだ生活をしていると、肌は荒れて顔つきは貧相になったり、険しくなったりします。

 これは市井の人にも納得のいくことでした。

 また、「運命は変えられる」ということが、人々の希望になったのです。

「命を養う根本は食であり、暴飲暴食を慎むことで人相も運命もよくなる」

 南北が主張したことは、望診をしていた当時の漢方医も知っていたでしょう。

 また、漢方の養生や摂養を観相に取り入れたとも考えられます。

 その後、南北の観相の考え方を基盤にして、影響を受けた石塚左玄や桜沢如一が玄米食による食事法を提唱します。

 食事で運命が変えられるなら、食事で病気を予防したり、治したりできるのではないか。

 それにはどんな食事が体によいのか。

 しだいにそう考えられるようになり、食事と美容も結び付くようになったのではないでしょうか。

 ハトムギ、食品であり医薬品

 一例をあげると、最近、肌によいと人気のハトムギ。

 私が子どものころ、ハトムギは野原によく生えていました。

 植物に詳しい人は、採取したハトムギをお茶にしたり、ちょっとした皮膚病に使ったりして民間療法に活用したものです。

 厚生労働省が定めた食薬区分の中で、食品と医薬品の両方に入っているものは、甘草(かんぞう)や高麗人参(ニンジン)が知られていますが、ハトムギもその一つです。

 医薬品として扱う場合は「薏苡仁(よくいにん)」といわれ、漢方では、いぼ取りの生薬として伝統的に使われてきました。

 抗炎症作用や抗腫瘍作用などが認められています。

 保水作用があって皮膚がしっとりするため、医薬部外品や化粧品にもよく使われています。
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耳が遠くなると認知症になりやすい? [医学・医療・雑感小文]

新しく始まった朝ドラ「半分、青い」を毎回親しく愛「視」している。

作者の北川悦吏子さんがこのドラマのモチーフを得たのは、聴神経腫瘍のため左耳
失聴。

『傘を差すと左側だけ雨音が聴こえず、雨が降っていないかのように感じるのがおもしろくて、「これはドラマになる」と思いました。片耳の聴こえないヒロインが、傘を差しながら空を見て、「半分、青い。」と、つぶやく――。そんな情景が、ポンと浮かんできたんです。』
と話している。

当方は、10年前から両耳失聴(つまり全聾)。「聴」なし、字幕頼りの「視」だけのファンなので、どうも脳への刺激が「半分」かた減殺される感じで、おもしろさを満喫できてないところもある。

そんな折、難聴が認知症の誘因になるようだという記事を読んだ。

以下、その要約。

近年、加齢性難聴と認知症の関係が注目されている。

耳が遠くなると認知症になるのだろうか。

認知症と難聴の関係について、愛知医科大学耳鼻咽喉科の内田育恵・特任准教授の話。

■難聴があると加齢に伴う認知機能の低下が大きい

 世界保健機関(WHO)では会話領域の平均聴力レベルが25dBHL(デシベル・エイチ・エル)を超えると難聴と定義している。

[注]聴力:聞こえの程度のこと。小さい音からだんだん大きくしていき、初めて聞こえた音の強さで測定。様々な音の高さ(周波数)で検査し、平均聴力レベルの値で示す。25dBHL以下は正常とされる。

 国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」という疫学調査によれば、聴力レベルが25dBHLを超える難聴の有病率は65歳以上から急激に増え始め、75~79歳では男性71.4%、女性67.3%、80歳以上になると男性84.3%、女性73.3%が難聴という結果だった。

 この疫学調査に総務省発表人口推計(2010年8月1日時点)を当てはめて推計した結果、65歳以上の難聴人口は約1500万人であることが分かっている。

「聴力が低下すると、相手の声、話の内容が聞きとりにくくなり、話し相手が繰り返し話しかけたり、大きな声を出さなければいけなくなるなど、コミュニケーションの工夫や努力が必要となります。

 仮に高齢者1人に家族が2~3人いるとすれば、難聴がもたらす影響は、本人を含めて、国民の4500万~6000万人に及ぶ深刻な問題といえます」と内田准教授。

 問題は難聴だけではない。難聴があると認知機能の衰えが進むことも同疫学調査から分かってきているのだ。

「認知機能は加齢に伴い誰でも低下していくものですが、難聴があるとその衰えは顕著になります」

 しかも、難聴によって衰える認知機能は、加齢に伴い成熟する知識や言語能力など、老化によって衰えないとされる領域にも及ぶのだという。

■なぜ難聴だと認知機能が低下するのか?

