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人生の秋 [医学・医療・雑感小文]

 人生の秋


 秋だから更年期の話。

 思春期が人生の春なら、更年期は豊かな実りの秋だ。

 人生80年の折り返し点─後半生の出発のときだ。

 辞書を見ると、「更」は「新しくなる。変わる」という意味。
 
更年期は、年齢が更新される時期といっていいだろう。

 そう思うと、この用語、案外わるくない。

「更年期は女性ならば一度は越さなければならない人生の峠である。

美しく老いる準備期間と考えて有意義に過ごしたいものである」

とは、産婦人科領域で優れた業績を残した川島吉良・元浜松医大学長の言葉。

 更年期は閉経(平均年齢50・5歳)の前後数年間。
 
卵巣機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に減る。
 
エストロゲンは、肌や骨、血管、脳などに大きな働きをし、自律神経系にも作用しているので、心身にさまざまな症状が現れる。更年期障害だ。

 が、その程度は人によって異なる。

 エストロゲンの減少以外、個人の性格や体力、生活環境も大きく影響するからだ。

「更年期は自分らしい生き方の始まりのとき。自分に合った対処法を─」
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脂漏性皮膚炎 [医学・医療・雑感小文]

 脂漏性皮膚炎


 ひどいフケは、もしかしたら脂漏性皮膚炎かもしれない。

 脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌の多い部位にできる湿疹(しっしん)だ。
 
真菌(カビ)の一種で皮脂をエサにする癜風菌(でんぷうきん)が原因といわれる。

 頭皮や小鼻、耳の周辺、わきの下、ももの付け根など、皮脂腺がよく発達した部位に出やすい。
 
患部にハッキリとした赤みが生じ、頭皮の場合はかゆみを伴ったフケが多く出る。
 
「フケ症と思っていたら実は脂漏性皮膚炎だった」例が半数にのぼるという。

 皮脂の分泌が盛んな中高年に多く、全国の推定患者数は300~500万人という。

 脂漏性皮膚炎を放置していると、毛穴に皮脂が詰まり、髪の毛が抜けやすくなる「粃糠(ひこう)性脱毛症」を引き起こすこともある。
 
患者には、抜け毛と一緒にフケの症状を訴える人が多い。
 
脂漏性皮膚炎の治療には、癜風菌に対する抗真菌作用をもつ「ケトコナゾール」(医療用医薬品)が使われる。
 
症例に応じてステ口イド剤などを用いる場合もある。早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けよう。
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ボスのフケ [医学・医療・雑感小文]

ボスのフケ

 秋が深まり、ダークな色合いのスーツやコートを着るようになって困るのは、肩のフケ。

 せっかくのおしゃれも台無しだし、上司のこけんにもかかわりかねない。

 製薬会社のヤンセンファーマは、10月16日の「ボスの日」にちなみ、全国の20~30代OL約300人を対象に、上司についての意識調査をした。

 結果、「仕事ができる人」が理想の上司とされる一方で、仕事ができても身だしなみ次第では評価がダウンすることがわかった。

 上司の身だしなみで気になるのは、口臭・体臭、フケ症・肩にのったフケ、だらしない服装などで、清潔感のない上司には嫌悪感さえ覚えるという。

 実際に「上司のフケに気づいた」人が4割近くもいて、「汚い・近づきたくない」「フケがあるだけでどんな面も不潔に見えてしまう」「フケのせいでその人の魅力が半減してしまう」など、能力や人柄以前にフケのためにネガティブな印象を受けているコメントが目立ったそうだ。

 多量のフケは「脂漏(しろう)性皮膚炎」が原因になっている例が少なくないという。

 脂漏性皮膚炎については明日─。
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湯治効果 [医学・医療・雑感小文]

 湯治効果


 体の健康を保つには適当な体温が必要だが、冷えのために体温が低くなると、安定した状態が保てない。細胞が傷つく。

 反対に、高熱が加わっても細胞は損傷される。

 傷ついた細胞を修復するために、生体は、HSP(ヒート・ショック・プロテイン=熱ショックたんぱく質)という酵素を大量につくり出す。

 この修復酵素にとっての至適温度は37度。

 体温とほぼ同じだが、体の外からの熱だと40度近辺の温度がHSPを最もよく産生することがわかっている。

「HSPは、早くいえば体を守るたんぱく質で、あらゆる種類の細胞異常に対応して、細胞の損傷を修復します。

 たとえば関節が痛むとき、患部を体温よりも2度くらい高いもの(湯たんぽ、温熱シートなど)で温めると、HSPが生成され、痛みを和らげてくれます。

 日本には昔から<湯治>という体を温める治療がありましたが、HSPの発見で、そのシステムが解明されたのです。

 多くの慢性病が、体を温めることでよく治っています」と、東京有明医療大学の川嶋朗教授は話している。
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ストレス冷え [医学・医療・雑感小文]

