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かゆみと不眠 [医学・医療・雑感小文]

 年をとると体がかゆくなる。

 肌が乾くからだ。

 冬はさらにそうなる。

 夜寝ているときもかゆく、眠りが浅くなる。

 だがスキンケアクリームでかゆみを抑えると睡眠の質が向上することを、日常生活におけるQOL(生活の質)のさまざまな研究を進めている古賀良彦・杏林大学医学部教授と、ユースキン製薬のスタッフが確かめた。

 古賀教授らは、ある介護老人保健施設の介護士の協力を得て、老人性掻痒(そうよう)症を訴える71歳~96歳の男女8人の患部に1日1回(入浴後や就寝前)、スキンケアクリームを塗布し、睡眠状態をアクチグラフ(睡眠の質と量の変化を記録する腕時計型センサー)で観察した。

 2週間後、ひっかき部分の皮膚の状態が改善し、かゆみが軽快、睡眠中の無動の時間(熟睡時間)が増えた。

「夕方から夜にかけては、かゆみ成分のヒスタミンが活性化する。

 そのうえ体幹部の温度の低下、皮膚表面温度の上昇によりかゆみが増幅し、睡眠の質が低下する。

 スキンケアクリームを上手に使うとよい」と古賀教授。

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楽な梗塞 [医学・医療・雑感小文]

 脳出血は激減し、脳卒中の死亡率も低下した。

  が、脳梗塞(こうそく)は増えているのではないだろうか?

  筆者の周囲でもこの1、2年の間に5人もの男性(67歳~80歳)が脳梗塞を起こしている。

 ただ、みんな一様に軽症で、1人を除いて歩行も言語もほとんど回復した。

 左足にまひが残った友人も車いすで旅行をし、パソコンで作った年賀状をくれた。

 このごろの脳梗塞の多くはそういう病気になりつつあるようだ。

 治療法が進歩し、重い後遺症の残る患者が減ったのか。

 あるいは、高齢者の間に軽症の脳梗塞が増えているのか。

 脳の深部の細い血管が詰まるラクナ梗塞は症状が軽く、意識障害はまず起こらない。

 体の片側だけに軽度の運動まひや感覚鈍麻が起こり、それらと構音障害(ろれつが回らない)が組み合わさって起こることもあるが、リハビリでほとんど回復する例が多い。

 ラクナとはラテン語で「小さな空洞」という意味だそうだが、「楽な梗塞」でもある。

 日本人の脳梗塞の4割がこれだという。
タグ:ラクナ梗塞
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冬の脳梗塞の誘因は? [医学・医療・雑感小文]

 2月1日~7日の「生活習慣病予防週間」は昭和34年に始まり、平成8年までは成人病予防週間と呼ばれた(成人病という呼称が生活習慣病に変わったのは平成8年12月)。

 当時、死因1位の脳卒中が冬場に多発したことから、最も寒い時期が啓発週間に決められた。

 脳卒中には、脳の血管が破れる脳出血と、血管が詰まる脳梗塞(こうそく)があるが、当時は脳出血が圧倒的に多かった。

 しかし今、脳出血は激減し、脳卒中の死因順位もがん、心臓病、肺炎に次ぐ4位に下がり、冬場に多発することもなくなった。

 理由は、減塩を中心とした生活習慣の改善、暖房の普及、降圧薬の開発、脳卒中治療の進歩などの複合的効果だろう。

 だが、いまも脳梗塞の一種の心原性脳塞栓(そくせん)症は、冬場に多く発症している。

 心臓でできた血栓が、脳に流れてきて、脳の太い血管が詰まるために起こる病気だ。

 なぜ、冬場に発症しやすいのか?