「難聴があると、どうして認知機能も低下するのか、その理由はまだ明確には解明されていません。しかし、いくつかの仮説が考えられています」

 仮説のひとつが、「共通原因説」。

「脳にはたくさんの神経細胞が集まっています。例えば動脈硬化や糖尿病などは神経を障害しますが、音を聞きとる感覚神経と、認知機能をつかさどる中枢神経に同時に影響が及ぶと、同時並行で聴力と認知力の機能低下が起こります」

 つまり、難聴があるから認知症になるのではなく、難聴と認知症に共通の原因が作用するという考えが共通原因説である。

 難聴の人はそうでない人に比べ脳のワーキングメモリーの容量がいっぱいになりやすい?

 もうひとつは、「Effortful Listening仮説」あるいは「認知負荷理論」というものだ。

 Effortful Listeningは直訳すると努力して聞くということ。

 私たちの脳には、パソコンでいうところのワーキングメモリー(情報を一時的に保ちながら操作するための領域)があり、例えば、「2階にメガネを忘れたから取ってこよう」という行為は、このワーキングメモリーに入れられて、一時記憶として保存される。

 しかし、2階に行ったときに、ちょうど雨が降ってきたからとあわてて洗濯物を取り込んだりしていると、「メガネを取ってこよう」という最初の記憶が「洗濯物を取り込む」という記憶に上書きされる形で消されてしまい、1階に戻ってから「肝心のメガネを忘れた!」となる。

 これはワーキングメモリーの容量が限られているために、あれもこれもと同時にやろうとする結果起こる物忘れである。

「実は難聴のある人は、日常生活で、耳から入ってくる少ない情報から内容を理解するために、無意識のうちに人よりも多くのワーキングメモリーを消費してしまっていると考えられています」

 例えば、電車内の聞きとりやすいアナウンスならば小説を読みながらでも内容を理解できるが、音声の悪いアナウンスを聞きとる場合は、他の作業を止めて耳を澄まし集中しなければ聞きとれないという経験をしたことがあるだろう。

 難聴がある人は、日常的に、音声の聞きとりに多くのワーキングメモリー容量を使ってしまい、それが認知機能の低下に影響するという理論である。

 また、「誤解」説というものもある。

 これは難聴が原因で、認知機能のテストで実力よりも低く評価されてしまうというものである。

 一般的な認知症の検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)や長谷川式の認知機能検査は、音声指示で行われるために、聴力が低下していると不利になり、質問をあいまいにしか聞きとれなかったり、聞きとるのに労力を使ってしまい記憶に定着しにくくなるなどして、実際の能力より検査結果が低く出る可能性があるというのだ。

「実験的に聴力が正常な人に、聞きとりにくい音声加工で擬似難聴の条件を作り認知機能の検査をしたところ、重い難聴レベルの音声では約9割の人が認知症患者と同レベルの結果になってしまったという研究報告もあります」

 通常、認知機能の検査をする場合は、検査の前に会話をして聴力がどの程度か確認し、必要に応じて質問を文字で見せるなどするが、中には聴力が衰えていることが見逃されることもあるという。

 最後の「誤解」説は別にして、難聴と認知症がお互いに関連していることは明らかだろう。

 厚生労働省が2015年に発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中でも、認知症発症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、糖尿病、喫煙などとともに、難聴が掲げられているのだ。