 ストレス冷え

 秋冷の候だが、季節を問わず「日本人はみんな、冷えています」と、川嶋朗・東京有明医療大学教授。

「自分のおなかに、手をじかに当ててみてください。ひんやりしているようなら、要注意です」

 この冷えが血液を汚し、体の機能を低下させ、さまざまな慢性疾患の誘因になる。

 病気にならなくても、体に及ぼす悪影響は計りしれないと、川嶋教授は明言する。

 特に男性は、冷えに対してあまりにも無防備だ。

 冷えは女性特有の症状だと思い、自分の体の冷えについて無関心なのだという。

「現代人に冷えによる健康障害が増えている大きな原因の一つは、ストレスです。

 心身にストレスがかかると、交感神経(自律神経の一つで、身体活動を高進させるように作用する)が緊張しますから、血管が収縮し、血液の流れが悪くなり、東洋医学でいう瘀血(おけつ=古い血)が滞り、冷えてくるのです」

 どうしたらいいか。

 一言でいえば「温める」こと。
 
冷たい食事をとらない。食物には火を通す。半身浴をすることだ。
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HRT効果 [医学・医療・雑感小文]

 HRT効果

女性ホルモンのエストロゲンは、もの覚えに密接にかかわり、アルツハイマー病の予防に役立つなど、脳にとってきわめて大切な作用をしている。

では、男性は関係ないのか。そんなことはない。

男性の場合も、男性ホルモンのテストステロンが体内でエストロゲンに変わって、同じ働きをしている。

むろん、年を取ればテストステロンの分泌は減るが、女性の閉経期のような急激な減少は、男性にはみられない。

実際、更年期以後の女性と同年齢の男性を比べると、体内のエストロゲンの量は男性のほうが多い。

そこで、閉経期前後の女性にエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が行われる。

その効果はとてもシャープで、HRTを3カ月間受けただけで、記銘力テストの成績が明らかによくなることが証明されている。

これは効きそうだという感じは、飲み始めて数日でわかるそうだ。

「お化粧ののりがよくなる。肌の状態がよくなる。一番敏感なのはそれかなと思います」と、自分でもHRTを行っている婦人科の専門医は話している。
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ホルモンと記憶 [医学・医療・雑感小文]

 ホルモンと記憶

 トシをとるともの覚えが悪くなるが、それが始まるのは40代前半で、50代では一段とひどくなることが、専門家の研究でも確かめられている。
 
大藏健義・独協医大教授(産婦人科)らは、20歳から64歳の女性240人を、20代、30代前半、後半、40代前半、後半、50代前半…と年齢別の8群に分け、専門的方法による「記銘力検査」を行った。

 結果、記憶機能が有意に低下するのは40代前半で、50代前半ではさらに著しい低下がみられ、以後は徐々に低下していくことがわかった。

「40代前半は、卵巣からのエストロゲンの分泌が減り、更年期に差しかかる年代です。50代前半では、ほとんどの人が閉経して、卵巣からのエストロゲンの分泌がなくなります。

 そのため記憶機能の低下が起こるのです」と大藏教授。
 
記憶機能の低下した女性にホルモン補充療法(HRT)を行うと、脳の活性化と脳の血流量の増加がみられ、記憶力が回復することが臨床的に確かめられている。

 また、アルツハイマー病を予防する理由も解明されている。
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脳の妙薬 [医学・医療・雑感小文]

脳の妙薬

11月1日は「古典の日」だった。

『紫式部日記』の寛弘5年(1008年)11月1日の記述に、藤原公任が、

「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ(そういえば、このあたりに若紫の姫君がいらっしゃるのでは)」と語りかけたとあり、

これが世界最古の長編小説『源氏物語』に関する歴史上最初の記録だそう。

それにちなみ、2012年に超党派の議員立法で法制化された。

そして、ただいま「読書週間(10月27日~11月9日)」中。

読書は豊かな情操を養う心の栄養剤、頭の老化を防ぐ脳の妙薬。

読書中は大脳のさまざまな部位が同時に使われる。

まず文字を目で追う視覚に関する部位、

その文字の意味を理解するための部位、

本の中の風景や人物をイメージする部位、

読みながら湧いてくる情感、感動、過去の記憶などをつかさどる領域…。

静かな作業に見える読書だが、そのとき脳の中では激しく活発な活動が行われている。

読書で脳をリフレッシュ! 
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子どもの顔 [老聾ぐちぐち]

 子どもの顔


「子どもって、親にしか見せない顔をもってるようね」

「そのうち、親には見せない顔をもつようになるわよ」

幼稚園男児の母親と男子高校生の母親――30代の妹と40代の姉――の会話。
タグ:子ども
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抗糖化とニートで、若さいきいき! [平成養生訓]

 平成養生訓

 抗糖化とニートで、若さいきいき!