「一つ考えられるのは、感染です」と、脳卒中が専門の山口武典・国立循環器病センター名誉総長は話した。

 脳梗塞(こうそく)には、脳の深部の細い血管が詰まるラクナ梗塞

 頭の中の太い動脈や頸(けい)動脈の内壁にコレステロールがたまって狭くなり、血栓ができて詰まるアテローム血栓性脳梗塞

 心房細動など心臓に原因のある心原性脳塞栓(そくせん)症と、三つの病型がある。

 このうち心原性脳塞栓症だけは、冬場に多く発症する傾向がみられる。

 理由の一つとして考えられるのは感染だと、山口武典・国立循環器病センター名誉総長は話した。

「例えば、風邪をひくとか、肺炎を起こすとかすると、その感染症自体が血液凝固を促進するのではないか。

 近年、脳卒中の危険因子の一つとして感染が重視されていて、CRP(C反応性たんぱく=感染症の指標)の値の高い人は、脳卒中を起こしやすいといわれています。

 心臓でも当然、血栓ができやすくなるでしょう。

 心臓病をもっていて、血栓のできる可能性のある人が風邪をひくと、血栓ができて飛びやすくなる。

 そういう人は風邪をひかないように特に気をつけなければいけません」
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2018年「少食川柳」 [医学・医療・雑感小文]

 少食川柳

 1954(昭和34)年以来、2月第1週に行われてきた厚生労働省の生活習慣病予防週間(96年までは成人病予防週間)は09年、半世紀にわたる活動に終止符が打たれた。

 だが食生活、運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、発症と進行に深く関わるさまざまな病気の重大性は少しも変わっていない。

 廃止された「週間」のコンセプトを継承する「全国生活習慣病予防月間」が2011年から始まった。

 主催は日本生活習慣病予防協会(池田義雄理事長)。

 生活習慣の改善は、一無=禁煙、二少=少食、少酒、三多=多動、多休、多接(適度な運動と適切な休養、社会的活動)に集約される。

 同協会はこの「一無・二少・三多」をスローガンに啓発活動を展開してきた。

 これを順次、主要テーマとして取り上げてきた。

 2018年のテーマは「少食」とし、「あなたの少食生活~何を減らしてますか?~」を問う「少食
川柳」を募集した。

 受賞作・作者は以下のとおり。

【最優秀賞(5万円)】

 ■健康と 長寿の秘訣 腹八分
 (静岡県・77歳・主婦・オクラの花)


【優秀賞(各1万円)】

 ■少食で 噛んで味わう ことを知り
 (新潟県・50歳・公務員・まさとん)

 ■少食の 敵は早食い ながら食い 
 (福島県・45歳・ほり・たく)

 ■人生に 美味しさ残す 腹八分
 (大阪府・37歳・公務員・なごみ)

【佳作(3千円相当クオカード)】

 ■少食で 延びる寿命と 縮む腹 
 (神奈川県・77歳・無職・ナンサン)

 ■少食で 心に余裕 胃に余裕 
 (東京都・74歳・自由業・日出吉)

 ■少食で 明日の健康 手に入れる
 (福島県・33歳・管理栄養士・クリームパン)

 ■腹八分 良く噛み味わい 腹十分 
 (東京都・70歳・会社員・カジ)

 ■少食は 明日の元気の 第一歩  
(東京都・38歳・会社員・りのんぱ)

 ■よく噛めば 少食だって 満腹に  
 (大阪府・42歳・だいちゃんZ!)

 ■美食より 少食にして 健康体  
 (東京都・64歳・主婦・ハルル)

 ■人生を 十分楽しむ 腹八分
 (千葉県・66歳・無職・ヒロシこの夜)

 ■夜ごはん 会話で盛って 箸を置く
 (神奈川県・59歳・新屋洋子)

 ■「足るを知る」 腹八分目に 極意あり
 (三重県・65歳・非常勤職員・清詞薫)

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成人病の変遷 [医学・医療・雑感小文]

  2月の第1週を「成人病予防週間」と厚生省(現厚生労働省)が決めたのは昭和34年だった。

 寒さが最も厳しいこの時期、脳卒中が多発したからだ。

 当時は脳卒中が日本人の死因1位で、2位のがん、3位の心臓病をはじめ高血圧、糖尿病、痛風など、40歳前後から増え始める病気を「成人病」と呼んでいた。

 だが、こうした病気の発症には、それ以前からの食生活、喫煙、飲酒、運動、休養などの生活習慣が深くかかわっている。

 平成8年12月から「成人病」は「生活習慣病」と呼び変えられ、成人病予防週間も「生活習慣病予防週間」となった。

 しかし、そのころには真冬の脳卒中は減り始め、死因順位もがん、心臓病、脳卒中と変わっていた。

 2月の生活習慣病予防週間は時期的にもそぐわない面があり、別の月にはがん(9月)、心臓病(8月)、脳卒中(5月)、糖尿病(11月)などの週間や月間もあり、啓発運動が行われている。