■聴力機能は一度壊れたら元には戻らない

 そもそも、どうして難聴は起こるのだろうか。

 難聴になる人とならない人の差はあるのだろうか。

「難聴を引き起こすすべてのメカニズムはまだ解明されていません。

 しかし、難聴の危険因子としては加齢のほかに遺伝的要因や糖尿病、喫煙など様々なリスクが考えられています。

 中でも難聴を起こす最も大きな原因と考えられているのが、騒音です」

 若い頃に大きな音を長期間にわたって聞いていると、年を取ってから難聴になるリスクは高くなるという。

「10代や20代の頃に、大きな音量で音楽などを日常的に聞いていると、60歳を過ぎてから加齢性難聴になるリスクは非常に高くなります。

 また、大音量に長時間さらされると40歳くらいで難聴が起こることもあります。

 怖いのは、聴力機能は一度壊れたら元には戻らないということです」と内田さんは警鐘を鳴らす。

 大音量から耳を守るためには、できるだけ大音量に耳をさらさないことが大事だ。

 コンサートなども1時間に5分くらい休憩を入れるといい。

「工事現場で仕事をしている人などで、その場から抜けられない場合は、耳栓をして耳を休めるようにしてもいいでしょう。

 またライブハウスなどではスピーカーの近く、音の反響がある壁の近くは避けることも重要です」と内田さんは話した。

 高齢者の場合、難聴かと思ったら、耳あかがたまっていたというケースもあるという。

「通常、耳は自浄作用があるので、耳あかは外側へ押し出されるのですが、高齢になると自浄作用が低下して、耳の奥に耳あかがたまってしまうことがあります」  
 
 健康診断では、聴力の検査はしても耳の中まで調べることはない。
耳の聞こえが悪くなったなと思ったら、年だから仕方がないと思わずに、一度、耳鼻咽喉科でしっかり中まで調べてもらうことも大切だ。

■補聴器を使うことで認知症は改善されるか?

 難聴は治療をしても元の聴力に戻すことはできないが、補聴器を使うなどして聴力を補うことは可能である。

 では、補聴器で聴力が回復すれば、認知症も改善されるのだろうか?

「補聴器を使って聴力を補えば認知機能が改善するのかという疑問には、まだ答えが出ていません。また、認知症の人は補聴器の管理や操作をするのが難しいため、使用自体が困難な場合もあります」

 ただし、家族のサポートで補聴器を使うことにより、コミュニケーションが取りやすくなり、認知症に伴う周辺症状が改善される場合もあるという。

 高齢者の難聴、そして難聴と認知症の関連はまだ分からないことも多いが、できるだけ若いうちから、騒音に耳をさらさないようにして、聴力の低下を予防することが大切といえそうだ。

 高齢者の難聴の中には、耳あかなど治療で治る場合もある。

 内田さんは「耳に違和感を覚えたら、一度は耳鼻咽喉科を受診してください」と話した。 

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脳梗塞の薬の意外な効果 [医療小文]

アルツハイマー薬応用でリハビリ効果アップ

 昨日、心房細動が認知症のリスクに─という記事をご紹介した。

 そのあと、認知症の藥が脳卒中後のリハビリ効果を高める可能性がある、と横浜市立大などの研究グループが6日付の米科学誌「サイエンス」に発表したという記事を毎日新聞で読んだ。

 この薬は脳卒中で損傷した部分に効き、リハビリと併用すると脳の情報伝達をつかさどる「受容体」の働きを増やす効果がある。

 グループは脳を損傷させたマウスと、同じく脳を損傷させたカニクイザルでは、効果を確かめた。
 今秋以降に約40人規模の患者に治験を始めるという。

 話は少しさかのぼるが、2015年8月、国立循環器病研究センター(大阪)の猪原匡史(まさふみ)・脳神経内科医長は、脳梗塞再発防止薬のシロスタゾールが認知症の進行予防にも有効、と報告している。

 論文はアメリカの科学誌にも掲載された。

 淡路島の洲本伊月病院でアルツハイマー型認知症の進行抑制にドネペジル塩酸塩(アリセプト)を服用している患者のなかで、シロスタゾールを併用している人と、のんでいない人のミニメンタルステート検査(MMSE)を比較したところ、シロスタゾール併用組の認知機能低下が抑えられていることがわかったという。

