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大根の話 [医学・医療・雑感小文]

 大根の話
 
 大根煮て息子古風に育てけり    石川昌子

いいなぁ、ここに日本の母あり、古きよき時代の家庭あり。

子の情操をはぐくむ食育の模範のようにも思われる。

大根は、葉も根も1本まるごと食べると、ビタミンC、カロチン(ビタミンA)、カリウム、カルシウム、鉄などさまざまな栄養素が得られる。

昔の人は「大根どきの医者知らず」と言った。胃腸の弱い人、歯の悪い人も楽に食べられる。

豊富に含まれるアミラーゼ(ジアスターゼ)は、もちやご飯などのでんぷんを消化する酵素で、胃を大いに助ける。

ただ、熱を加えると壊れる。

大根おろしは首の部分でつくるのがよいと管理栄養士に教わった。

その部分のアミラーゼの活性が最も高いのだそうだ。

カリウムは血圧を下げるミネラルで、心臓の筋肉を丈夫に保つ作用もする。

高血圧や心臓病の人は特に多く取ったほうがよい。

カリウムは水に溶けやすく、葉野菜に含まれるカリウムは、煮ると半分以下に減るが、大根だと八割以上は残る。

煮汁を飲めば、溶け出したカリウムもとれる。

大根の葉には体内でビタミンAに変わるカロチン、ビタミンC、カリウム、鉄が、緑黄色野菜の王者ホウレンソウにひけをとらぬくらい豊富だ。

根にも(葉には及ばないものの)ビタミンCが多い。ビタミンCの多彩な作用の一つは、風邪を防ぎ・治す効果だ。

冬場に多くとりたいビタミンだが、水溶性ビタミンだから、葉野菜を煮ると4分の1に減る。

大根はほんの少し減るだけだ。根菜の利点だ。

皮膚と粘膜の栄養に欠かせないビタミンAは、脂溶性だから油と一緒だと吸収がよい。

大根葉の油いためはAの給源として、絶好の一品だ。

切り干し大根は、カルシウムや鉄などのミネラルの宝庫。

大根を切り干しにすると、カルシウムは15倍、カリウムは10倍、鉄は31倍、食物繊維は11倍に増える。

カルシウムは骨の老化を防ぎ、鉄は貧血を防ぎ、カリウムは血圧を下げ、食物繊維は便通をよくし、大腸がんを防ぐ。

「米、大豆、イワシ、大根は、日本人の栄養を守る<食の四天王>だ」と戦前の著明な栄養学者は言っている。
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