 で、2009(平成21)年からは新たに毎年9月を「健康増進普及月間」とし、2月の生活習慣病予防週間は廃止されたが、2017年から新たに生活習慣病予防月間が設定された。

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あかぎれの手入れ [医学・医療・雑感小文]

 田舎の母さんのあかぎれが痛い。

 生みそをすり込む…

 という歌の文句は昔の話で、今はもうそんなことはないだろう。

 家は暖房、いつでもあったかいお湯が出るのだから、と思うのは、ぐうたら亭主の浅見だったようだ。

 ジョンソン&ジョンソンが、全国の主婦500人(20~60代)に「毎年冬に悩まされているケガ・キズは?」と聞いたアンケートに、359人(72%)が、「ひび・あかぎれ」と答えている。

 皮膚科の権威、田上八朗・東北大学名誉教授の解説─。

 気温が低下し、空気が乾燥すると、皮膚表面の角層の水分が失われて、ひびわれができる。

 カサカサ、ザラザラし、かゆみが生じ。特に厚い角層に覆われた手足の皮膚では、ひびわれが深く達し、あかぎれになる。

 「あかぎれの手入れは、乾燥した角層に十分な水分を補い、密封し、角層を柔らかくすることに尽きます。

 寝る前にグリセリン入りハンドクリームをつけて、ばんそうこうで覆います。

 日中の水仕事で濡れたりしたら貼りっぱなしにせず、新しいものに貼り替えましょう」

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頭を打った! [医学・医療・雑感小文]

 転んで頭を打っても、コブなどはできない。

 頭の外側には何の変化も認められない。

 脳の表面が傷つき、出血して、脳の表面と脳を覆っている硬膜の間に血液がたまり、血腫ができる。硬膜下血腫という。

 出血量の多い「急性硬膜下血腫」の場合、数時間内に意識を失うなどの異常が生じる。

 しかし、チョロッと出血したぐらいでは症状はほとんど出ないと、脳神経外科の専門家、平川公義・東京医科歯科大学名誉教授に聞いた。

「症状が出たとしても、手足の力がなんとなく弱いとか、歩くときにちょっとふらつくとか、せいぜいそんなものです」

 そして、1日か2日で消える。出血が吸収されてしまうからだ。

「しかし、2、3日たってもどうも頭が痛い、へんな感じがあるというようなら病院に行ってください。

 何もなければそのまま何もしないで、むしろ1カ月か1カ月半たってなんだかおかしいと感じたら、CTで検査してもらい、確定診断を受けたほうがよいでしょう」

 そのとき脳では「慢性硬膜下血腫」が発生している。

 脳の硬膜の内側に血の塊ができる「慢性硬膜下血腫」は、高齢者に多くみられる脳障害で、頭を打ってから1カ月、ときには2、3カ月たってから徐々に症状が現れてくる。

 平川公義・東京医科歯科大名誉教授の話のつづき─。

「頭重や頭痛も訴えますが、足がふらつき、体の片側に軽いまひが生じることもあります。

 なんとなく周囲の状況がよくわからない感じで、ボーッとして反応が悪くなります。

 高齢者の慢性硬膜下血腫はよく見逃されたり、誤診されて老年性痴呆と間違われることがあります。

 ぼけてしまったということでほうっておかれると、治る認知症を見逃すことになります」

「また、例えば正常圧水頭症といって、脳の中の脳脊髄(せきずい)液の循環が悪くなって、脳に水がたまってくる病気でも、ふらついたり、言葉がもつれたり、意識が悪くなったり、失禁したりします。

 お年寄りの頭の具合がだんだんおかしくなってきたら、頭の中で何が起こっているか、詳しく調べて、原因を突き止めなければいけません」

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脳は豆腐 [医学・医療・雑感小文]