 特に記憶の再生や自分が置かれている状況の把握能力(見当識)の低下にブロックがかかった。

 併用患者69例、アリセプトのみの患者87例で調査した結果である。

「この調査はあくまでカルテの記録を基にした後付け的な解析です。

 今回の治験では、アリセプトとの併用ではなくシロスタゾール単体を使う。
前向きの解析ができると期待しています」と、猪原医師。

 研究は、アルツハイマー病のモデルマウスでシロスタゾールが脳に蓄積する老廃物の排泄を促進する作用があることまでを、すでにつきとめている。

 MRI画像でわかった脳の微小出血が認知症と大きな関係があることは以前から知られていた。

 アミロイドβの増加によって血管に亀裂が起き、出血して認知症が発症するという見方だ。

 これがシロスタゾールによって回避できるのではないか、というのが猪原医師らの考え。

 シロスタゾールは脳梗塞再発防止の既存薬で副作用についても周知されている。

 認知症になる前の軽度認知障害(MCI)の段階で歯止めをかけることが急務。

 猪原医師はこんなふうに話している。

「シロスタゾールの服用で頭痛などを起こす人もいますが、投薬を止めると治ります。

 安全性も確かめられていますし、使いやすいと思います」

「高血圧と脳卒中の関係と一緒だと思います。

 高血圧の患者さんに血圧降下薬を処方しないといつかは脳卒中になってしまいます。

 製薬会社は近い将来、MCIは疾患として認められると判断、シロスタゾールが処方薬として活用されると予測していると思います」

「治験前の予測は控えなければなりませんが、これまでの調査からシロスタゾールは認知症の中でもレビー小体型に最も効果的で、次にアルツハイマー型、脳血管性認知症はその次というような報告もあります」
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心房細動と認知症 [医学・医療・雑感小文]

 心房細動(AF)も認知症リスクの一つ

 全身をめぐってきた血液(静脈血)を心臓に受け入れる心房が細かくふるえる心房細動は、長嶋茂雄さんなどを冒した心原性脳塞栓症の原因として知られている。

 この心房細動が認知症をもたらすことがあるという。

 世界の認知症患者は2010年に3,560万人、2030年には6,570万人、2050年には1億1,540万人に上ると推測されている。

 認知症では多くの危険因子が報告されているが、心房細動(AF)もリスクの1つと考えられるようになってきた。

 欧州不整脈学会(EHRA)、米国不整脈学会(HRS)、アジア太平洋不整脈学会(APHRS)、ラテンアメリカ不整脈学会(LAHTS)の「不整脈と認知機能の専門家コンセンサス:ベストプラクティスは何ですか?」が発表された。

 コンセンサスのポイント:AF患者における認知機能障害の予防措置を勧告

 このコンセンサスでは、脳卒中の既往があるAF患者を対象としたメタ解析研究2件が取り上げられた。

 1件は2011年にKwokらが行った7件の研究のメタ解析で、AFを有する患者では認知症のオッズ比(OR)が2.43(95%CI 1.70~3.46、P<0.001、I2=10%)であった。

 オッズ比(Odds ratio)=、ある事象の起こりやすさを2群で比較して示す統計学的な尺度。

 もう1件は2013年にKalantarianらが行った7つの研究のメタ解析で、AFを有する患者では認知機能障害と認知症の相対リスク(RR)が2.70(95%CI 1.82~4.00、I2=32.3%、P=0.18)であった。

 一方、脳卒中の既往がないAF患者を対象としたメタ解析は、2012年にSantangeliらの研究を取り上げており、AFのハザード比(HR)は1.42(95%CI 1.17~1.72、P<0.001)だった。同コンセンサスではこれらの研究以外にも多くの報告を紹介している。

 ハザード比(Hezard Ratio、略してHR)=統計学用語。臨床試験などで使用する相対的な危険度を客観的に比較する方法。

 また、AFにおける認知機能低下の可能性がある複数の機序を提示している

 さらにワルファリンによる治療では、プロトロンビン時間国際基準比(PT-INR)が至適範囲内にある時間(TTR)と認知症新規発症リスクがUカーブの関連を呈し、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は低いTTRより認知症新規発症が少ないという報告を紹介している。