 ◎老化物質「AGE」

 年齢を重ねても健康で若々しい人とそうでない人がいます。

 40歳過ぎてからの同窓会では、10代のころ同じ教室で騒いだ仲間とは思えない老けた顔に会うことも多くなります。

 理由は人それぞれ「人生いろいろ」ということでしょうが、生理的な原因として最近注目されているのが、老化物質と呼ばれる「AGE」(終末糖化産物)です。

 AGEとは、食事でとり入れた糖分のうち、エネルギーとして使い切れなかった糖が、体内のたんぱく質と結びついた(たんぱく質が「糖化」した)ものです。

 体はさまざまなたんぱく質でできていますが、糖化(すなわち劣化)したたんぱく質=AGEは、体のあらゆるところでさまざまな悪さを働きます。

 皮膚のたんぱく質のコラーゲンが糖化すると、しわやしみ、くすみ、たるみの原因になります。

 血管にAGEがたまると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。

 AGEが骨に蓄積すると骨粗鬆症、目に蓄積すると白内障の一因となります。
 
アルツハイマー病などとの関連も指摘されています。
 
糖化はなぜ起きるのでしょう。

「炭水化物(でんぷん、糖類)のとりすぎが何よりもよくない」
 
と、同志社大大学院生命科学研究科の米井嘉一教授。

「抗糖化」という用語をつくったアンチエイジングの専門家です。

 体の新陳代謝が下がっていく30代以降は、糖化に拍車がかかりやすいといわれます。

 糖化を防ぐには炭水化物のとりすぎを避けることはもちろん、血糖値を急激に上げない食事の仕方(食べる順番)も重要です。

 食後30分~1時間の血糖値が高くなったとき、AGEが最もできやすいからです。

 血糖値を上げやすいご飯やうどん、パンなどの炭水化物の前に、野菜や海藻類、きのこ類を先に食べると、食後血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
 
野菜には高い抗糖化作用があることもわかっています。
 
早食いも食後の血糖値を上昇させやすいので要注意です。

 
◎見た目でわかる食品中のAGE

 食べ物にもAGEは含まれています。

 食品中のたんぱく質が、糖や脂肪と一緒に高温で加熱されるほどAGEはふえます。

 牛乳と卵に小麦粉、砂糖でつくるお菓子を焼くと、褐色の焦げができます。あの焦げが糖化現象といえばわかりやすいでしょう。

 ですから、食品中のAGEは見た目である程度判断できます。

 生のものには少なく、茶色く焼き色のついた料理に多い。

 鶏肉なら、唐揚げや焼き鳥よりも水炊きのほうが少ない。

「神経質になる必要はありませんが、揚げる、焼くばかりでなく、煮る、ゆでる、蒸すなど、調理法のバランスが大切です」

 と、山岸昌一・久留米大教授。

 世界で最も精力的にAGE研究に取り組んでいる研究者です。

 AGEを体にためず・へらすための食べ方、食べ物とともに、もう一つ大切なことがあります。食後の血糖値を下げる運動です。

 食べてすぐ横になると、牛にはならずとも、AGEがふえます。
 
運動といってもスポーツ的な運動ではなく、「ニート」と呼ばれる軽い体の動きでよいのです。
 
一般に知られているニート(NEET)は、Not in Education Employment or Trainingの略で、「就学、就業、職業訓練のいずれもしていない」若者を指すことばですが、

こちらのニート(NEAT)は、Non Exercise Activity Thrmogenesisの略。「運動とはいえない程度の活動による体熱産生」のことです。

 たとえば、テレビを立って見るだけでもNEAT効果は得られます。まずは朝ドラを立ったまま見ることにしませんか?

 neatには「こぎれいな、すてきな」という意味もあります。

 ニートな生活をしてください。    

(株)心美寿有夢のPR誌『絆』34号=2015年11月発行=より再録。

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