 長生きのコツを聞かれて、

「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と答えたのは、91歳の天寿を全うした岸信介元首相だった。

 老人の風邪は肺炎に進展しやすい。

 転ぶと、骨折しやすく、太ももの付け根を折って寝たきりになったり、頭を打って大ごとになる例が少なくない。

 脳は、豆腐のように軟らかい組織で、周りを脳脊髄(せきずい)液で囲まれ、頭蓋(ずがい)骨の中に浮かんでいる。

 豆腐の入ったボウルをゴツンとぶつけると、豆腐がゴシャゴシャと動くように、頭を打つと、その衝撃で脳が1秒の10分の1とか100分の1といった速さで振動する。

 頭蓋骨の中で脳が強くゆさぶられ、片方に寄る。

 脳の機能が一時的に障害されて短時間、意識を失ったり、判断力が鈍ったり、記憶喪失を起こしたりする。
 
「脳振盪(しんとう)」と呼ばれる状態だ。

 たいていすぐに回復して、大したことにはならないのだが、とっさの防御反応が鈍くなった人は、頭をまともに打って、脳挫傷を起こしたり、脳の中に血液がたまる硬膜下血腫の前段階になりやすい。

 三つ目の「義理を欠け」は、寒中・猛暑下の葬儀欠礼の勧め。

 風邪をひき、肺炎を併発したり、熱中症を発症しやく、老齢の身には命とりになりかねない。 

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帯状疱疹の宮崎スタディと新藥 [医学・医療・雑感小文]

 宮崎スタディ 
 
 体の左右どちらかにピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れる病気─帯状疱疹(ほうしん)は、50~70代に最も多くみられる。

 過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくない。

 宮崎県皮膚科医会は、1997年から2006年までの10年間、県内の46の皮膚科医療施設(開業医および病院)で、大規模疫学調査を行った。

 全症例数は4万8388例(男性2万181、女性2万8207)。

 これほど長い年月にわたり、これほど多くの症例を集めたスタディ(研究調査)は「日本はもとより世界初といえます」と、白木公康・富山大学大学院教授(ウイルス学)。

 膨大な調査データを解析した研究者代表の外山望先生(外山皮膚科=宮崎県日南市)の話を、プレスセミナーで聞いた。

 10年間で帯状疱疹患者は26%増加し、女性の発症率が男性より25%高い。

 1000人あたりの患者は4・15人で、最年少患者は3カ月女児、最高齢は102歳女性だった。

 年齢別の発症率をみると、30代が最も少なく、10代に小さな峰があり、50代からぐんと増え始めて60~70代に大きな峰をつくる(発症率が最も高いのは70代女性で、最も低いのは30代女性)。

 10歳未満の小児の発症率も1000人中2・45人で、子どもの帯状疱疹もまれなものではない。

 女性の発症率は男性より25%高いが、80歳以上になると、男女の発症率が逆転する。

 女性の人口が多いため患者数自体は女性のほうが多いが、発症率は低い。

 つまり80歳以上では女性のほうが帯状疱疹にかかりにくいといえる。

 30代女性の発症が最も低いのは、水痘(すいとう=水ぼうそう)の子と接触する機会が多いことによるブースター効果(追加免疫効果)が働くのではないかと考えられる。

 帯状疱疹は、体内に潜伏していた水痘のウイルスが再びあばれ出すためだが、水ぼうそうの子と接触すると、体内のウイルスがおとなしくなるらしい。

 ファムビル

 帯状疱疹(ほうしん)は、子どものころにかかった水痘(すいとう=水ぼうそう)が治ったあと、ウイルスが体内の神経節にひそんでいて(潜在感染)、加齢やストレス、過労などが引き金となり、ウイルスが動き出し、神経を伝わって皮膚に到達し、発症する。

 神経に沿って帯状にやや盛り上がった斑点が現れ、そのあと水ぶくれができる。

 通常、皮膚症状が治ると痛みも消えるが、その後もピリピリする痛みが持続する例がある。

 帯状疱疹後神経痛といい、高齢になるほどそれが残る人が多く、長期間痛みがとれず日常生活に支障をきたす。早く抗ヘルペス(疱疹)ウイルス薬による治療を始めなければいけない。