 最後に「AF患者における認知機能障害を予防するための措置に関する勧告」が示されている。
 
 無症候性脳梗塞や脳卒中の発症がアルツハイマー病発症を加速

 かつては、たばこを吸うと認知症が予防できるといわれていた。

 多くの医師が医局や病棟、場合によっては外来で喫煙していた。

 ところが、1998年、認知症やアルツハイマー病の発症が喫煙で約2倍になることが報告された。

 その後、多くの大規模研究の結果、喫煙で認知症が増加することが報告されている。

 2017年に発表された認知症の予防・治療・ケアに関する60ページにわたるレビューでは、潜在的に修正可能なリスクは35%で、全体の寄与リスクとして高年期の喫煙は5%と、中年期の難聴9%、小児期の教育期間の短さ8%に次いで3番目の高さであった。

 喫煙による認知症の相対リスク(RR)は1.6だった。

 AFに関しても、1997年に報告されたRotterdam研究では性、年齢を調整した多変量回帰分析の結果、AFがあると認知症と認知機能低下のORが、それぞれ2.3と1.7になることが示された。

 血管性認知症ではAFとの関連はなかったが、女性特に75歳未満の女性、さらに脳卒中を伴うアルツハイマー病で有意な関連を示した。

 2011年に報告されたACT研究でも、AFでは全認知症のHRが1.38、特にアルツハイマー病ではHR 1.50であった。

  「心原性認知症」という用語がある。

 心不全があると、神経細胞、脳血管内皮細胞、ペリサイト、アストロサイト、細胞外マトリックスなどの機能的統合体neurovascular unitにおいて、アミロイド斑や神経原線維変化を来すアミロイドβ蛋白やタウ蛋白のクリアランスが低下することが示唆されている。

 AFによる無症候性脳梗塞の存在、低いTTRによる微小脳出血などの脳卒中の関与だけでなく、心血管危険因子の存在がneurovascular unitでのアミロイドβ蛋白やタウ蛋白のクリアランス低下を来す可能性も考えられる時代になった。

 脳梗塞を来さなくてもAFはアルツハイマー病の新規発症を増加させ、無症候性脳梗塞や脳卒中の発症がアルツハイマー病発症を加速するようである。

 AF患者の対応では、脳卒中予防、QOLの向上を考えなければならないが、健康寿命の延伸のためには、「AFでは認知症予防もお忘れなく」というメッセージも重要だ。
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功成り名遂げた男の病気 [医療小文]

「小便を久しく忍べば、たちまち小便ふさがりて、通ぜざる病となる事あり。
 是を転脬(てんぷ)と云。又淋となる。(小便を長くがまんしていると、小便が出なくなることがある。尿閉という。また、尿量が少なく、排尿回数が増える)」

 貝原益軒『養生訓』巻第五にあるこの記述を、小児科の名医として知られた松田道雄氏は「尿路結石」の症状と解説している。

 一般論としてはそうなのだろうが、中高年男性に限っていえば、これは前立腺肥大症の症状にピッタリ、だ。

 益軒が『養生訓』を刊行したのは、死の前年の83歳のとき、著者自身の体験的述懐でもあったのではないか。

 前立腺肥大症は、男性特有の老化現象。

 還暦という年がチラチラ見え始めるころ、排尿の勢いが衰え、回数がふえ(たとえばゴルフのハーフがもたない)、夜も一度は起きなければならない、といったふうだったらまず前立腺肥大症とかんがえてよい。

 どうかすると(深酒、冷え、長時間の着座、睡眠薬や風邪薬などの副作用で)、1滴も出なくなることもある。

 軽症のうちは、交感神経の緊張を解き、尿道の圧迫をゆるめるα1ブロッカー(ハルナール、フリパス、アビショットなど)が第一選択薬として使われる。

 薬が効かなくなった場合の治療法はいくつかあるが、現在最も広く行われているのは、尿道から内視鏡を挿入して肥大した腺腫を削り取る「経尿道的前立腺切除術(TURP)」で、〝ゴールド・スタンダード〟といわれている。

 
 これを最初にアメリカから導入した元北里大学医学部泌尿器科小柴健教授によると、

「前立腺肥大症というのは、人生50年の時代にはなかった病気、つまり長生きしなきゃなれない、功成り名遂げた男の病気なんです。 
 
 実際、患者さんたちには、仕事の面でも性的な面でも、非常に活動的な人が多い。

 そんな印象が強い。だから前立腺肥大症になったからといってガッカリすることはありません。

 おれも男一匹、なるべき病気になったぞ、ぐらいの心意気でね、元気を出してほしいですね」
 
 しかし、元気を出して?手術を受けたのはいいが、どうも期待したほどの治療効果が得られず、相変わらず不如意をかこっているという話を聞くことも多い。

 医師の腕の格差もあるのだが、TURPという術式自体にも難点が二つばかりある。

 一つは腺腫の完全切除が難しいこと。

 もう一つは、手術中の出血を洗い流すために膀胱に入れる水が体内に吸収されて、電解質のバランスを崩し、吐き気や血圧低下が起こる(TUR反応という)ことだ。

 これらの難点を完全に解決したのが、平岡保紀・南大澤パオレ腎クリニック医師(日本医大名誉教授)の新内視鏡手術である。

 男一匹、そろそろ手術を受ける時期かと思案中の向きに、教授の著書『前立腺肥大症を完全に治す本』(マキノ出版=1300円)の一読を強くお勧めしたい。

 必ずやお役に立つであろう。

 南大澤パオレ腎クリニック=東京都八王子市南大沢2-2 パオレ5F 042(677)4477
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ネギとセレン [医学・医療・雑感小文]