 抗ヘルペスウイルス薬といえば、アシクロビルの一手販売だったが、2008年、ファムビルが登場した。
その治療成績は、紅斑や水疱などの皮膚症状と痛みが消失するまでの日数、ウイルスが消失するまでの日数その他、あらゆる項目で「アシクロビルに対して非劣性が認められた」

 つまり勝るとも劣らないというわけだろう。
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ヘルペスの暴走 [医学・医療・雑感小文]

 帯状ヘルペス

 口唇ヘルペス(疱疹=ほうしん)と兄弟のような病気で、はるかに厄介なのが帯状ヘルペス(帯状疱疹)だ。

 原因は、子どものころかかった水ぼうそう(水痘=すいとう)のウイルス。

 そのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、水ぼうそうが治った後も体内の神経節に潜んでいて(潜伏感染)、加齢やストレス、過労などが引き金となって免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始めて、神経を伝わって皮膚に到達し、発症する。

 初めは体の左右どちらか一方にチクチクするような痛みやピリビリする感じが起こり、しばらくしてその部分に赤い発疹が現れ、小さな水ぶくれができてくる。

 やがて水ぶくれが破れてただれ、かさぶたに変わる。

 胸から背中にかけて最も多くみられ、腕や腹部にもよく出る。

 頭、顔、首なども割合発症しやすい部位だ。

 帯状疱疹という名のとおり、神経に沿って帯状に広がり、皮膚と神経の両方でウイルスが増殖し炎症が起きるので、強い痛みが生じる。

 この症状は数週間以内で治るが、それでは終わらないことがある。

 帯状疱疹後神経痛だ。

 神経障害性疼痛

 ある日、体の片側に不意にできる帯状疱疹(ほうしん)の多くは、医師の指示に従って安静にしていれば自然に治る。

 精神的・肉体的に疲れているときに発症しやすいので、睡眠と栄養を十分にとり、心身の回復を図ることが大切だ。

 治療には抗ウイルス薬や鎮痛薬を用いる。

 皮膚症状に対しては抗ウイルス薬の軟膏(なんこう)が、重症例には局所麻酔薬による神経ブロック療法(神経の伝導を遮断する治療法)が効果的だ。

 水ぶくれを破ると細菌感染を起こしやすい。破ってはいけない。

 入浴も控えよう。

 そうして治ると、たいていは一件落着なのだが、そのあと「帯状疱疹後神経痛」に移行する人がけっこう多いのが、この病気のイヤなところだ。

 皮膚の症状はきれいに消えて、目で見る限り別にどうということはない。

 だが、ちょっと触っても飛び上がるほど鋭い痛み、電気が走る、針で刺される、ピリピリする……など普通の痛みとは異なる奇妙な感じの痛みが生じる。

 神経障害性疼痛(とうつう)とかアロディニア(異痛症)と呼ばれる。
 
 ヘルペス難民

 体の片側─胸や腹などに帯状の発疹が出る帯状疱疹(ほうしん)が治った後の皮膚に、奇妙な激しい痛みが生じるのが帯状疱疹後神経痛だ。

ウイルスに侵された神経の痛み(神経障害性疼痛=とうつう)なので、皮膚の症状はきれいに消えている。

 だから患者自身、痛みは気のせいかもしれないと思ったり、この病気にあまり詳しくない医師の不適切治療につながったりもする。

 痛みの治療に多く用いられるNSAIDs(非ステロイド性鎮痛消炎剤)は、炎症によって生じた「侵害受容性疼痛」にはよく効くが、炎症はすでに治まっている神経障害性疼痛には効かない。

 効かない薬を処方されている人、痛みは心因性のものと言われる人など、適切な治療を受けられないまま、痛みに耐えている「ヘルペス(疱疹)難民」がずいぶん多いと、専門医は指摘する。

 帯状疱疹後神経痛には、神経ブロック療法やレーザー治療、神経障害性疼痛薬がよく効くことが分かっている。

 ぜひ、ペインクリニック(痛みの専門外来)へ─。

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