 この冬はネギをよく食べた(食べさせられた)。

 風邪をひかなかったのはそのおかげだ、と強く主張する者(女性1名)もある。

 そうかもしれない。

 以下のような記事を新聞で読んだ。

 インフルエンザに感染させたネズミの実験で、ネギのエキスを与えた群は、与えなかった群に比べ症状が軽く、早く治った、とか。

 動物園では、寒さに弱いチンパンジーにネギを食べさせた、とか。

 ネギやタマネギに比較的多く含まれるセレンは、近年注目のミネラルだ。

 生体になくてはならない炭素や酸素や水素など26の「生体必須元素」のうち、きわめて微量ながら不可欠の元素(微量必須元素)が15ある。

 セレンもその一つだ。

 化学的性質は硫黄に似ていて、欠乏するとうっ血性心筋症になりやすく、乳がんや肺がんなどによる死亡率も高まる。

 精液中のセレン濃度が低いと精子の数も少なく、不妊に関係しているかもしれないという。

 また、ビタミンEのような抗酸化作用もあるらしい。

 過酸化物ができないようにするのがEで、減らすのがセレンだ、と聞いた。

 セレン今昔談

 昔、セレンは有害物質とされた。

 土壌中にセレンを多く含む地方があり、そこに生えたセレン含量の高い草を食べると、家畜のヒズメが落ちる中毒症状が起こる。

 この家畜の風土病は、マルコポールの「東方見聞録」にも記されてあるほど古くから知られていた。

 だがその原因は、土地の水がアルカリ性であるためと誤認され、「アルカリ病」と呼ばれた。

 1930年に真因が明らかになり、以来、セレンは動物に対しては常に毒性を示すものとされてきた。

 50年代後半になって、鶏、羊、牛、豚などにみられるある種の病気(白筋病、食餌性肝障害その他)が、少量のセレンを与えると、予防や治療ができることがわかった。

 そうした病気は、土壌中のセレンが乏しいために生じるセレン欠乏症で、ニュージーランドやスカンジナビア諸国に多いそうだ。

「昨日の敵は今日の友」ではないが、かつては有毒元素とみなされたセレンが、栄養学上必要な微量元素であると認められたわけだ。

 しかし、その生理作用には不明な点が少なくなかった。

 近年の研究で、セレンの生理作用がかなり解明された。

 一つは、赤血球の中のグルタチオン過酸化酵素の構成分としてセレンが含まれていて、セレン欠乏症の動物の赤血球は、この酵素の活性が低いことが分かった。

 セレン欠乏症は、セレンを与えると治るし、ビタミンEの投与によっても防いだり治したりすることができる。

 二つを併用すると効果がさらに大きくなることから、ビタミンEとセレンには共通の性質─抗酸化作用があると考えられる。

 体の中で脂肪が酸化された過酸化脂質が増えると、赤血球が壊されて貧血が起こる。

 肝臓や心臓の機能が低下することもある。

 セレンを含むグルタチオン過酸化酵素は、細胞内に生じた過酸化脂質を取り除く働きをする。

 過酸化脂質からつくられる老化物質リポフスチンの生成を抑える作用もあるといわれる。

 セレンは、肉や魚、貝、トマト、ネギ、タマネギ、ニンニク、キノコなどに比較的多く含まれる。

 偏食せず、普通に食べていれば、セレンに限らず、ビタミンもミネラルも欠乏することはない。
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急告! 愛酒家諸兄 [雑感小文]

 いささか旧聞。

 梅宮辰夫さん。転倒。

 どうして顔面衝突したんだろう。

 ポケットに手を突っ込んで歩いていたのか。

 まさか酔ってたわけじゃないよね。

 日中のイベント前なんだから。

 その後の状態は?

 おだいじに…というほかないから、言います。

 くれぐれもおだいじに!。

 さて。

 飲酒後に転倒や交通事故で頭部外傷を負うと、直後の検査では異常がないのに、半日~2日後に急死するケースがある。

 頭がむくんだり腫れたりする「脳浮腫」の悪化が原因とみられていた。

 松本博志・札幌医科大学教授(法医学)の研究チームは、「飲酒ラット」と「しらふラット」による実験で、そのことを確かめた。

「飲酒」したうえで頭を損傷したラットは、6時間後までは異常はなかったが、24時間後に脳浮腫が生じ、脳浮腫の原因の一つとされるたんぱく質「アクアポリン4」が大幅に増加し、約半数のラットが死んだという。

 花見酒、真っ盛り。

 おたがい、気をつけよう。

 飲んだら、転ぶな!

 手・ポケット歩きやめましょう。
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頭を打った! [医学・医療・雑感小文]

 脳は豆腐  
 
 長生きのコツを聞かれて、「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と答えたのは、91歳の天寿を全うした岸信介元首相だった。

 老人の風邪は肺炎に進展しやすい。

 転ぶと、骨折しやすく、太ももの付け根を折って寝たきりになったり、頭を打って大ごとになる例が少なくない。

 脳は、豆腐のように軟らかい組織で、周りを脳脊髄液で囲まれ、頭蓋骨の中に浮かんでいる。

 豆腐の入ったボウルをゴツンとぶつけると、豆腐がゴシャゴシャと動くように、頭を打つと、その衝撃で脳が1秒の10分の1とか100分の1といった速さで振動する。

 頭蓋骨の中で脳が強くゆさぶられ、片方に寄る。

 脳の機能が一時的に障害されて短時間、意識を失ったり、判断力が鈍ったり、記憶喪失を起こしたりする。

「脳振盪(しんとう)」と呼ばれる状態だ。

 たいていすぐに回復して、大したことにはならないのだが、とっさの防御反応が鈍くなった人は、頭をまともに打って、脳の中に血液がたまる「硬膜下血腫」ができることがある。

 硬膜下血腫

 転んで頭を打っても、コブなどはできないことがある。

 頭の外側には何の変化も認められない。

 だが脳の表面が傷つき、出血して、脳の表面と脳を覆っている硬膜の間に血液がたまり、血腫ができることがある。

 硬膜下血腫という。

 出血量の多い「急性硬膜下血腫」の場合、数時間内に意識を失うなどの異常が生じる。

 しかし、チョロッと出血したぐらいでは症状はほとんど出ないと、脳神経外科の専門家、平川公義・東京医科歯科大学名誉教授。

「症状が出たとしても、手足の力がなんとなく弱いとか、歩くときにちょっとふらつくとか、せいぜいそんなものです」

 ──そして1日か2日で元に戻る。出血が吸収されてしまうからだ。

「しかし、2、3日たってもどうも頭が痛い、へんな感じがあるというようなら病院に行ってください。

 何もなければそのまま何もしないで、むしろ1カ月か1カ月半たってなんだかおかしいと感じたら、CTで検査してもらい、確定診断を受けたほうがよいでしょう」

 ──そのとき脳では「慢性硬膜下血腫」が発生している。

 脳の硬膜の内側に血の塊ができる「慢性硬膜下血腫」は、高齢者に多くみられる脳障害で、頭を打ってから1カ月、ときには2、3カ月たってから徐々に症状が現れてくる。

「頭重や頭痛も訴えますが、足がふらつき、体の片側に軽いまひが生じることもあります。

 なんとなく周囲の状況がよくわからない感じで、ボーッとして反応が悪くなります。

 高齢者の慢性硬膜下血腫はよく見逃されたり、誤診されて老年性痴呆と間違われることがあります。

 ぼけてしまったということでほうっておかれると、治る認知症を見逃すことになります」

「また、例えば、正常圧水頭症といって、脳の中の脳脊髄液の循環が悪くなって、脳に水がたまってくる病気でも、ふらついたり、言葉がもつれたり、意識が悪くなったり、失禁したりします。

 お年寄りの頭の具合がだんだんおかしくなってきたら、頭の中で何が起こっているか、詳しく調べて、原因を突き止めなければいけません」

 以上、平川公義・東京医科歯科大名誉教授のアドバイス。
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老後を楽しく [雑感小文]

 貝原益軒『養生訓』巻八「養老」を読んだ。

「老後は、わかき時より、月日の早き事、十ばいなれば、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年とし、喜楽して、あだに日をくらすべからず。

 つねに時・日をおしむべし。

 心しづかに、従容(しょうよう)として余日を楽み、いかりなく、欲すくなくして、残躯をやしなふべし。老後一日も楽まずして、空しく過ごすはおしむべし」

 老後は、若い時の10倍の早さで時が過ぎていく。

 1日を10日とし、10日を100日とし、1月を1年として楽しみ、むだに日を暮らしてはいけない。

 いつも時・日を惜しむべきである。

 心を静かに落ち着いて残りの月日を楽しみ、腹をたてず欲を少なくして、残っている体の力を養うべきだ。

 老後はただの1日でも楽しまずに過ごすのは惜しい。

 年をとると、時が早く過ぎるのは、〃時の分母〃が大きくなるからだろう。

 たとえば、8歳の子の1年は8分の1だが、80歳の1年は80分の1だ。

 1年の長さが10分の1に感じられる道理だ。

 であるからには、1日を10日と思い、大切に楽しく過ごすべきだ。

「老人の保養は、常に元気ををしみて、へらすべからず。

 気息を静かにして、あらくすべからず、言語をゆるやかにして、早くせず、言(ことば)すくなくし、起居・行歩をも、しづかにすべし。

 言語あららかに、口ばやく、声高く、揚言すべからず。

 怒なく、うれひなく、過ぎ去りたる人の過ちを、とがむべからず。

 我が過ちを、しきりに悔ゆべからず。人の無礼なる横逆を、いかりうらむべからず。

 是皆、老人養生の道なり。又、老人の徳行のつつしみなり。」

 老人の保養は、いつも元気を惜しんで気をへらしてはいけない。

 ものを言うのもゆっくりして、いそいではいけない。

 口数も少なくし、起居・歩行も静かにする。

 乱暴な言葉で、早口で、声高に大きい声でものを言ってはいけない。

 怒らず憂えず、人の過ぎた過失をとがめない。

 自分の過失を何度も悔いない。

 人の無礼な無理押しを怒りうらまない。

 これはみな老人の養生の道であり、同時に老人の徳行の慎みである。(松田道雄訳)

 いや、どうも、耳が痛い! せめて今日一日だけでも、かくありたいと、思う。
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